ドローンの機体登録と技能証明(一等・二等)|レベル4飛行まで解説 2026年版
「ドローンを仕事で使うには国家資格が必要なのか」「登録と許可は何が違うのか」——ドローンのご相談で最も多いのがこの混乱です。航空法の手続きは、①機体の登録、②飛ばし方についての許可・承認、必要に応じて取る③操縦者技能証明と機体認証の3層に分かれています。
許可・承認の手続きはドローンの飛行許可・承認申請とはで解説しました。この記事では、その前提になる登録と、国家資格である技能証明(一等・二等)、機体認証、そしてカテゴリーの区分を、条文と国土交通省の資料をもとに整理します。
結論|登録は全員の義務、資格は「飛ばし方」で選ぶもの

屋外で飛ばす100グラム以上の機体は、趣味でも業務でも登録が必要です。一方で、技能証明は取得そのものが義務ではありません。人口集中地区の上空や夜間・目視外の飛行は、資格がなくても許可・承認を受ければ行えます。一等無人航空機操縦士が欠かせないのは、第三者の上空で特定飛行を行うカテゴリーⅢ(いわゆるレベル4を含む)の場面です。二等か一等かで悩む前に、どのカテゴリーの飛行をするのかを決めるのが順番です。
100グラム以上の無人航空機の登録義務と登録記号の表示
令和4年6月20日から、重量(機体本体と電池の合計)100グラム以上の無人航空機は登録が義務になりました。100グラム未満のものは「模型航空機」として扱われ、登録や許可・承認のルールはかかりません。
(登録の一般的効力)第132条の2
無人航空機は、無人航空機登録原簿に登録を受けたものでなければ、これを航空の用に供してはならない。ただし、試験飛行を行うことにつきあらかじめ国土交通大臣に届け出ている場合その他の国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
航空法 第132条の2(未登録の無人航空機の飛行の禁止)
登録は所有者が申請し、機体の種類・型式・製造者・製造番号と、所有者・使用者の氏名や住所が登録されます(同法第132条の4)。手続きはオンラインの申請システム(DIPS2.0)が基本で、紙の書類による申請もできます。登録後に住所などが変わったときや、機体が滅失・2か月間所在不明になったときは、15日以内に変更の届出や抹消の申請が必要です(同法第132条の8・第132条の11)。
通知された登録記号は、遅滞なく機体に表示します(同法第132条の5)。文字の高さは25キログラム未満の機体で3ミリメートル以上、25キログラム以上で25ミリメートル以上です。容易に取り外せない外から見やすい箇所に、シールや油性の筆記具など耐久性のある方法で表示しましょう。電池の蓋のように交換する部品は避けるのが無難です。
リモートID(内蔵型・外付型と、免除される場合)
登録記号の表示に加えて、機体の識別情報を電波で発信するリモートID機能が必要です。発信されるのは製造番号・登録記号と、位置・速度・高度・時刻で、所有者の氏名や住所は含まれません。
機能には、機体に組み込まれた内蔵型と、後から機器を付ける外付型があり、性能に違いはありません。外付型は機器の製造者・型式・製造番号も登録します。搭載が免除されるのは、次のような場合です。
- 令和3年12月20日から令和4年6月19日までの事前登録期間中に登録手続きを行った機体
- 国に届け出た「リモートID特定区域」で、補助者の配置や範囲の明示をして行う飛行
- 長さ30メートル以内の十分な強度の紐などで係留して行う飛行
- 警察庁・都道府県警察・海上保安庁が秘匿を要する業務で行う飛行
登録の有効期間と更新・手数料
登録の有効期間は3年です。航空法は「三年以上五年以内において国土交通省令で定める期間」ごとに更新しなければ効力を失うと定め(第132条の6第1項)、国土交通省はこれを3年として運用しています。有効期限の1か月前以降に更新すれば、新しい期限は現在の満了日の翌日から3年後になりますので、満了の1か月前を目安に手続きしましょう。
手数料は新規登録と更新で同額です(航空法関係手数料令第8条)。
| 申請方法と本人確認 | 1機目 | 同時に申請する2機目以降 |
|---|---|---|
| マイナンバーカード(法人は法人共通認証基盤)によるオンライン申請 | 900円 | 890円 |
| 運転免許証・旅券などによるオンライン申請 | 1,450円 | 1,050円 |
| 紙の書類による申請 | 2,400円 | 2,000円 |
複数の機体は同時に申請すると2機目以降が安くなり、更新時期もそろって管理が楽になります。
操縦者技能証明(一等・二等)と限定変更
令和4年12月5日に始まった無人航空機操縦者技能証明は、ドローンの国家資格です。一等と二等の違いは、条文で次のように定められています。
(資格)第132条の42
技能証明は、次の各号に掲げる資格の区分に応じ、当該各号に定める無人航空機の飛行に必要な技能について行う。
一 一等無人航空機操縦士 第百三十二条の八十五第一項に規定する立入管理措置を講ずることなく行う第百三十二条の八十七に規定する特定飛行
二 二等無人航空機操縦士 第百三十二条の八十五第一項に規定する立入管理措置を講じた上で行う第百三十二条の八十七に規定する特定飛行
航空法 第132条の42第一号・第二号(一等・二等無人航空機操縦士の区分)
