認定NPO法人になるには?PST基準のクリア方法と申請書類を行政書士が解説 2026年版
NPO法人(特定非営利活動法人)を運営していると、次のステップとして意識されるのが「認定NPO法人」です。認定を受けると、その法人への寄附について寄附者が税制優遇を受けられるようになり、寄附を集めやすくなります。ただし、認定を受けるにはパブリック・サポート・テスト(PST)をはじめとする8つの基準を満たす必要があります。この記事では、東京都の申請実務にそって、状況チェックから必要書類まで、認定へのステップアップの進め方を行政書士が網羅的に解説します。
認定NPO法人とは?寄附者に税制優遇がある「格上げ」制度
認定NPO法人とは、NPO法人のうち、運営組織や事業活動が適正で公益の増進に資すると認められ、所轄庁(主たる事務所のある都道府県知事など。東京都なら東京都知事)の認定を受けた法人です。平成24年4月からは、国税庁長官ではなく所轄庁が認定を行う制度になりました。
(定義)第2条
(中略)
3 この法律において「認定特定非営利活動法人」とは、第四十四条第一項の認定を受けた特定非営利活動法人をいう。
4 この法律において「特例認定特定非営利活動法人」とは、第五十八条第一項の特例認定を受けた特定非営利活動法人をいう。
特定非営利活動促進法 第2条第3項・第4項(定義)
認定を受ける最大のメリットは税制優遇です。個人が寄附すると所得税の寄附金控除(所得控除または最大40%の税額控除)を、法人が寄附すると特別損金算入枠を使えます。相続財産を寄附した場合の相続税非課税や、認定法人自身の「みなし寄附金」制度もあります。優遇の詳しい内容は認定NPO法人とは?認定要件(PST)と税制優遇で解説しています。

認定を受けるための8つの基準
認定NPO法人になるには、次の8つの基準すべてに適合する必要があります(法第45条)。
- ① パブリック・サポート・テスト(PST)基準に適合していること(後述。特例認定では不要)
- ② 事業活動のうち共益的な活動の占める割合が50%未満であること
- ③ 運営組織および経理が適切であること
- ④ 事業活動の内容が適正であること
- ⑤ 情報公開を適切に行っていること
- ⑥ 事業報告書等を所轄庁に提出していること(毎事業年度初めの3か月以内)
- ⑦ 法令違反、不正の行為、公益に反する事実等がないこと
- ⑧ 設立の日から1年を超える期間が経過していること
これらに加え、暴力団関係や税金の滞納などの欠格事由(法第47条)に該当しないことも必要です。
最大の関門「パブリック・サポート・テスト(PST)」3つの判定方法
認定の山場が①のPSTです。PSTは「広く市民から支援されているか」を測る基準で、次のイ・ロ・ハのどれか1つを満たせばクリアできます。自法人にとって有利な方法を選べるのがポイントです。
イ 相対値基準(寄附金の割合20%以上)
実績判定期間における「収入金額に占める寄附金の割合が20%以上」であることが基準です。おおまかには「寄附金等 ÷ 総収入金額 ≧ 20%」で判定します。分母の総収入からは国・地方公共団体の補助金等を除き、分子の寄附金からは同一者からの過大な寄附(総額の10%超部分など)を除くなど、細かい調整があります。なお、社員(会員)が20人以上いるなど一定の要件を満たせば、正会員の会費を分子に算入できる特例もあります。
ロ 絶対値基準(年平均100人以上の寄附者)
実績判定期間において、年3,000円以上の寄附者が年平均100人以上いることが基準です。会費ではなく「寄附」の人数で数え、氏名・住所が明らかな人のみカウントします。役員やその生計を一にする親族は人数に含められないなどのルールがあります。小口でも支援者が多い法人は、相対値より絶対値のほうがクリアしやすいことが多いといえます。
ハ 条例個別指定
都道府県・市区町村の条例で、住民税の寄附金控除の対象として個別に指定を受けている場合は、この基準でPSTをクリアできます。この場合は寄附者名簿の添付が不要になります。
PST不要で先に進める「特例認定(旧・仮認定)」
「まだ寄附の実績が足りずPSTを満たせない」という設立まもない法人のための制度が特例認定です。特例認定は設立から5年以内で、過去に認定・特例認定を受けたことがない法人だけが対象で、PST基準(①)を除く基準を満たせば認定を受けられます。
特例認定を受けると、個人・法人の寄附者は認定法人と同じ税制優遇を受けられます(みなし寄附金や相続財産寄附の非課税は対象外)。ただし有効期間は3年で、更新はできません。この3年の間に寄附の実績を積み、本来の認定へ移行するのが王道の流れです。なお、以前は「仮認定」と呼ばれていましたが、平成29年(2017年)4月1日の法改正で「特例認定」に名称変更されました(基準の内容は変わりません)。
まず「事前チェックシート」で状況チェック
東京都は、申請書を作る前に、手引きの「事前チェックシート」で8つの基準と欠格事由に適合しているかを自己確認することを求めています。基準を満たさないまま申請しても認定は受けられないため、この事前チェックが実務の出発点です。申請から認定までの流れは次のとおりです。
