死亡後14日以内の役所手続き|死亡届・世帯主変更・保険証の返納を解説 2026年版

ご家族が亡くなった直後は、通夜・葬儀の準備に追われ、役所の手続きまで気が回らないのが普通です。それでも最初の2週間だけは、期限が決まっている手続きが集中しています。ここを押さえておけば、あとは落ち着いてから進めても間に合うものがほとんどです。

この記事では、死亡後14日以内に区役所・市役所で行う手続きを、期限の根拠となる条文とあわせて一覧で整理します。世田谷区が配布している「ご遺族の方へ」の案内を実例として使いながら、何を・いつまでに・どこの窓口で行うのかを具体的にご説明します。

最初の2週間でやることの全体像

役所での手続きは数が多く見えますが、期限があるものは意外と限られています。まず全体像を押さえてください。

期限 手続き 窓口
7日以内 死亡届の提出(あわせて火葬許可の申請) 市区町村の戸籍窓口
14日以内 世帯主変更届 市区町村の住民記録窓口
14日以内 国民健康保険の被保険者証(資格確認書)の返納 国民健康保険の窓口
14日以内 扶養されていた家族の国民健康保険への加入 国民健康保険の窓口
10日・14日以内 年金受給権者死亡届(厚生年金10日・国民年金14日) 年金事務所・市区町村の年金窓口
期限なし 介護保険証・後期高齢者医療の保険証・障害者手帳の返納 各担当課
2年以内 葬祭費・埋葬料の申請、死亡一時金の請求 加入していた保険の窓口

ポイントは、返納するだけのものには期限がないことが多いという点です。世田谷区の案内でも、介護保険被保険者証や後期高齢者医療の保険証の返納は「期限なし」と明記されています。あわてて何度も窓口に足を運ぶ必要はありません。

7日以内 死亡届と火葬許可

最初に必ず行うのが死亡届です。期限は戸籍法に定められています。

(死亡及び失踪)第86条

死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から7日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から3箇月以内)に、これをしなければならない。

2 届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。
戸籍法 第86条第1項・第2項(死亡の届出の期限)

起算点は「死亡した日」ではなく「死亡の事実を知った日」です。遠方の親族が後から訃報を受け取った場合も、知った日から数えます。届出先は、亡くなった方の本籍地・死亡地、または届出人の所在地の市区町村です。

実務では、死亡届と火葬許可申請書はセットで提出し、その場で火葬許可証を受け取ります。火葬許可証がなければ火葬ができないため、葬儀社が代行して提出してくれるケースがほとんどです。ただし届出人として署名するのはご遺族ですので、押印や記載内容の確認はご自身で行うことになります。

期限を過ぎた場合の定めもあります。

第137条

正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、5万円以下の過料に処する。
戸籍法 第137条(届出を怠った場合の過料)

期限内に届け出ないと5万円以下の過料の対象になります。火葬ができないため実際に遅れることはまれですが、期限が法律上のものであることは知っておいてください。

あわせて、死亡届の提出前に死亡診断書のコピーを複数枚とっておくことを強くおすすめします。生命保険の請求や年金の手続きで繰り返し求められるためです。提出してしまうと原本は戻ってきません。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

14日以内① 世帯主変更届

亡くなった方が世帯主だった場合に必要な手続きです。根拠は住民基本台帳法にあります。

(世帯変更届)第25条

第22条第1項及び第23条の場合を除くほか、その属する世帯又はその世帯主に変更があつた者(政令で定める者を除く。)は、その変更があつた日から14日以内に、その氏名、変更があつた事項及び変更があつた年月日を市町村長に届け出なければならない。
住民基本台帳法 第25条(世帯変更届は14日以内)

注意したいのは、世帯主が亡くなれば必ず届出が必要になるわけではないことです。次の場合は届出が不要とされています。

  • 世帯に残るのが1人だけの場合:その方が自動的に世帯主になるため、届出は要りません
  • 残るのが親と15歳未満の子だけの場合:新しい世帯主が明らかなため、届出は要りません
  • 亡くなった方が世帯主でなかった場合

