建設会社のがれき類の産廃収集運搬業許可|元請・下請の区別を解説 2026年度
「解体現場で出たコンクリートがらを、うちのダンプで処分場まで運んでいます。うちは下請なのですが、産廃の許可は要りますか」。
建設会社の方から、たいへん多くいただくご質問です。そして、この質問の答えは「元請か下請か」で正反対になります。間違えると、無許可営業として重い罰則の対象になりかねません。
この記事では、建設工事で出るがれき類などの産業廃棄物について、誰が排出事業者になるのか、下請はどこまで自分で運べるのか、許可が必要な場合はどこの許可を取るのかを、条文に沿って整理します。

結論|元請は許可なしで運べ、下請は原則として許可が必要です
先に結論をお伝えします。
- 元請業者は、その工事から出た廃棄物の「排出事業者」なので、自ら運ぶ限り収集運搬業の許可は不要です。
- 下請負人は、排出事業者ではありません。運ぶには原則として産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です(ごく限られた例外があります)。
この結論を導く条文が、廃棄物処理法の第21条の3です。
建設工事の廃棄物は、元請が排出事業者になります
(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)第二十一条の三
土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。以下「建設工事」という。)が数次の請負によつて行われる場合にあつては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についてのこの法律(第三条第二項及び第三項、第四条第四項、第六条の三第二項及び第三項、第十三条の十二、第十三条の十三、第十三条の十五並びに第十五条の七を除く。)の規定の適用については、当該建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負つた建設業(建設工事を請け負う営業(その請け負つた建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。以下同じ。)を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第21条の3第1項(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
長い条文ですが、要点は1つです。建設工事から出た廃棄物については、実際に誰が壊したかにかかわらず、注文者から直接請け負った元請業者が「事業者」(排出事業者)になります。
ここから2つの帰結が出ます。1つは、元請は自らの廃棄物を運ぶことになるので、法第14条第1項のただし書にある「事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)」に当たり、収集運搬業の許可がいりません。もう1つは、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付義務も、処理を委託する契約の当事者も、すべて元請になるということです。
そして裏返せば、下請負人は排出事業者ではありません。自分が壊して出た廃棄物であっても、法律上は「他人の廃棄物」を運ぶことになりますから、業として運ぶには許可が要る、という結論になります。
下請が許可なしで運べる例外(5つの条件をすべて満たす場合)
もっとも、小規模な修繕工事などで、そのつど元請のトラックを呼ぶのは現実的ではありません。そこで法律は、狭い例外を用意しています。
第二十一条の三
(中略)
3 建設工事に伴い生ずる廃棄物(環境省令で定めるものに限る。)について当該建設工事に係る書面による請負契約で定めるところにより下請負人が自らその運搬を行う場合には、第七条第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項、第十四条第一項、第十四条の四第一項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を含む。)の規定の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第21条の3第3項(下請負人を事業者とみなす場合)
この「環境省令で定めるもの」の中身が、施行規則第18条の2です。次の条件をすべて満たす廃棄物に限られます。
| 条件 | |
|---|---|
| ①工事の種類と金額 | 解体工事・新築工事・増築工事を除く建設工事で、請負代金の額が500万円以下のもの(引渡し後の瑕疵の修補工事は、請負代金相当額が500万円以下) |
| ②量 | 1回当たりに運搬される量が1立方メートル以下であることが明らかとなるよう区分して運搬されるもの |
| ③運搬先 | 廃棄物が生じた事業場のある都道府県か、それに隣接する都道府県の区域内にある、元請業者が所有権または使用権原を持つ施設へ運ぶもの |
| ④保管 | 運搬の途中で保管が行われないもの |
| ⑤契約 | 書面による請負契約で、下請負人が自ら運搬すると定めていること |
解体工事と新築・増築工事は、金額にかかわらずこの例外の対象外です。がれき類が最も多く出る解体工事で使えない、という点が実務上いちばん重要です。また、同じ規則の第2項には、同一の者が2以上の契約に分割して請け負った場合は1つの契約とみなすという定めがあります。500万円以下に収めるために契約を割る、という対応は通りません(正当な理由がある分割は除きます)。
なお、廃棄物の保管については、下請負人も事業者とみなされます(同条第2項)。現場で一時的に置くだけでも、保管基準を守る義務は下請にもかかると理解してください。
そもそも「がれき類」とは何か
産業廃棄物の種類は施行令第2条に列挙されており、がれき類は第九号に置かれています。
(産業廃棄物)第二条
法第二条第四項第一号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
(中略)
九 工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 第2条第九号(がれき類)
コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、レンガ片などが該当します。建設現場から出るものがすべてがれき類になるわけではありません。木くず、廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、汚泥、混合廃棄物など、品目は分かれています。現場から出た品物が、有価物として売却できるのか廃棄物に当たるのかの判断(性状・排出の状況・取引価値の有無などから総合的に判断されます)は個別の事情によります。この判断のための許可行政庁への事前相談から申請までは、当事務所に一括してご依頼いただけます。まずはご相談ください。
