法人・組合の種類と違い一覧|会社・一般社団・NPO・協同組合を比較 2026年版

「会社をつくろう」と思ったとき、実は選択肢は株式会社だけではありません。合同会社、一般社団法人、NPO法人、各種の組合など、目的に応じてさまざまな法人・組合の形があります。どれを選ぶかで、設立の費用や手間、税金、そして必要な仲間の人数まで変わってきます。 この記事では、代表的な8つの法人・組合を一覧の比較表で整理し、目的別の選び方まで、会社設立・許認可を数多く扱う世田谷区大原の行政書士・藤原友事務所が分かりやすく解説します。

まず押さえたい「法人・組合を選ぶ5つの視点」

最初の大きな分かれ道は、「利益を出資者で分け合いたいか(営利か)」です。 これに、次の5つの視点を重ねると、自分に合う形が見えてきます。
  • 営利か非営利か:利益を構成員に分配できるか
  • 必要な人数:1人でよいか、複数人・多人数が必要か
  • 設立の重さ:登記だけでよいか、認証・認可が必要か
  • 費用:登録免許税や定款認証の有無
  • 課税:法人として課税されるか、構成員に直接課税されるか
なお、「非営利」は「儲けてはいけない」という意味ではなく、「利益を構成員(社員・組合員)に分配しない」という意味です。非営利の法人でも、事業で収益を上げたり、働いた人に給料を支払ったりすること自体は問題ありません。
(定款の記載又は記録事項)第11条
(中略)
2 社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しない。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第11条第2項(剰余金・残余財産の分配)

【一覧】主な法人・組合の比較表

種類 根拠法 営利/非営利 最低人数 設立の手続きと登録免許税 課税
株式会社 会社法 営利(分配可) 発起人1名〜 定款認証+登記/最低15万円 法人課税
合同会社 会社法 営利(分配可) 社員1名〜 登記のみ(認証不要)/最低6万円 法人課税
一般社団法人 一般社団・財団法人法 非営利(分配不可) 社員2名〜 定款認証+登記/6万円 法人課税(非営利型は収益事業のみ)
NPO法人 特定非営利活動促進法 非営利 社員10名〜 所轄庁の認証+登記/非課税(0円) 法人課税(収益事業のみ)
事業協同組合 中小企業等協同組合法 相互扶助(非営利) 組合員4名〜 行政庁の認可+登記/非課税 法人課税(軽減税率あり)
企業組合 中小企業等協同組合法 相互扶助 組合員4名〜 行政庁の認可+登記/非課税 法人課税(軽減税率あり)
有限責任事業組合(LLP) 有限責任事業組合契約法 営利 組合員2名〜 登記(法人格なし)/6万円 構成員課税(パススルー)
労働者協同組合 労働者協同組合法 非営利(従事分量配当) 組合員3名〜 届出+登記(準則主義)/非課税 法人課税
※株式会社・合同会社の登録免許税は「資本金の額×0.7%」で計算し、その額が最低額(15万円・6万円)を上回る場合はその額になります。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

営利で事業をするなら:株式会社・合同会社

利益を出資者で分け合いながら事業を営むなら、会社(株式会社・合同会社)が基本です。

株式会社

株式を発行して出資を集め、事業を大きく育てていくのに向いた、最も一般的な会社形態です。
  • メリット:社会的信用が高く、金融機関からの融資や出資による資金調達がしやすい。人材採用や取引の面でも有利です。
  • 特徴・注意設立時の登録免許税は最低15万円と費用は高めで、定款の公証人認証も必要です。決算公告の義務など、運営の手間もかかります。
  • 向いている業種・ケースの例:情報通信・ソフトウェア開発、製造業、小売・飲食チェーンなど成長や資金調達を目指す事業、企業間取引で信用を求められる事業、将来の株式上場を視野に入れる事業。

合同会社

2006年にできた比較的新しい会社形態で、株式会社より手軽に作れます。
  • メリット:設立費用が安く(登録免許税は最低6万円・定款認証は不要)、手続きもスピーディー。利益配分や意思決定のルールを柔軟に決められ、ランニングコストも軽めです。
  • 特徴・注意:株式会社に比べて知名度・信用の面で見劣りする場面があり、株式による上場はできません。
  • 向いている業種・ケースの例:小規模に始める飲食店・美容室・小売店、個人事業からの法人化、資産管理会社、クリエイターや専門サービスの法人化。
会社形態で迷ったら、株式会社と合同会社の違い|費用・信用・税金・決算公告で比較、設立の全体像は会社設立の流れ|費用・期間・株式会社の設立手順を解説もご覧ください。

非営利の活動をするなら:一般社団法人・NPO法人

利益の分配を目的とせず、社会的な活動や会員向けの事業を行うなら、一般社団法人やNPO法人が候補になります。

一般社団法人

人の集まりに法人格を与える、使い勝手のよい非営利法人です。
  • メリット:社員2名から設立でき、事業目的も自由。設立が比較的早く(登録免許税6万円)、「非営利」の信頼感を活かしつつ、収益事業も行えます。協会・業界団体・資格認定などの運営に向きます。
  • 特徴・注意:剰余金を社員に分配することはできません。要件を満たして「非営利型」にすると、収益事業以外は課税されない税制上のメリットがあります。
  • 向いている業種・ケースの例:業界団体・協会、資格認定や検定を行う団体、学会・同窓会、スポーツ・文化団体、地域コミュニティの運営。

