決算変更届を何年も出していないとき|更新前に過去分を提出する手順 2026年度

「許可を取ってから、毎年の届出を出していなかった」「更新の案内を見て、決算変更届が何年分も抜けていることに気づいた」。建設業許可の更新時期が近づいたころ、こうしたご相談をいただくことがあります。結論からいえば、過去の分も今から作って提出できます。ただし、出していないままでは更新申請を受け付けてもらえないため、残された時間との勝負になります。この記事では、提出が遅れた決算変更届の取り戻し方を、東京都知事許可を例に順を追って整理します。

結論|未提出のままでは更新できないので、過去分を年度ごとに出しましょう

  • 更新との関係:東京都の手引は、必要な届出がない状態では更新申請を受付できないと定めています。
  • 過去分の扱い:提出が遅れた年度の分も、あとから作って提出できます。ただし何年分かをまとめて1冊にとじることはできず、年度ごとに1冊ずつ作る必要があります。
  • 時間の目安:更新申請は有効期間満了の30日前までが期限です。そこから逆算して、決算変更届を先に片付けます。
  • 罰則:届出をしないこと自体が建設業法の罰則の対象です。遅れていても、気づいた時点で出すのが一番の対策です。

決算変更届は毎年の義務|提出期限は決算から4か月以内

決算変更届(正式には「事業年度終了届」とも呼ばれる変更届出書)は、許可を持つ建設業者が毎事業年度提出する書類です。その年の工事の実績と決算の内容を、許可を出した行政庁に報告します。

(変更等の届出)第11条

(中略)

2 許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第六条第一項第一号及び第二号に掲げる書類その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後四月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

建設業法 第11条第2項(事業年度終了後の書類の提出)

3月決算の会社なら7月末、12月決算なら翌年4月末が期限です。工事がなかった年も「実績なし」として提出する必要があります。決算変更届の基本は決算変更届とは|建設業の提出期限・必要書類・罰則を解説で詳しく説明しています。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

出していないと何が起きるか

更新申請・業種追加などが受け付けられない

東京都の「建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)」は、必要な届出がない状態では、更新申請のほか、業種追加申請、般・特新規申請、事前認可申請も受付できないとしています。経営事項審査(経審)も、審査対象の年度の決算変更届を出していることが前提です。つまり、未提出の年度があると、会社の次の一手がすべて止まってしまいます。

期限までに更新できなければ許可が失効する

建設業許可の有効期間は5年です。満了日までに更新申請をしないと、許可はそのまま効力を失います。失効すると、もう一度「新規」で申請し直すことになり、東京都知事許可の新規手数料は9万円です(更新なら5万円)。審査の間は500万円以上の工事を請け負えないため、取引への影響も小さくありません。

罰則の対象になる

決算変更届を提出しないことには、罰則が定められています。

第50条

次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

(中略)

二 第十一条第一項から第四項まで(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出したとき。

建設業法 第50条第1項第二号(変更届出書等の不提出)

未提出は6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象で、法人にも100万円以下の罰金が科されることがあります(第53条の両罰規定)。また、罰金刑を受けると許可の欠格要件に当たるおそれもあります。まずは早く正しく出すことが大切です。なお、令和7年6月より前の行為には、改正前の「懲役」の規定が適用されます。

過去分の決算変更届でそろえる書類

東京都の手引では、決算変更届は1つの事業年度ごとに次の書類で構成されます。遅れた年度の分も、中身は通常の決算変更届と同じです。

書類ポイント
変更届出書(決算報告用)表紙にあたる届出書です
工事経歴書その年度に完成した工事などを業種ごとに記載します
直前3年の各事業年度における工事施工金額業種ごとの完成工事高を3年分並べます
財務諸表決算書を建設業法の様式に組み替えたもの。注記表も必要です
事業報告書株式会社のみ(特例有限会社を除く)
事業税の納税証明書都税事務所が発行する法人事業税(個人は個人事業税)の証明書
変更があった場合の書類使用人数、定款、健康保険等の加入状況など

何年分も遅れているときに手間がかかるのは、工事経歴書と財務諸表の組替えです。当時の請求書や工事台帳、税務申告書を年度ごとに探し出して作り直すことになります。財務諸表の組替え方は建設業の財務諸表の作り方で解説しています。

