分譲マンションで民泊はできる?管理規約の確認と2026年施行の区分所有法を解説

「投資用に買った分譲マンションの一室で民泊を始めたい」——こうしたご相談は年々増えています。しかし戸建てと違い、分譲マンション(区分所有建物)で民泊ができるかどうかは、まず管理規約で決まります。ここを確認せずに始めると、後で差止めやトラブルに発展しかねません。

この記事では、マンションで民泊を始める前に必ず確認すべき管理規約のポイントと、届出に必要な書類、そして2026年4月に施行された改正区分所有法による規約変更の要件を、世田谷区大原の行政書士・藤原友事務所が解説します。

まず確認するのは「管理規約」

分譲マンションには、区分所有者全員が守るべきルールとして管理規約が定められています。民泊ができるかどうかは、この管理規約に住宅宿泊事業(民泊)を禁止する定めがあるかどうかで決まる、というのが出発点です。

2018年に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行される際、国土交通省はマンション標準管理規約(規約のひな型)を改正し、専有部分の用途に関する条項について、民泊を可能とする場合と禁止する場合の両方の規定例を示しました。これを受けて、多くの分譲マンションが総会で規約を見直しています。

まずは、お手元の管理規約を確認してください。次のいずれに当たるかで対応が変わります。

  • 規約で民泊を明確に禁止している → その物件では民泊はできません
  • 規約で民泊を明確に可能としている → 規約の条件に従って民泊を始められます
  • 規約に民泊についての定めがない → 管理組合に禁止の意思がないかの確認が必要です

届出には規約の確認書類が必要

分譲マンションの一室で住宅宿泊事業(民泊)の届出をする際は、管理規約で民泊が禁止されていないことを示す書類を添えるのが実務の取り扱いです。

具体的には、管理規約の写しを提出します。そして管理規約に民泊を禁止する定めも許容する定めもない場合は、管理組合に民泊を営むことを禁止する意思がないことを確認した旨の書面が必要になります。届出者が自ら管理組合に照会し、その結果を届出に反映させる流れです。

つまり、「規約に書いていないからグレーゾーンで始めてしまえ」という進め方は通用しません。規約に定めがなければ、管理組合の意思を確認するプロセスが求められると理解してください。この確認を怠ると、届出が受理されなかったり、後から管理組合とトラブルになったりします。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

2026年施行の改正区分所有法と規約変更

管理規約で民泊を可能(または禁止)にするには、総会で規約を変更する必要があります。規約の変更は、区分所有法31条1項に定められた特別多数決によります。

(規約の設定、変更及び廃止)第31条

規約の設定、変更又は廃止は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項前段において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
建物の区分所有等に関する法律 第31条第1項(規約の設定、変更及び廃止)

ポイントは2つあります。

1つは、2026年4月1日に施行された改正区分所有法により、規約変更には「区分所有者と議決権の各過半数が出席」したうえで、「出席者の区分所有者と議決権の各4分の3以上の賛成」が必要になった点です。改正前は区分所有者・議決権の各4分の3以上でしたが、出席者を基準に判断する「出席者多数の原則」に整理されました。総会に無関心な組合員がいても決議を進めやすくなった一方、**規約変更のハードルは依然として4分の3という高い水準であることに変わりはありません。

もう1つは条文後段です。すでに民泊を営んでいる区分所有者がいる状態で「民泊禁止」の規約変更をする場合など、規約変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その区分所有者の承諾が必要になります。規約を後から変えるのは簡単ではないという点をおさえておきましょう。

マンションで民泊を始めるまでの流れ

分譲マンションで民泊を検討するときの流れは、次のようになります。

  1. ステップ1 管理規約を確認する
    専有部分の用途に関する条項を確認し、民泊が禁止されていないか、可能とされているか、定めがないかを見極めます。まずここが最優先です。
  2. ステップ2 管理組合の意思を確認する
    規約に定めがない場合は、管理組合に民泊を禁止する意思がないかを照会し、確認結果を書面で残します。
  3. ステップ3 物件・設備の要件を確認する
    年180日以内の住宅宿泊事業として要件を満たすか、家主不在型なら管理業者への委託が必要かなど、事業の型を確認します。
  4. ステップ4 消防・近隣対応を準備する
    共同住宅としての消防設備、標識の掲示場所、ゴミ・騒音などの近隣対策を整えます。
  5. ステップ5 都道府県・保健所へ届け出る
    管理規約の写しや必要書類を添えて住宅宿泊事業の届出を行い、受理後に営業を開始します。

民泊そのものの始め方は民泊(住宅宿泊事業)の始め方、届出後の運営義務は民泊の運営義務とは?宿泊者名簿・標識・報告で詳しく解説しています。

よくある失敗と注意点

「規約に書いていないから大丈夫」……定めがない場合は、管理組合の意思確認が届出の前提になります。無断で始めれば規約違反として差止めを求められるおそれがあります。

「まず民泊を始めてから規約を整えればよい」……民泊を開始した後に「禁止」の規約変更をすると、その区分所有者の承諾が必要になる場合があります。順序を誤ると管理組合との深刻な対立を招きます。

「賃貸で借りている部屋なら自由にできる」……賃借人の場合は、管理規約に加えて賃貸借契約(貸主の承諾・転貸禁止条項)の確認も必要です。オーナーの許可なく民泊をすれば契約違反になります。

「180日を超えて営業したい」……住宅宿泊事業は年180日以内が営業日数の上限です。通年で営業したい場合は、旅館業(簡易宿所)許可という選択肢を検討します。詳しくは簡易宿所の営業許可とは?をご覧ください。

当事務所のサポートと費用の目安

行政書士・藤原友事務所では、分譲マンションでの民泊の可否判断から届出までを一括でお手伝いしています。

  • 管理規約の確認と、管理組合への意思確認のサポート
  • 住宅宿泊事業(民泊)の届出書類の作成・提出代行
  • 家主不在型で必要になる住宅宿泊管理業者との連携
  • 通年営業を目指す場合の旅館業(簡易宿所)許可のご提案

費用はご依頼の範囲や物件の状況によって変わります。正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください。

初回のご相談は無料です。電話(03-4500-1030)のほか、オンラインでのご相談にも対応しています。世田谷区大原の事務所を拠点に、都内の民泊・旅館業のご相談を多数お受けしてまいりました。「うちのマンションで民泊ができるか知りたい」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ

分譲マンションで民泊ができるかは、まず管理規約次第です。禁止の定めがあればできず、定めがなければ管理組合の意思確認が届出の前提になります。規約を変更するには、2026年4月施行の改正区分所有法のもとでも、出席した区分所有者・議決権の各4分の3以上という高い要件を満たす必要があります。始める前に、まずは管理規約の確認から始めましょう。

民泊・旅館業の許可と届出の全体像は、民泊・旅館業許可の総合ガイドでまとめて解説しています。

出典