「立入管理措置」とは、飛行経路の下に操縦者と補助者以外の人が立ち入らないよう管理する措置です。つまり二等は第三者の立入りを管理したうえでの特定飛行、一等は第三者の上空での特定飛行のための資格で、一等は二等の範囲を含みます。
取得の流れ
16歳以上であれば申請できます(同法第132条の45)。試験は身体検査・学科試験・実地試験で、国の登録講習機関の講習を修了すると実地試験が免除されます(同法第132条の50)。講習の受講や試験はご本人が行う必要があります。
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- ステップ1 申請者番号を取得する
- オンラインの申請システム(DIPS2.0)で技能証明申請者番号を取得します。講習・試験・交付はこの番号で管理されます。
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- ステップ2 登録講習機関で講習を受ける(任意)
- 修了すれば実地試験が免除されます。講習を受けずに実地試験を直接受けることもできます。
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- ステップ3 学科試験に合格する
- 指定試験機関(一般財団法人日本海事協会)の学科試験を受けます。合格しないと実地試験に進めません。
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- ステップ4 実地試験と身体検査を受ける
- 講習修了者は実地試験が免除です。身体検査は書類の提出か会場での受検で行います。
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- ステップ5 技能証明書の交付を受ける
- 交付を申請して手数料を納めます。一等は登録免許税も納付します。
限定と限定変更
技能証明には限定が付き、その範囲を超えて特定飛行はできません(同法第132条の43)。限定は、機体の種類(マルチローター・ヘリコプター・飛行機)、目視内限定、昼間限定、最大離陸重量25キログラム未満の限定の4つです。後から限定変更を受ければ、機体の種類の追加や、目視外・夜間・25キログラム以上の飛行に広げられます。
有効期間は3年、更新には講習が必要
(技能証明の有効期間)第132条の51
技能証明の有効期間は、三年とする。
2 前項の有効期間は、その満了の際、申請により更新することができる。
航空法 第132条の51第1項・第2項(技能証明の有効期間と更新)
更新には、登録更新講習機関の更新講習の修了と、身体適性の基準を満たすことが必要です(同条第3項)。身体適性は多くの場合、運転免許証で代えられます。更新の申請は、有効期間が満了する日の6か月前から1か月前までに行う必要があります。更新講習の修了証明書は発行から3か月以内のものに限られるため、講習の時期も逆算しておきましょう。
国に納める手数料
| 区分 | 一等 | 二等 |
|---|---|---|
| 学科試験 | 9,900円 | 8,800円 |
| 実地試験(マルチローター・基本) | 22,200円 | 20,400円 |
| 身体検査 | 書類の提出5,200円/会場で受検19,900円 | |
| 技能証明書の交付(新規) | 3,000円 | 3,000円 |
| 更新・限定変更・再交付 | 各2,850円 | 各2,850円 |
| 登録免許税 | 3,000円 | なし |
実地試験と身体検査の額は、航空法関係手数料令の上限の範囲内で省令が定めるもので、機体の種類・限定の有無・受検方法によって変わります。講習の受講料は国の定めがなく、機関ごとに異なります。
民間資格による審査の簡略化は廃止されました
以前は、国土交通省のホームページに掲載された講習団体の民間資格があると、許可・承認の審査で書類の一部を省略できました。この運用は令和7年12月18日の審査要領の改正で廃止され、現在の簡略化の対象は国家資格である技能証明の保有者です。技能証明の保有者が省略できる書類の範囲は、審査要領の改正で見直されることがあるため、申請の直前に最新の審査要領で確かめましょう。なお、登録講習機関の経験者向けの短い講習について、国は運用を継続する方針を示しています。経験者に当たるかの判断や講習時間は機関ごとに異なります。
カテゴリーⅠ・Ⅱ(ⅡA・ⅡB)・Ⅲの区分と、一等が必要な場面
特定飛行とは、許可が必要な空域(空港等の周辺・高さ150メートル以上・人口集中地区の上空など)での飛行と、承認が必要な方法(夜間・目視外・人や物件から30メートル未満・催し場所の上空・危険物の輸送・物件の投下)による飛行のことです(同法第132条の87)。これをもとに、飛行は次のように区分されます。
| カテゴリー | 飛行の内容 | 手続き |
|---|---|---|
| Ⅰ | 特定飛行に当たらない飛行 | 許可・承認は不要(登録は必要) |
| ⅡB | 立入管理措置を講じて、人口集中地区の上空・夜間・目視外・30メートル未満の飛行を総重量25キログラム未満の機体で行う | 技能証明と機体認証がそろえば不要。なければ許可・承認が必要 |
