建設リサイクル法の届出とは?解体80㎡・着手7日前の期限と罰則を解説 2026年版
解体工事や大きな改修工事を受注したとき、建設業許可や解体工事業の登録とは別に、必ず確認しなければならない手続きがあります。それが建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)の届出です。
この届出は、期限が工事に着手する日の7日前までと短く、しかも届け出るのは工事をする会社ではなく発注者です。だからこそ「元請が出してくれていると思っていた」「施主に説明していなかった」という行き違いが起こりやすい手続きでもあります。この記事では、どの工事が対象になるのか、誰が何をいつまでに出すのかを、条文と東京都の運用にもとづいて順番に整理します。
建設リサイクル法の届出とは
建設リサイクル法は、建設工事で出るコンクリートや木材などを現場で分別し、再資源化することを義務づけた法律です。この義務がかかる工事を対象建設工事といい、対象建設工事にあたる場合は、工事の前に都道府県知事へ届け出る必要があります。

(対象建設工事の届出等)第10条
対象建設工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の七日前までに、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
一 解体工事である場合においては、解体する建築物等の構造
二 新築工事等である場合においては、使用する特定建設資材の種類
三 工事着手の時期及び工程の概要
四 分別解体等の計画
五 解体工事である場合においては、解体する建築物等に用いられた建設資材の量の見込み
六 その他主務省令で定める事項
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第10条第1項(対象建設工事の届出等)
条文をよく読むと、届出の主語は「対象建設工事の発注者又は自主施工者」です。つまり届出義務を負うのは施主であって、工事を請け負う施工業者ではありません。実務では元請業者が施主から委任を受けて代理で提出するのが一般的ですが、法律上の名義人はあくまで発注者です。委任状が必要になるのはこのためです。
なお、自分で自分の建物を壊す場合のように請負契約によらずに施工する人(自主施工者)も、同じく届出義務を負います。
対象になる工事の規模は4つ
すべての解体工事に届出が必要なわけではありません。届出が必要になるのは、特定建設資材を用いた建築物等の解体工事などのうち、政令で定める規模以上のものだけです。
(建設工事の規模に関する基準)第2条
法第九条第三項の建設工事の規模に関する基準は、次に掲げるとおりとする。
一 建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。以下同じ。)に係る解体工事については、当該建築物(当該解体工事に係る部分に限る。)の床面積の合計が八十平方メートルであるもの
二 建築物に係る新築又は増築の工事については、当該建築物(増築の工事にあっては、当該工事に係る部分に限る。)の床面積の合計が五百平方メートルであるもの
三 建築物に係る新築工事等(法第二条第三項第二号に規定する新築工事等をいう。以下同じ。)であって前号に規定する新築又は増築の工事に該当しないものについては、その請負代金の額(法第九条第一項に規定する自主施工者が施工するものについては、これを請負人に施工させることとした場合における適正な請負代金相当額。次号において同じ。)が一億円であるもの
四 建築物以外のものに係る解体工事又は新築工事等については、その請負代金の額が五百万円であるもの
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令 第2条第1項第一号〜第四号(建設工事の規模に関する基準)
表にすると次のとおりです。
| 工事の種類 | 規模の基準(これ以上で対象) |
|---|---|
| 建築物の解体工事 | 床面積の合計80㎡ |
| 建築物の新築・増築工事 | 床面積の合計500㎡ |
| 建築物の修繕・模様替(リフォーム等) | 請負代金の額1億円 |
| 建築物以外(土木工作物)の解体・新築工事等 | 請負代金の額500万円 |
木造住宅の解体でいえば、延べ床面積80㎡はおおむね24坪程度です。一般的な戸建てはほぼ対象に入ると考えておいたほうが安全です。
また、施行令第2条第2項は同一の者が2以上の契約に分割して請け負う場合は、1つの契約で請け負ったものとみなして規模を判定すると定めています。工事を2本に割って80㎡を下回らせるといった運用はできません。この考え方は、建設業許可における軽微な工事の500万円の判定と同じ発想です。