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- ステップ1 基準適合の確認
- 事前チェックシートで、PSTを含む8基準と欠格事由に適合しているかを確認します。
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- ステップ2 申請種別の決定
- PSTを満たせるなら「認定」、設立5年以内で実績が足りなければ「特例認定」を選びます。
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- ステップ3 申請書類の作成
- 基準ごとのチェック表や寄附者名簿など、多数の書式を作成します。
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- ステップ4 事前相談(任意・予約制)
- 東京都は完全予約制の事前相談を勧めています。書類の不備を減らせます。
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- ステップ5 申請書の提出
- 所轄庁の窓口へ持参または郵送します。不足があると収受されません。
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- ステップ6 審査・現地確認・認定通知
- 審査(必要に応じ現地確認)を経て、認定・不認定が通知されます。
認定申請の必要書類
東京都に認定を申請する際の主な書類は次のとおりです。基準ごとにチェック表や付表が細かく分かれているのが特徴です。
- 認定を受けるための申請書(第16号様式)
- 寄附者名簿(実績判定期間内の各事業年度分。氏名・住所・金額・受入年月日を記載)※条例個別指定の場合は不要
- 各認定基準に適合する旨・欠格事由に該当しない旨を説明する書類(PSTのチェック表、役員の状況、報酬等の状況、欠格事由チェック表など一連の書式)
- 納税証明書(過去3年分。税務署の「その4」と、都道府県・市区町村の滞納処分に係る証明)
- 寄附金を充当する予定の具体的な事業の内容を記載した書類(第16号書式)
特例認定の場合は、これらのうち寄附者名簿とPST(一号基準)に関する書類が不要になります。
実績判定期間の考え方
PSTなどは「いつの実績で判定するか」が重要です。これを実績判定期間といい、初めての認定申請では直前2事業年度、更新では直前5事業年度で判定します。たとえば3月決算の法人が令和8年7月に初めて申請するなら、令和6年4月〜令和8年3月の2年間が実績判定期間です。この期間の活動計算書をもとに寄附金の割合や寄附者数を計算するため、認定を見据えるなら、早い段階から寄附者名簿を正確に整えておくことが欠かせません。
認定を受けた後の義務
認定はゴールではなく、継続的な義務が伴います。認定法人は、通常のNPO法人が出す事業報告書等に加えて、役員報酬規程等の書類を毎事業年度初めの3か月以内に所轄庁へ提出し、助成金を出したときは実績の書類も提出します。情報公開の請求にも応じる必要があり、これらを怠ると過料などの対象になります。認定の有効期間は5年で、継続するには更新申請が必要です(特例認定は3年・更新なし)。
よくある失敗と注意点
- 寄附者名簿の整備不足:氏名・住所の記録が曖昧だと、PSTの寄附者数にカウントできません。日ごろの管理が結果を左右します。
- 会費と寄附の混同:会費は原則PSTの分子に入りません。会計上の区分を正しく行う必要があります。
- 設立1年(特例認定は5年)の期間要件の見落とし:時期を誤ると申請できません。
- 税務の自己判断:みなし寄附金や損金算入など税務申告に関わる部分は税理士の領域のため、専門家と連携して進めるのが安全です。
費用・期間の目安
認定申請そのものに手数料はかかりませんが、納税証明書などの実費と、多数の書類作成の手間がかかります。準備から認定まで、書類の整備状況にもよりますが数か月程度を見ておくと安心です。当事務所では、事前チェックによる適合診断から、PSTの計算・各種チェック表・寄附者名簿の整備、申請書類の作成・提出までをサポートします(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)。
まとめ|認定は「日ごろの記録」が9割
認定NPO法人へのステップアップは、寄附を集める力を大きく高めます。カギは、PSTをどの方法でクリアするかの見極めと、実績判定期間を見据えた寄附者名簿・会計の整備です。「PSTを満たせるか分からない」「まずは特例認定から始めたい」という段階でも構いません。NPO設立から認定申請まで対応する当事務所が、初回無料・オンライン対応(電話 03-4500-1030)でご相談を承ります。これからNPO法人をつくる方はNPO法人の設立方法、法人形態の比較は法人・組合の種類と違い一覧もご覧ください。
会社設立・法人化の全体像は、会社設立の総合ガイドでまとめて解説しています。




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