| ⅡA | 立入管理措置を講じて、空港等の周辺・150メートル以上・催し場所の上空・危険物の輸送・物件の投下などを行う、または総重量25キログラム以上の機体で飛ばす | 技能証明と機体認証があっても許可・承認が必要 |
| Ⅲ | 立入管理措置を講じずに行う特定飛行(第三者の上空) | 一等と第一種機体認証をそろえたうえで許可・承認が必要 |
いわゆるレベル4は、有人地帯で補助者を置かずに行う目視外飛行で、カテゴリーⅢの代表例です。実務で多いのは、補助者の配置などで立入管理措置を講じて人口集中地区や夜間に飛ばすカテゴリーⅡBで、この場合は資格がなくても許可・承認を受ければ飛ばせます。
機体認証(第一種・第二種)との組合せで許可・承認が不要になる場面
機体認証は、1機ごとに安全基準への適合を検査する制度です(同法第132条の13)。第一種はカテゴリーⅢ向けで国土交通省が検査し有効期間1年、第二種はカテゴリーⅡ向けで登録検査機関が検査し有効期間3年です。メーカーが型式認証を受けた機種は、検査の一部または全部が省略されます。
カテゴリーⅡBの飛行で許可・承認が不要になるのは、二等以上の技能証明を受けた人が、第二種以上の機体認証を受けた機体を、限定と使用の条件の範囲内で、飛行マニュアルの作成など安全確保の措置を講じて飛ばす場合です。技能証明だけ、機体認証だけでは許可・承認は省けません。人と機体の証明がそろって初めて手続きが不要になります。手持ちの機体が認証機でなければ、資格を取った後も許可・承認は続きますので、機体の入替え予定まで含めて判断しましょう。
飛行計画の通報と飛行日誌
許可・承認を受けた場合も、資格と機体認証で不要になった場合も、特定飛行には次の義務がかかります。
- 飛行計画の通報……あらかじめ日時・経路などをDIPS2.0で通報します(同法第132条の88)。費用はかからず、周辺の他の飛行予定なども確認できます。
- 飛行日誌……日誌を備え、飛行・整備・改造のたびに遅滞なく記載します(同法第132条の89)。
- 技能証明書の携帯(同法第132条の54)と、事故が起きたときの負傷者の救護・国への報告(同法第132条の90)
罰則|未登録の飛行は拘禁刑の対象です
登録を受けていない無人航空機を飛行させると、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(航空法第157条の7第1項第1号)。
| 違反の内容 | 罰則(航空法) |
|---|---|
| 登録記号の表示などの措置をせずに飛行させた | 50万円以下の罰金(第157条の9第1号) |
| 技能証明の限定や機体認証の使用の条件を超えて特定飛行を行った | 50万円以下の罰金(第157条の9第3号・第7号) |
| 飛行計画を通報せずに特定飛行を行った | 30万円以下の罰金(第157条の10第1項第10号) |
| 技能証明書の不携帯、飛行日誌を備えない・記載しない | 10万円以下の罰金(第157条の11) |
技能証明を受けた人が違反すると、刑罰とは別に技能証明の取消しや1年以内の効力停止を受けることもあります(同法第132条の53)。
費用と期間の目安
- 機体登録……1機900円から2,400円。3年ごとに同額の更新手数料がかかります。書類に不備がなければ比較的短期間で登録記号が通知されます。
- 技能証明……二等マルチローターを講習なし・書類の身体検査で取る場合、国に納める額は合計37,400円です。講習を利用すると実地試験は免除される代わりに受講料がかかります。日程に左右されるため、数か月の余裕をみておくと安心です。
機体認証の手数料は、検査を行う機関や機体によって異なります。当事務所では、機体登録から飛行許可・承認の申請まで、一括してご依頼いただけます。資格を取るべきか、今の体制のまま許可・承認で運用するかの見極めからご相談いただけます(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)。許可と届出の考え方は許可と届出の違いでも解説しています。
よくある失敗3つ
①表示やリモートIDが不十分なまま飛ばす。登録記号を貼った電池の蓋を交換してしまった、外付型の機器を別の機体に付け替えた、というケースです。表示などの措置をせずに飛ばすだけで罰則の対象になります。
②国家資格を取れば許可・承認がいらなくなると思っている。不要になるのは、技能証明と機体認証がそろったカテゴリーⅡBの飛行だけです。民間資格による審査の簡略化も、令和7年12月18日で終わっています。
③技能証明の更新が間に合わない。更新申請は満了の1か月前までで、その前に更新講習と身体適性の確認が必要です。講習の予約が埋まっていると間に合わないことがあります。
まとめ
ドローンの手続きは、①100グラム以上の機体は登録(有効期間3年・900円から)、②特定飛行は原則として許可・承認、③技能証明(一等・二等)と機体認証(第一種・第二種)は飛行のカテゴリーに応じて選ぶ、の3段で整理できます。二等と第二種機体認証がそろえばカテゴリーⅡBは許可・承認が不要になり、第三者の上空を飛ぶカテゴリーⅢ(レベル4)には一等と第一種機体認証に加えて許可・承認が必要です。どの資格が必要かは、「どこで、どう飛ばすか」から逆算して決めましょう。
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