分別解体等の対象になる「特定建設資材」4品目
建設リサイクル法が再資源化を義務づけているのは、次の4つの資材です。
- コンクリート
- コンクリート及び鉄から成る建設資材(鉄筋コンクリートなど)
- 木材
- アスファルト・コンクリート
これらが使われている建築物等を、規模基準以上の工事で解体するときに、届出と分別解体等・再資源化等の義務が生じます。工事から出た廃棄物は原則として再資源化しなければなりませんが、建設発生木材については、現場から再資源化施設までの距離が50kmを超える場合など一定の要件を満たすときに、焼却などの縮減で足りるとされています。
なお、分別された後の建設資材廃棄物を運搬する行為は、産業廃棄物の収集運搬にあたります。自社で運ぶ場合の許可の要否は産業廃棄物収集運搬業許可の取り方で解説しています。
届出の内容と必要書類
届出書は様式第1号で、次のような書類を添えて提出します(自治体により多少の差があります)。
- 届出書(様式第1号)
- 分別解体等の計画等(別表):建築物の解体、建築物の新築等、建築物以外のものの工事で使う別表が分かれています
- 工事場所の案内図
- 設計図または現況写真
- 工程表
- 委任状(発注者が元請業者等に提出を委任する場合)
届出先は都道府県知事ですが、実際の窓口は特定行政庁です。東京都の場合、工事場所を所管する区市の建築課・建築指導課などが受理窓口になります。世田谷区や杉並区など各区が独自に受付案内を出しています。工事場所の区市窓口への事前確認から届出まで、当事務所に一括してご依頼いただけます。まずはご相談ください。東京都では令和3年10月からオンラインでの届出も受け付けています。
届出をした後に内容を変更するときは、変更後の工事に着手する日の7日前までに変更の届出が必要です(法第10条第2項)。また、都道府県知事は届出を受理した日から7日以内に限り、分別解体等の計画の変更などを命じることができます(同条第3項)。「7日前まで」は余裕を持った日程ではなく、審査のために最低限必要な期間だと考えてください。
届出から完了報告までの流れ
実務では次の順で進みます。契約の前に説明があり、契約書に記載し、それから届出という順序が法律上の建て付けです。
-
- ステップ1 対象建設工事かどうかを判定する
- 解体は80㎡、新築・増築は500㎡、修繕・模様替は1億円、工作物は500万円。分割契約は合算して判定します。
-
- ステップ2 元請業者が発注者へ書面で説明する
- 解体する建築物の構造、工事着手の時期と工程の概要、分別解体等の計画などを記載した書面を交付して説明します(法第12条第1項)。
-
- ステップ3 請負契約書に法定事項を記載する
- 建設業法第19条第1項の記載事項に加えて、分別解体等の方法・解体工事に要する費用などを書面に記載し、相互に交付します(法第13条)。
-
- ステップ4 着手の7日前までに届け出る
- 発注者の名義で、工事場所を所管する特定行政庁へ届出書と別表・案内図・設計図等を提出します。元請が代理する場合は委任状を添えます。
-
- ステップ5 下請負人へ届出事項を告げる
- 工事の全部または一部を下請に出すときは、届け出た内容(変更があれば変更後のもの)を下請負人に告げなければなりません(法第12条第3項)。
-
- ステップ6 分別解体等・再資源化等を実施する
- 主務省令で定める施工方法の基準に従って分別し、コンクリート塊・アスファルト・コンクリート塊・建設発生木材を再資源化等します。
-
- ステップ7 完了したら発注者へ書面で報告し、記録を保存する
- 元請業者は再資源化等の完了を発注者に書面で報告し、実施状況の記録を作成・保存します(法第18条第1項)。
元請業者に課される3つの義務
届出義務は発注者にありますが、元請業者にも別の義務が課されています。ここを取り違えると契約段階でつまずきます。
①契約前の説明義務(法第12条第1項)。対象建設工事を請け負おうとする業者は、発注者に対して、解体する建築物等の構造・工事着手の時期と工程の概要・分別解体等の計画などを記載した書面を交付して説明しなければなりません。口頭の説明では足りません。
②契約書への記載義務(法第13条)。対象建設工事の請負契約では、建設業法第19条第1項が求める記載事項に加えて、分別解体等の方法・解体工事に要する費用などを書面に記載して相互に交付します。下請契約も同様です。契約書の基本的な記載事項は建設工事の請負契約書の作り方で解説しています。
③完了報告と記録の保存義務(法第18条第1項)。再資源化等が完了したら、元請業者は発注者に書面で報告し、実施状況の記録を作成して保存します。報告を受けた発注者は、再資源化等が適正に行われていないと認めるときは、都道府県知事に申告して適当な措置を求めることができます。
届け出ないとどうなるか