逆に、残された家族が2人以上いて、そのうち誰が世帯主になるか選べる状態のときに届出が必要になります。母と成人した子2人が残るケースなどが典型です。

14日以内② 健康保険証の返納と資格の切り替え

亡くなった方が国民健康保険に加入していた場合、被保険者証(または資格確認書)と高齢受給者証を14日以内に返納します。世田谷区の案内でも「お亡くなりになった日から14日以内」と明記されています。

見落とされやすいのが、亡くなった方の勤務先の健康保険に扶養家族として入っていたご家族です。被扶養者としての資格を失うため、国民健康保険への加入手続きが別途必要になります。こちらも期限は14日以内です。手続きには、勤務先から発行される資格喪失証明書が必要になりますので、早めに依頼してください。

一方、後期高齢者医療制度(75歳以上の方など)の保険証の返納については、世田谷区の案内では期限が設けられていません。介護保険被保険者証・介護保険負担割合証の返納も同様に「期限なし」です。ただしこの扱いは自治体によって異なり、14日以内と案内している市区町村もありますので、住民登録地の案内を確認しましょう。

なお、世帯主が変わる場合は、残されたご家族の国民健康保険証も再交付が必要になります。返納と再交付をまとめて済ませられるよう、家族全員分の保険証と本人確認書類を持って窓口に行くと一度で終わります。

年金の手続き 厚生年金は10日・国民年金は14日

年金を受け取っていた方が亡くなったときは、受給を止める手続きが必要です。期限の目安は厚生年金が10日以内、国民年金が14日以内とされています。手続きが遅れると年金を受け取りすぎてしまい、後から返還を求められます。

ただし現在は、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、受給権者死亡届の提出を原則として省略できます。日本年金機構の案内でも「原則として、『年金受給権者死亡届(報告書)』を省略できます」と明記されています。ご自身で判断がつかない場合は、年金事務所に電話で確認しましょう。

省略できないのが未支給年金の請求です。年金は亡くなった月の分まで支給されますが、後払いのため必ず受け取っていない分が残ります。これは自動では支払われず、遺族からの請求が必要です。請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた次の方で、番号は優先順位を表します。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. その他3親等内の親族

先順位の方がいる場合、後順位の方は受け取れません。また同順位が複数いるときは、そのうち1人が代表して請求します。請求できる期間は5年です。

期限に余裕があるが忘れやすい手続き

次の3つは期限が長い分、そのまま忘れられてしまうことが多い手続きです。

  • 葬祭費(国民健康保険):葬儀を行い費用を負担した方に支給されます。世田谷区の場合は7万円で、申請期限は葬儀を行った日の翌日から2年です
  • 葬祭費(後期高齢者医療制度):こちらも葬儀を行った方に支給され、期限は同じく2年です。金額は自治体により異なります
  • 死亡一時金(国民年金):国民年金第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取らずに亡くなったときに支給されます。期限は亡くなった日の翌日から2年です

なお、勤務先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に本人として加入していた方が亡くなった場合は、国民健康保険の葬祭費ではなく健康保険の埋葬料が支給されます。どちらか一方しか受け取れませんので、加入先の確認から申請までは、当事務所に一括してご依頼いただけます。まずはご相談ください。

