建設業の専任技術者(営業所技術者)とは?資格・実務経験10年・常勤性の要件を解説 2026年版

建設業許可を取ろうとするとき、多くの会社が最後まで頭を悩ませるのが「専任技術者」の要件です。「うちの技術者は該当するのか」「資格がなくても大丈夫か」「実務経験10年はどう証明するのか」——ここでつまずいて申請が進まないケースは少なくありません。

専任技術者は、経営業務の管理を担う常勤役員等と並ぶ、建設業許可の人的要件の二本柱です。この記事では、専任技術者になれる人の3つのルート、常勤性・専任性の証明、そして令和6年12月に「営業所技術者」へと名称が変わった最新の動きまで、世田谷区大原の行政書士・藤原友事務所が解説します。

専任技術者(営業所技術者)とは

専任技術者とは、建設工事の請負契約の締結や履行を技術面で適正に管理するために、営業所ごとに常勤で配置しなければならない技術者のことです。工事現場に置く「主任技術者」「監理技術者」とは異なり、あくまで営業所に常駐する技術者である点がポイントです。

建設業法では、許可の基準として次のように定められています。

(許可の基準)第7条
国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
(中略)
二 その営業所ごとに、営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者)を専任の者として置く者であること。
建設業法 第7条第二号(営業所技術者の専任配置)

なお、令和6年12月13日施行の建設業法改正で、従来の「専任技術者」という呼び名は「営業所技術者」に改められました。ただし変わったのは名称だけで、求められる要件そのものに変更はありません。検索では今も「専任技術者」で調べる方が多いため、本記事では両方の呼び方を用いて解説します。許可の全体像は、建設業許可の要件|新規取得に必要な5つの条件を解説 2026年度もあわせてご覧ください。

専任技術者になれる3つのルート

営業所技術者(専任技術者)になれるのは、一般建設業許可の場合、次のいずれか一つを満たす人です。

  • ① 国家資格などを持っている……建設業の業種ごとに定められた国家資格(施工管理技士・技術士・建築士など)や、登録基幹技能者などの資格を持っている人。資格があれば実務経験の年数を問われません。
  • ② 指定学科の卒業+実務経験……許可を受けたい業種に対応する指定学科(土木・建築・機械など)を修めて卒業し、高校卒業後5年以上、大学・高等専門学校卒業後3年以上の実務経験がある人。専門学校の専門課程を修めた専門士・高度専門士も3年以上です。
  • ③ 実務経験10年以上……資格や指定学科がなくても、許可を受けたい業種の建設工事について10年以上の実務経験があれば認められます。

もっとも多くの方が確認するのが③の実務経験10年ルートです。この10年は「許可を取りたい業種そのもの」の経験でなければならず、他業種の経験は原則として通算できません。2つの業種で申請したいなら、原則それぞれ10年ずつ必要になる点に注意が必要です。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

業種ごとに「対応する資格」が決まっている

専任技術者の資格ルートで見落としがちなのが、業種と資格の対応関係です。たとえば「1級建築施工管理技士」なら建築一式をはじめ多くの業種の技術者になれますが、資格の種類によって認められる業種は決まっています。「持っている資格が、取りたい業種に対応しているか」を必ず確認しましょう。

自社がどの業種で許可を取るべきか、そこから対応資格を逆算する考え方は、建設業の業種追加とは?29業種の区分と申請の要件・費用を解説 2026年度でも触れています。

常勤性・専任性の証明が必要

要件を満たす技術者がいても、それだけでは足りません。その人がその営業所に常勤していること(常勤性)と、他の営業所や他社の技術者を兼ねていないこと(専任性)を、書類で証明する必要があります。

  • 常勤性の証明……健康保険証(事業所名の記載があるもの)、住民税の特別徴収税額通知書、雇用保険の資格取得届など
  • 実務経験の証明……過去の工事の請負契約書・注文書・請求書+入金確認資料などで、経験年数分の工事実績を裏づけます

実務経験10年を証明するには、原則として10年分の工事の裏づけ資料が必要になります。古い契約書や通帳が残っていないと、経験があっても証明できず認められないことがあります。日ごろから契約書類を保管しておくことが、いざというときの備えになります。

専任技術者が要件を満たすかどうかの確認の流れ

  1. ステップ1 取得したい業種を決める
    まず、どの建設業の許可を取るのかを確定します。専任技術者の要件は業種ごとに判定するため、この出発点がずれると後の確認がすべてやり直しになります。
  2. ステップ2 資格・学歴・経験を棚卸しする
    候補となる技術者について、①国家資格②指定学科+実務③実務経験10年のどのルートで満たせそうかを確認します。資格があれば最短、なければ実務経験の証明資料の有無を点検します。
  3. ステップ3 証明資料を集める
    常勤性(健康保険証など)と、経験を裏づける契約書・注文書などをそろえます。足りない資料は早めに再発行を依頼します。
  4. ステップ4 申請書類にまとめる
    集めた資料をもとに、専任技術者証明書や実務経験証明書を作成し、許可申請に添付します。判断に迷う場合は行政書士に相談すると確実です。

特定建設業では要件がさらに厳しくなる

ここまでは一般建設業の話です。大規模な下請工事を出す特定建設業の許可では、営業所技術者(特定営業所技術者)の要件が加重され、原則として1級の国家資格者などが求められます。一般と特定の違いは、建設業許可の要件の関連記事群でも整理していく予定です。

よくある失敗

  • 他業種の経験を通算しようとする……実務経験10年は「取りたい業種」の経験に限られます。
  • 技術者が退職・転職して不在になる……専任技術者が欠けると許可の要件を満たさなくなります。後任の確保が必要です。
  • 資格の業種対応を確認していない……持っている資格が取りたい業種に対応していないことがあります。
  • 証明資料が足りない……経験はあっても書類で証明できず認められない、という相談は非常に多いです。

まとめ

専任技術者(営業所技術者)は、国家資格・指定学科+実務・実務経験10年のいずれかで要件を満たし、常勤性と専任性を書類で証明することが必要です。とくに実務経験10年ルートは資料集めがカギになります。令和6年12月からの名称変更(営業所技術者)も押さえておきましょう。

建設業許可の全体像は、建設業許可のすべて(総合ガイド)でまとめて解説しています。

専任技術者の要件のご相談は無料相談から

行政書士・藤原友事務所(世田谷区大原)では、建設業許可の専任技術者が要件を満たすかどうかの確認から、実務経験の証明資料のそろえ方、申請書類の作成までサポートしています。「うちの技術者で許可が取れる?」「10年の経験をどう証明する?」——そんなご相談を無料で承っています。お電話(03-4500-1030)またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。オンライン相談にも対応しております。

出典