建設リサイクル法には罰則が用意されています。
| 違反の内容 | 罰則 |
|---|---|
| 届出をせず、または虚偽の届出をした(法第10条第1項・第2項) | 20万円以下の罰金(法第51条第一号) |
| 分別解体等の計画の変更命令に違反した(法第10条第3項) | 30万円以下の罰金(法第50条第一号) |
| 再資源化等の記録を作成・保存しなかった(法第18条第1項) | 10万円以下の過料(法第53条第一号) |
金額としては大きくありませんが、法人の代表者や従業者が違反した場合には行為者だけでなく法人にも罰金刑が科されます(両罰規定・法第52条)。建設業許可を持つ会社にとって本当に怖いのは罰金額ではなく、他の法令違反として建設業法上の指示処分につながり得ることです。建設業法第28条第1項第三号は、建設業者が業務に関し他の法令に違反し建設業者として不適当と認められるときを指示処分の事由としています。
解体工事業の登録・建設業許可との違い
混同されやすいのが、同じ建設リサイクル法に定めのある解体工事業の登録(法第21条)です。これは「業として解体工事を請け負うための資格」の話であり、今回の届出は「個々の工事について事前に出す手続き」です。次のように整理してください。
| 手続き | 誰が | いつ | 単位 |
|---|---|---|---|
| 解体工事業の登録(法第21条) | 解体工事業を営む者 | 営業を始める前・5年ごとに更新 | 営業(会社)ごと |
| 建設業許可(土木・建築・解体) | 500万円以上の工事を請け負う業者 | 営業を始める前・5年ごとに更新 | 営業(会社)ごと |
| 対象建設工事の届出(法第10条) | 発注者・自主施工者 | 着手の7日前まで | 工事ごと |
土木工事業・建築工事業・解体工事業の建設業許可を受けている場合は、解体工事業の登録は不要です。登録と許可の線引きは解体工事業登録と建設業許可(解体工事業)の違いで詳しく解説しています。許可そのものの要件は建設業許可の要件をご覧ください。
費用と期間の目安
届出に手数料はかかりません。費用が発生するのは、案内図・設計図の準備や、専門家に作成を依頼する場合の報酬です。
期間は、図面がそろっていれば書類作成に2〜3日、そこから着手の7日前までに提出する日程を逆算します。着工日から数えて最低でも10日程度の余裕を見ておくと安心です。解体工事は近隣説明や電気・ガスの停止手続きと並行して進むため、届出だけが遅れて着工日がずれる例が少なくありません。当事務所にご依頼いただく場合の報酬は、建築物か工作物か、棟数や図面の有無によってお見積りします(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)。
届出の受理窓口、添付図書の種類と部数、オンライン申請の可否は、工事場所を所管する自治体によって運用が異なります。着工前の手続き内容は、所管窓口の最新の案内で定められています。また、都道府県は条例で政令の規模基準に代わる基準を定めることができるため(法第9条第4項)、規模基準そのものが上乗せされている区域がないかも確認が必要です。
よくある失敗3つ
①元請が出してくれていると思い込む。届出の名義人は発注者です。元請が代理提出する場合は委任状が要ります。誰が出すのかを契約時に決めておかないと、着工直前に慌てることになります。
②契約書に分別解体等の方法と費用を書いていない。法第13条の記載事項が抜けた契約書は、それ自体が法令違反です。解体費用を「一式」とだけ書いている契約書は見直しが必要です。
③80㎡をわずかに下回るという自己判断で出さない。床面積の算定は解体に係る部分の合計です。附属屋や増築部分を数え落とすと、実際には対象だったということが起こります。判断に迷う規模なら、窓口に相談してから決めましょう。
まとめ
建設リサイクル法の届出は、対象建設工事に着手する日の7日前までに、発注者の名義で特定行政庁へ提出する手続きです。対象になるのは、建築物の解体なら床面積80㎡以上、新築・増築なら500㎡以上、修繕・模様替なら請負代金1億円以上、工作物なら500万円以上。元請業者には契約前の書面説明・契約書への記載・完了報告という3つの義務があり、届出を怠れば20万円以下の罰金の対象です。解体を扱う会社にとっては、解体工事業の登録や建設業許可とセットで押さえておきたい手続きといえます。
建設業許可の全体像は、建設業許可のすべて(総合ガイド)でまとめて解説しています。
解体工事の受注が決まったが手続きの順番が分からない、という段階でも構いません。初回のご相談は無料です。お電話(03-4500-1030)のほかオンラインでも承っています。




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