許可はどこの都道府県から受けるのか
ここも間違えやすい点です。
(産業廃棄物処理業)第十四条
産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第十四条の三の三まで、第十五条の四の二、第十五条の四の三第三項及び第十五条の四の四第三項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条第1項(産業廃棄物収集運搬業の許可)
括弧書きの「産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る」が答えです。運搬だけを行う場合、必要なのは積み込む場所と、荷を下ろす場所の許可であって、途中で通過するだけの県の許可は要りません。
したがって、東京都の現場で積んで、千葉県の処分場で下ろすなら、東京都と千葉県の2つの許可が必要です。通過する埼玉県の許可は不要です。営業エリアが広い会社ほど許可の数と更新の管理が重くなります。取れるだけ取るのではなく、実際に荷を下ろす先を整理してから申請先を絞るのが、費用と手間の両面で現実的です。
許可の要件・手数料・申請様式・標準処理期間は都道府県および政令市ごとに異なり、積込地と荷下ろし地それぞれの許可行政庁の案内で定められています。
無許可で運ぶとどうなるか
法第25条第1項第一号は、第14条第1項に違反して産業廃棄物の収集又は運搬を業として行った者を罰することを定めています。その法定刑は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科です。法人にも重い罰金が科されます(両罰規定)。そして、この罰則を受けると建設業許可の欠格要件にも直結します。元請の立場で見れば、無許可の下請に運搬させていたことが判明すれば、元請自身の管理責任が問われます。無許可業者と下請契約を結ぶリスクもあわせてご覧ください。
許可を取るまでの流れ
建設会社が、がれき類などの産業廃棄物収集運搬業(積替え保管を除く)の許可を取る場合の流れです。
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- ステップ1 取る必要があるかを確認する
- 元請として自ら運ぶだけなら許可は不要です。下請として運ぶ、他社から運搬だけを請け負う、といった場合に許可が要ります。
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- ステップ2 申請先と品目を決める
- 積込みを行う区域と、荷下ろしを行う区域の都道府県・政令市を洗い出します。扱う品目(がれき類、木くず、金属くず、廃プラスチック類など)を漏れなく挙げます。
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- ステップ3 講習会を受講する
- 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターの「産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」を受講し、修了証を取得します。法人は原則として代表者または事業を行う役員が受講します。
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- ステップ4 運搬車両と容器を整える
- 飛散・流出・悪臭が漏れない構造の車両とシート・容器を用意し、車体に必要事項を表示します。写真の撮り方は自治体の手引に従います。
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- ステップ5 経理的基礎と欠格要件を確認する
- 直前3年の決算書などで、事業を継続できる資力があることを示します。役員に欠格事由がないことも確認します。
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- ステップ6 申請書を提出する
- 許可行政庁ごとに申請します。東京都の新規許可申請の手数料は81,000円で、窓口と郵送のいずれでも受け付けられています(郵送は事前予約制)。
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- ステップ7 許可証の交付を受け、運用を始める
- 許可証の写しを車両に備え、委託契約書とマニフェストの運用を整えます。5年ごとの更新と、役員変更等の届出を忘れずに管理します。
建設リサイクル法・施工体制台帳との関係
解体工事では、廃棄物処理法とは別に建設リサイクル法の届出が必要になる場合があります。床面積80平方メートル以上の解体工事などが対象で、工事着手の7日前までの届出です。詳しくは建設リサイクル法の届出とはをご覧ください。また、解体工事を請け負うこと自体に、解体工事業登録と建設業許可(解体工事業)の違いで解説した登録または許可が必要です。
元請として下請に運搬させる場合は、施工体制の管理も併せて確認しておきましょう。下請の許可の有無、許可の品目、有効期限を契約時に確認し、記録に残す運用が安全です。施工体制台帳・施工体系図の作り方も参考になります。
よくある失敗
「自社の現場だから自社の廃棄物」という思い込みが最も多い失敗です。下請である限り排出事業者は元請であり、自社の廃棄物ではありません。
次に品目の取りこぼしです。がれき類だけで申請したところ、現場では木くずや金属くずも一緒に積んでいた、というケースがあります。混合状態で運ぶ場合、含まれる品目すべての許可が必要です。
処分先を追加するときは、その都道府県の許可があるかを確認しましょう。なお、扱う工事の業種を増やす場合は建設業の業種追加の検討も必要です。
まとめ
建設工事の廃棄物は、元請業者が排出事業者になります。元請が自ら運ぶ場合に許可は要りませんが、下請が運ぶ場合は原則として産業廃棄物収集運搬業の許可が必要で、例外は「解体・新築・増築を除く500万円以下の工事」「1回1立方メートル以下」「隣接都道府県内の元請の施設へ」「途中保管なし」「書面契約で定める」という5条件をすべて満たす場合に限られます。許可は積込地と荷下ろし地それぞれの都道府県知事から受けるもので、通過する県の許可は不要です。無許可営業の罰則は重く、建設業許可の欠格要件にもつながります。
建設業許可の全体像は、建設業許可のすべて(総合ガイド)でまとめて解説しています。
当事務所では、建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可の両方をお取り扱いしており、「どちらが必要か」の切り分けからご相談を承っています。お電話(03-4500-1030)またはオンラインでの無料相談をご利用ください。(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)




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