NPO法人

「特定非営利活動」を行うための、社会的信頼が高い法人です。
  • メリット:ボランティアや寄附、行政との協働を得やすく、設立時の登録免許税は非課税。将来「認定NPO法人」になれば寄附者に税優遇が付き、さらに寄附を集めやすくなります。
  • 特徴・注意設立には社員が10名以上必要で、活動は20分野に限定されます。所轄庁(東京都など)の認証で設立まで数ヶ月かかり、毎年の事業報告書提出など情報公開の義務があります。
  • 向いている業種・ケースの例:福祉・介護、子育て支援、環境保護、まちづくり、国際協力、災害支援など、寄附やボランティアを集めて行う市民活動・社会貢献事業。
なお、一般社団法人・NPO法人は、将来それぞれ公益社団法人認定NPO法人として税制優遇を受ける道もあります(別記事で解説予定です)。

仲間や事業者で協同するなら:協同組合・LLP・労働者協同組合

同業者や仲間と協力して事業を行う「組合」にも、いくつかの種類があります。

事業協同組合

中小企業者どうしが相互扶助のために作る、最も一般的な組合です。
  • メリット:4名以上の中小事業者が集まり、共同購買・共同受注・共同宣伝などでスケールメリットを得られます。組合向けの金融・共済などの支援策も活用できます。
  • 特徴・注意:設立には行政庁の認可が必要です。組合員はそれぞれ独立した事業者のままで、組合が事業そのものを引き取るわけではありません。
  • 向いている業種・ケースの例:同業の中小企業が集まる建設業・運送業・製造業・商店街などでの共同購買・共同受注・共同宣伝。外国人技能実習生の共同受入れ(監理団体)にも使われます。

企業組合

個人が集まって、一つの企業体をつくる組合です。
  • メリット:4名以上の個人が資本を出し合い、法人として事業を営めます。少ない元手で創業したい人や、小規模事業者が力を合わせるのに向きます。
  • 特徴・注意:認可制で、組合員は原則として組合の事業に従事します。組合員比率・従事比率などのルールがあります。
  • 向いている業種・ケースの例:主婦・シニア・若者などが少人数で始める飲食・小売・サービス業、地域に根ざした事業、専門技能を持つ人が集まって行う事業。

有限責任事業組合(LLP)

法人格を持たない、契約にもとづく「組合」です。
  • メリット:出資者全員が有限責任で、損益の分け方を出資比率に縛られず自由に決められます。パススルー課税により組合の段階では法人税がかからず、損益を各自の所得に取り込めます。専門家どうしの共同事業や共同研究開発に向きます。
  • 特徴・注意:法人格がないため、そのまま株式会社などへ組織変更することはできません。
  • 向いている業種・ケースの例:弁護士・会計士・デザイナーなど専門家どうしの共同事業、複数企業による共同研究開発や産学連携、期間を区切った共同プロジェクト。

労働者協同組合

2022年10月に始まった、新しい「働き方」の法人制度です。
  • メリット:組合員が出資し、意見を反映しながら、自ら事業に従事します。認可が不要(届出+登記)で比較的作りやすく、介護・子育て・地域づくりなど幅広い事業に使えます。
  • 特徴・注意:組合員は3名以上。利益は出資額ではなく「事業に従事した分量」に応じて分配(従事分量配当)し、出資配当はできません。配当を目的とする営利事業には向きません。
  • 向いている業種・ケースの例:介護・福祉、子育て支援、生活支援、地域づくり、農業、清掃・リサイクルなど、地域の担い手が出資し合って働く事業。

どれを選ぶ?目的別のヒント

  • 利益を出して分配したい・信用を重視したい … 株式会社(手軽に始めるなら合同会社
  • 会員向けの事業や協会・非営利の活動をしたい … 一般社団法人
  • 市民活動を行い、寄附を集めたい … NPO法人(将来の認定NPO法人も視野に)
  • 同業の事業者で共同事業をしたい … 事業協同組合/個人が集まり一体で事業 … 企業組合
  • 専門家同士が対等に共同事業をしたい … 有限責任事業組合(LLP)
  • みんなで出資し、働く新しい働き方 … 労働者協同組合
最適な形は、事業の目的・人数・税金・将来の展開によって変わります。「うちの場合はどれがいい?」と迷ったら、設立の前に専門家へ相談すると、後戻りの少ない選択ができます。

法人設立の無料相談を受け付けています

行政書士・藤原友事務所(世田谷区大原)では、会社設立から一般社団法人・NPO法人・各種組合まで、目的に合った法人・組合の選択と設立手続きを一貫してサポートしています。「どの形が自分の事業に合うか分からない」という入口の段階からのご相談も歓迎です。無料相談はお電話(03-4500-1030)またはお問い合わせフォームから。オンライン相談にも対応しております。

出典

会社設立・法人化の全体像は、会社設立の総合ガイドでまとめて解説しています。