過去分を提出して更新に間に合わせる流れ

更新の期限が迫っているときは、次の順番で進めます。東京都の更新申請は、満了日の2か月前から30日前までが受付期間です。

  1. ステップ1 未提出の年度と更新期限を確認する
    許可通知書で満了日を確かめ、これまでに提出した決算変更届の控えと突き合わせて、抜けている年度を洗い出します。控えがなければ、東京都の閲覧制度で提出状況を確かめる方法もあります。
  2. ステップ2 年度ごとの資料を集める
    各年度の決算書・税務申告書・工事の請求書や契約書を集めます。都税事務所で事業税の納税証明書を年度ごとに取得します。
  3. ステップ3 年度ごとに1冊ずつ作成する
    古い年度から順に、工事経歴書・工事施工金額・財務諸表を作ります。直前3年の工事施工金額は前後の年度とつながるので、数字の整合を必ず確かめましょう。
  4. ステップ4 決算変更届をまとめて提出する
    年度ごとに作った届出を同時に提出します。郵送や、国の電子申請システム(JCIP)でも提出できます。
  5. ステップ5 更新申請を出す
    決算変更届がそろったら、満了日の30日前までに更新申請をします。満了日までに更新申請が受理されていれば、審査中も従前の許可は有効です。

更新申請の全体の流れは建設業許可の更新手続きで詳しく説明しています。

費用・期間の目安

  • 決算変更届の手数料:決算変更届に申請手数料の定めはありません。
  • 更新申請の手数料(東京都知事許可の場合):5万円(一般と特定の両方を更新する場合は10万円)。
  • 納税証明書:都税事務所で年度ごとに取得します(1通ごとに手数料がかかります)。
  • 準備期間:資料がそろっていれば1年度分で1〜2週間程度が目安です。3年分・5年分となると、資料探しを含めて1か月以上かかることもあります。
  • 行政書士報酬:遅れている年度の数と資料の状態によって変わります(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)。

満了日の2〜3か月前に気づいた場合でも、資料がそろえば間に合うことは少なくありません。あきらめずに、まず抜けている年度の数を数えるところから始めましょう。

よくある失敗3つ

①最新の年度だけを出せば更新できると考える。抜けている年度が1つでもあると、更新は受け付けられません。過去の年度もすべてそろえる必要があります。

②複数年度を1冊にまとめて作る。東京都の手引は、遅れた複数年度分を1冊にとじ込んで提出することはできないとしています。表紙から財務諸表まで、年度ごとに作り分けましょう。

③満了日ぎりぎりに動き出す。更新申請の期限は満了日の30日前です。決算変更届の作成に時間がかかると、この期限を越えてしまいます。満了日から逆算して、遅くとも3か月前には準備を始めるのが安全です。

今後出し忘れないための仕組み

取り戻したあとは、同じことを繰り返さない仕組みづくりが大切です。

  • 決算の打合せと同時に準備する:税理士さんとの決算の打合せの時期に、工事経歴書の元になる工事一覧を用意しておきます。
  • 期限を社内の予定表に入れる:決算日から4か月後、許可の満了日の3か月前を、毎年の予定として登録しておきます。
  • 年間の手続きを一覧にしておく:決算変更届・経審・入札参加資格・更新の期限を1年の流れで見ておくと、出し忘れを防げます。

まとめ

決算変更届を何年も出していなくても、過去分を年度ごとに作って提出すれば、更新への道は開けます。ただし、未提出のままでは更新申請を受け付けてもらえず、満了日を過ぎると許可は失効して新規からのやり直しになります。満了日の30日前という期限から逆算し、抜けている年度の確認と資料集めを今日から始めましょう。

建設業許可の全体像は、建設業許可のすべて(総合ガイド)でまとめて解説しています。

行政書士・藤原友事務所(世田谷区大原)では、未提出の年度の洗い出しから、過去分の決算変更届の作成・提出、更新申請まで、一括してご依頼いただけます。何年分遅れているかわからない段階でも構いません。無料相談はお電話(03-4500-1030)で承り、オンラインでのご相談にも対応しています。

出典