建設業許可の大臣許可と知事許可の違いとは?営業所の所在で決まる区分を解説 2026年版
建設業許可について調べていると、「大臣許可」と「知事許可」という2つの言葉が出てきます。「他県の現場も請け負いたいから大臣許可が必要では?」——こう考える方は多いのですが、実はここに大きな誤解があります。
大臣許可と知事許可の区分は、工事をする場所ではなく「営業所をどこに置くか」で決まります。この違いを正しく理解しないと、必要のない手続きをしてしまったり、逆に本来必要な大臣許可を取り損ねて法令違反になったりすることもあります。この記事では、大臣許可と知事許可の違いを、世田谷区大原の行政書士・藤原友事務所が解説します。
大臣許可と知事許可は「営業所の場所」で決まる
建設業許可は、営業所を置く場所によって次の2つに分かれます。
- 知事許可……1つの都道府県の区域内にのみ営業所を設ける場合
- 大臣許可……2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設ける場合
たとえば東京都内だけに営業所がある会社は「東京都知事許可」、東京都と神奈川県の両方に営業所がある会社は「国土交通大臣許可」になります。営業所が1か所だけなら、それがどこであっても知事許可です。
この区分は、建設業法で次のように定められています。
(建設業の許可)第3条
建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
建設業法 第3条第1項(建設業の許可・大臣許可と知事許可の区分)
条文のとおり、判断の分かれ目は「営業所が1つの都道府県で完結するか、複数の都道府県にまたがるか」という一点です。
どちらの許可でも工事は全国でできる
ここが最も誤解されやすいポイントです。知事許可であっても、建設工事は全国どこでも施工できます。
たとえば東京都知事許可の会社が、大阪府の現場や北海道の現場で工事を請け負っても、まったく問題ありません。許可の区分は「どこで工事するか」ではなく「どこに営業所があるか」で決まるため、知事許可か大臣許可かで営業できる区域や施工できる区域に制限はないのです。
したがって、「他県の工事を受注したいから大臣許可が必要」という考え方は誤りです。他県で工事をするだけなら知事許可のままで足り、大臣許可が必要になるのは「他県にも営業所を構えるとき」だけです。

「営業所」とは何か
大臣許可と知事許可の判断は営業所の場所で決まるため、「何が営業所にあたるか」がとても重要です。
建設業法上の営業所とは、本店・支店のほか、常時、建設工事の請負契約を締結する事務所を指します。具体的には、請負契約の見積り・入札・契約締結などを実際に行っている事務所が営業所です。
一方で、単なる登記上の本店や、資材置き場・作業員の詰所のように契約行為を行わない場所は、営業所には該当しません。現場事務所も、そこで契約を締結しないのであれば営業所ではありません。この「営業所にあたるかどうか」の判断を誤ると、許可区分そのものを間違えてしまうため注意が必要です。
大臣許可と知事許可の手続き・費用の違い
許可の効力(全国で施工できること)は同じですが、申請先・手数料・審査期間には違いがあります。
- 申請先……知事許可は各都道府県の担当窓口(東京都なら都市整備局)、大臣許可は主たる営業所を管轄する地方整備局などが窓口です。
- 手数料(新規)……知事許可は9万円(都道府県の収入証紙などで納付)、大臣許可は登録免許税15万円(国に納付)です。
- 審査期間……知事許可は各都道府県でおおむね1か月前後、大臣許可は国での審査となるためおおむね数か月と、長めになる傾向があります。【要確認:標準処理期間は申請先ごとに異なる】
なお、許可の有効期間はどちらも5年で、更新が必要な点は共通です。更新手続きの詳細は、建設業許可の更新手続き|有効期間5年・費用・期限切れ対策を解説 2026年度で解説しています。
知事許可から大臣許可へ(営業所を増やすとき)
事業拡大にともなって他県に営業所を新設する場合、知事許可から大臣許可への切り替えが必要になります。これは「許可換え新規」と呼ばれる申請です。
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- ステップ1 営業所の新設計画を確認する
- 他県に新設する事務所が、建設業法上の「営業所」(常時、請負契約を締結する事務所)にあたるかを確認します。契約行為を行わない資材置き場などは営業所に該当しません。
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- ステップ2 大臣許可の要件を満たすか確認する
- 各営業所に営業所技術者(旧・専任技術者)を配置できるか、経営業務の管理責任者などの要件を満たすかを確認します。営業所が増えれば必要な技術者も増えます。
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- ステップ3 許可換え新規を申請する
- 地方整備局などに大臣許可を申請します。現在の知事許可の有効期間が残っていても、新たに5年間の許可を取り直す形になります。
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- ステップ4 新しい許可で営業を開始する
- 大臣許可が下りたら、従来の知事許可は失効します。申請から許可までの間に空白が生じないよう、余裕をもったスケジュールで進めることが大切です。
逆に、複数県にあった営業所を1県に集約する場合は、大臣許可から知事許可への許可換え新規になります。
よくある誤解
大臣許可と知事許可については、次のような誤解がよく見られます。
- 「大臣許可のほうが格上で信用が高い」……効力は同じで、営業所の数の違いにすぎません。大臣許可だから工事の規模が大きく請けられる、というわけではありません(工事規模は一般建設業か特定建設業かで変わります)。
- 「他県で工事するから大臣許可が必要」……前述のとおり誤りです。営業所を他県に置かなければ知事許可のままで施工できます。
- 「営業所を増やしても知事許可のままでよい」……他県に営業所を置いたのに知事許可のままだと、無許可営業と同様の状態になり、監督処分や許可の取消しの対象になりかねません。営業所の新設時は必ず許可区分を確認しましょう。
一般建設業と特定建設業の区分については、特定建設業と一般建設業の違いとは?下請5,000万円の基準・要件・専技の差を解説 2026年版もあわせてご覧ください。
まとめ
大臣許可と知事許可の違いは、営業所を2以上の都道府県に置くか(大臣許可)、1つの都道府県だけに置くか(知事許可)という営業所の所在で決まります。どちらの許可でも工事は全国で施工でき、効力に地域的な制限はありません。他県に営業所を新設するときは許可換え新規が必要で、その際は許可の空白期間をつくらないことが大切です。
建設業許可の全体像は、建設業許可のすべて(総合ガイド)でまとめて解説しています。
大臣許可・知事許可のご相談は無料相談から
行政書士・藤原友事務所(世田谷区大原)では、自社がどちらの許可に該当するかの確認から、営業所の新設にともなう許可換え新規、新規許可の取得までサポートしています。「他県に支店を出すが手続きは?」「今の知事許可のままで大丈夫?」——そんなご相談を無料で承っています。お電話(03-4500-1030)またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。オンライン相談にも対応しております。




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