建設業許可の要件|新規取得に必要な5つの条件を解説 2026年度

「そろそろ500万円を超える工事を受けたいので、建設業許可を取りたい」——職人さんや、下請けから元請けへステップアップしようとする会社から、よくいただくご相談です。 ただ、いざ調べてみると「経営業務の管理責任者」「専任技術者」といった聞き慣れない言葉が並び、自分の会社は要件を満たしているのか、何から手をつければいいのか分からない——そこで手が止まってしまう方が非常に多いのが実情です。 この記事では、建設業許可(一般建設業)の新規取得に必要な5つの要件を、世田谷区大原の行政書士・藤原友事務所が、専門用語をかみ砕きながら順番に解説します。

そもそも建設業許可はいつ必要になるのか

まず前提として、すべての工事に許可が必要なわけではありません。建設業許可が必要になるのは、1件あたり500万円以上(税込)の工事を請け負う場合です(建築一式工事は1,500万円以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事)。 裏を返せば、500万円未満の「軽微な建設工事」だけを請け負うのであれば、許可がなくても営業できます。しかし、
  • 元請けから「許可がないと発注できない」と言われた
  • 500万円以上の工事を受注できるようになりたい
  • 公共工事の入札に参加したい(この場合は許可+経営事項審査が前提)
といった場面では、許可の取得が不可欠になります。

建設業許可の5つの要件

建設業許可の許可基準は、建設業法第7条(一般建設業)に定められています。かみ砕くと、次の5つです。 1. 経営業務の管理責任者(経管)がいること 2. 専任技術者(専技)を営業所ごとに置いていること 3. 誠実性があること 4. 財産的基礎(500万円)があること 5. 欠格要件に該当しないこと これに加えて、近年は適切な社会保険への加入が実質的な要件となっています。一つずつ見ていきましょう。
国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。 (中略) 四 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。 建設業法 第7条

要件1:経営業務の管理責任者(経管)

もっとも多くの方がつまずくのが、この「経営業務の管理責任者」(略して経管)です。 これは、建設業の経営について一定期間の経験を持つ人を、常勤の役員(個人事業主なら本人)として置いていることを求める要件です。具体的には、
  • 許可を受けようとする建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験がある
  • または、建設業以外の建設業に関し6年以上の経営経験がある
といった経験が必要になります(2020年の法改正で要件はやや柔軟化され、「常勤役員等を直接補佐する体制」など複数のパターンが認められるようになりました)。 ポイントは、この経験を過去の履歴事項全部証明書(登記簿)や確定申告書、工事契約書などで客観的に証明しなければならないことです。「経験はあるはずだが、証明できる書類が残っていない」というケースが実務では非常に多く、ここが許可取得の最初の関門になります。

要件2:専任技術者(専技)

営業所ごとに、請け負う工事の専門知識を持つ専任技術者(略して専技)を常勤で置く必要があります。近年は「営業所技術者」という呼称も使われます。 専任技術者になれるのは、主に次のいずれかに該当する人です。
  • 国家資格保有者(1級・2級の施工管理技士、建築士、技術士など、取得したい業種に対応する資格)
  • 実務経験者(許可を受けたい業種について、原則10年以上の実務経験。指定学科の卒業があれば3〜5年に短縮)
経管と専技は同一人物が兼ねることも可能です。一人親方が法人化して許可を取る場合は、社長本人が経管と専技を兼ねるケースがよくあります。

要件3:誠実性

役員や事業主、支店長などが、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。建築士法・宅建業法などで免許取消処分を受けて5年を経過しない者などが該当すると、この要件を欠くことになります。通常の事業者であれば、特別な対応は不要です。

要件4:財産的基礎(500万円)

工事を安定して履行できるだけの財産的な裏付けが必要です。一般建設業の場合、次のいずれかを満たせばOKです。
  • 自己資本が500万円以上あること(直前決算の貸借対照表で確認)
  • または、500万円以上の資金調達能力があること(金融機関の残高証明書などで証明)
新設法人など決算がまだない場合は、資本金を500万円以上にしておく、あるいは通帳残高が500万円以上ある時点で残高証明書を取得することで、この要件をクリアするのが実務上の定番です。

要件5:欠格要件に該当しないこと

役員などが、破産して復権を得ていない、暴力団員である、一定の刑罰を受けて年数が経過していない、といった欠格要件に該当しないことが必要です。申請書には役員全員分の誓約書や身分証明書などを添付します。

【近年重要】適切な社会保険への加入

2020年10月以降、健康保険・厚生年金・雇用保険(適用対象の場合)への加入が許可の要件として明確化されました。社会保険の加入状況が確認できないと許可が下りませんので、未加入の事業者は許可申請の前に加入手続きを済ませておく必要があります。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

知事許可と大臣許可・費用と期間の目安

営業所が1つの都道府県内にのみある場合は「知事許可」、2つ以上の都道府県に営業所がある場合は「大臣許可」になります。世田谷区で東京都内のみに営業所がある会社なら、東京都知事許可が基本です。 新規取得にかかる法定費用(行政庁に支払う手数料)は、
  • 知事許可(新規) … 90,000円
  • 大臣許可(新規) … 150,000円(登録免許税)
取得までの期間は、書類がすべて揃ってから知事許可でおおむね1〜1.5ヶ月、大臣許可で3〜4ヶ月程度が目安です。これに加え、経管・専技の証明書類を集める準備期間が必要になります。 行政書士に申請を依頼する場合の報酬は、一般的な相場で10万円〜15万円前後が目安です(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)。

よくある失敗・つまずきポイント

  • 経管の経験を証明できない……過去の契約書や通帳を廃棄してしまい、5年の経験を裏付けられない
  • 専技の資格・実務経験が業種と合っていない……取りたい業種に対応しない資格だった
  • 500万円の残高証明のタイミングを逃す……申請直前に残高が下回ってしまった
  • 社会保険が未加入のまま申請してしまう
いずれも、申請前の要件チェックの段階で気づけば回避できるものばかりです。逆に、書類を作り始めてから発覚すると、大きな手戻りになります。 なお、建設業許可を取得した後は、毎年の決算変更届(事業年度終了届)の提出が義務になります。こちらは建設業の決算変更届とは?提出期限・必要書類・罰則を解説の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

まずは無料の要件チェックから

建設業許可は、要件さえ整理できれば決して取れない許可ではありません。しかし、「自分のケースで何が足りないのか」を最初に正確に把握することが、遠回りしないための最大のコツです。 行政書士・藤原友事務所(世田谷区大原)では、建設業許可の無料相談を承っています。「経管の経験が証明できるか不安」「必要書類を一緒に整理してほしい」——そんな段階からのご相談で構いません。お電話(03-4500-1030)またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。オンライン相談にも対応しております。

出典

建設業許可の全体像は、建設業許可のすべて(総合ガイド)でまとめて解説しています。