役所手続きの進め方

効率よく終わらせるための順番は、ほぼ決まっています。

  1. ステップ1 死亡診断書のコピーをとる
    死亡届に添付して提出すると原本は戻りません。生命保険・共済・勤務先への提出で繰り返し必要になるため、5枚程度コピーしておきます。
  2. ステップ2 死亡届と火葬許可申請を出す(7日以内)
    葬儀社が代行することが多い手続きです。届出人の署名はご遺族が行います。受け取った火葬許可証は火葬後に埋葬許可証として返されるため、納骨まで大切に保管します。
  3. ステップ3 役所の「お悔やみ窓口」を予約する
    多くの自治体が、必要な手続きをまとめて案内する窓口や手続きガイドを用意しています。世田谷区も「くらしの手続きガイド(お悔やみ)」を運用しています。先に予約してから行くと待ち時間が大幅に減ります。
  4. ステップ4 世帯主変更・保険証の返納をまとめて行う(14日以内)
    亡くなった方の保険証、ご家族全員の保険証、本人確認書類、印鑑、届出人のマイナンバーが分かるものを持参します。葬祭費の申請がある場合は、返納より先に申請しましょう。
  5. ステップ5 年金の手続きをする
    受給停止はマイナンバー収録済みなら原則不要です。未支給年金・遺族年金は自動では支給されないため、年金事務所または市区町村の年金窓口で請求します。
  6. ステップ6 相続の手続きに移る
    役所の手続きが片付いたら、戸籍の収集・相続人の確定・財産の調査へ進みます。相続手続きの流れと期限で全体像をご確認ください。

よくある失敗

  • 死亡診断書のコピーをとらずに提出してしまう:再発行には医療機関の手数料(数千円)がかかります
  • 世帯主変更届が必要かどうかを確認しないまま放置する:残る家族が2人以上いる場合は必要です。国民健康保険証の記載にも影響します
  • 葬祭費の申請前に保険証を返してしまう:被保険者番号が分からなくなり、申請に手間がかかります
  • 未支給年金を請求し忘れる:受給停止だけして終わりにしてしまうと、受け取れるはずの年金が支給されないままになります
  • 公共料金や携帯電話の名義変更を後回しにする:口座は死亡の連絡で凍結されるため、引落しが止まって延滞になることがあります。預貯金の相続手続きもあわせてご確認ください

費用と期間の目安

役所での手続き自体に手数料はほとんどかかりません。費用が発生するのは、戸籍謄本などの証明書の取得です。戸籍全部事項証明書は1通450円、除籍・改製原戸籍は1通750円、住民票の除票は1通300円前後が目安です。相続手続きでは出生から死亡までの戸籍をそろえる必要があり、合計で数千円から1万円程度になることが多くなります。

期間の目安は、役所の手続きが窓口1〜2回・半日程度です。一方で相続手続きは、戸籍の取り寄せだけで2週間から1か月ほどかかります。

当事務所では、戸籍の収集と相続人の確定を3万円台から、遺産分割協議書の作成を含めた相続手続きのサポートを承っています(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)。なお、年金の請求手続きの代行は社会保険労務士、相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士の業務ですので、必要に応じて各専門家と連携してお手伝いします。

まとめ

亡くなった直後の役所手続きは、次の3つだけ覚えておけば十分です。

  • 7日以内に死亡届(火葬許可とセット。葬儀社が代行することが多い)
  • 14日以内に世帯主変更届と国民健康保険の返納(扶養されていた家族の加入手続きも)
  • 年金は早めに(受給停止はマイナンバー収録済みなら原則不要。未支給年金は請求が必要)

それ以外の返納や葬祭費の申請は、落ち着いてからで間に合います。ご葬儀の直後に完璧を目指す必要はありません。期限のあるものだけ先に片付け、相続の手続きはその後でという順番が、結果的にいちばん確実です。

相続手続き全体の進め方は、相続手続きの総合ガイドでまとめて解説しています。

行政書士 藤原友事務所(東京都世田谷区大原)では、戸籍の収集から相続人の確定、遺産分割協議書の作成まで、相続の手続きをまとめてお手伝いしています。相続のご相談は累計400件を超え、初回のご相談は無料です。お電話(03-4500-1030)のほか、オンラインでのご相談にも対応しています。「何から手をつければよいか分からない」という段階でお気軽にご連絡ください。

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