建設業許可の事業承継・相続とは?2020年改正の認可制度で許可を空白なく引き継ぐ方法 2026年版

「代表者が引退するので事業を息子に引き継ぎたい」「父が急に亡くなったが、建設業の許可はどうなる?」——建設業許可を持つ会社や個人事業では、こうした承継・相続の場面が必ず訪れます。

かつては、建設業許可は原則としてそのまま引き継ぐことができず、引き継ぐ側が新たに許可を取り直す必要があり、その間は許可が切れてしまうという問題がありました。しかし2020年(令和2年)10月施行の改正建設業法で、事前に認可を受ければ許可を空白なく引き継げる「承継の制度」が新設されました。この記事では、事業承継・相続で許可を引き継ぐ方法と注意点を、世田谷区大原の行政書士・藤原友事務所が解説します。

建設業許可は原則「引き継げない」——2020年改正までの問題

建設業許可は、許可を受けた本人(法人または個人)に与えられるものです。そのため、次のような場面では従来、許可をそのまま使うことができませんでした。

  • 会社を譲渡・合併・分割したとき(承継先の会社が別人格になる)
  • 個人事業主が法人成りしたとき(個人と会社は別人格)
  • 個人事業主が死亡したとき(相続人は別人)

改正前は、これらの場合に承継先が新たに許可を取り直す必要があり、新しい許可が下りるまでの間は許可が必要な建設工事を請け負えない「空白期間」が生じてしまうという大きな不利益がありました。

事業承継(譲渡・合併・分割)は「事前認可」で承継

2020年の改正で、譲渡・合併・分割による事業承継は、あらかじめ認可を受けることで、承継先が許可業者としての地位を引き継げるようになりました(建設業法17条の2)。ポイントは「事前」であることです。譲渡や合併の効力が生じる前に認可を受けておくことで、承継の日から切れ目なく許可が引き継がれます。

個人事業主が会社を設立して事業を移す「法人成り」も、この事業譲渡の認可を使えば許可を空白なく引き継げます。個人と法人どちらで許可を持つべきかは、個人事業主で建設業許可は取れる?法人とどちらが良いか・法人成りの注意点を解説 2026年版もあわせてご覧ください。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

相続は「死亡後30日以内」の認可申請

個人事業主が亡くなった場合の相続については、事前の認可ができないため、別のルールが設けられています。建設業法は次のように定めています。

(相続)第17条の3
建設業者が死亡した場合において、
(中略)
被相続人の死亡後三十日以内に、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者に申請して、その認可を受けることができる。
建設業法 第17条の3第1項(相続による建設業者の地位の承継)

つまり、建設業許可を持つ個人事業主が亡くなったとき、その事業を引き継ぐ相続人は「被相続人の死亡後30日以内」に相続の認可を申請する必要があります。そして、認可を申請してから認可・不認可の通知を受けるまでの間は、被相続人に与えられていた許可が相続人に与えられたものとみなされ、事業を続けられる仕組みになっています。これにより、急な相続でも許可を切らさずに事業を継続できます。

なお、相続放棄や遺産分割で争いがある場合は弁護士、不動産の相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士がそれぞれ扱う分野です。当事務所は建設業許可の承継・相続の認可申請を担当し、必要に応じて各専門家と連携します。相続手続き全体の流れは相続手続きの流れと期限|死亡後にやること一覧【チェックリスト付】2026年版で解説しています。

承継・相続の認可の流れ

  1. ステップ1 承継の形と時期を確認する
    譲渡・合併・分割・法人成り・相続のいずれにあたるかを確認します。相続以外は事前認可のため、効力発生日から逆算して準備します。
  2. ステップ2 承継先が許可要件を満たすか確認する
    承継する側が、経営業務の管理責任者・営業所技術者・財産的基礎などの許可要件を満たしているかを確認します。要件を欠くと承継の認可は受けられません。
  3. ステップ3 認可を申請する
    承継(譲渡・合併・分割)は効力発生前に、相続は死亡後30日以内に、許可行政庁へ認可を申請します。必要書類を整えて提出します。
  4. ステップ4 認可を受けて事業を継続する
    認可により承継先が許可業者の地位を引き継ぎます。相続は申請から通知までの間もみなし継続で営業でき、許可の空白を防げます。

承継・相続で気をつけたいこと

  • 承継先が許可要件を満たしていること……承継はあくまで地位の引き継ぎであり、承継する側が経営業務の管理責任者や営業所技術者などの要件を満たしていなければ認可されません。
  • 事前認可は余裕をもって……譲渡・合併・分割は効力発生日までに認可を受ける必要があるため、スケジュールに余裕をもって準備しましょう。
  • 相続は30日以内という短さ……葬儀などで慌ただしい時期ですが、期限が短いため早めの相談が肝心です。

まとめ

建設業許可は原則そのままでは引き継げませんが、2020年(令和2年)10月の改正で承継の認可制度ができました。譲渡・合併・分割・法人成りは「事前認可」相続は「死亡後30日以内の認可申請」で、いずれも許可を空白なく引き継げます。承継先が許可要件を満たしていることが前提で、とくに相続は期限が短いため、早めの準備が大切です。

建設業許可の全体像は、建設業許可のすべて(総合ガイド)でまとめて解説しています。

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