電子定款とは?定款認証の流れと収入印紙4万円を節約する方法を解説 2026年

電子定款とは?「収入印紙4万円」がかからない定款のこと

株式会社を設立するときは、会社の基本ルールを定めた定款を作成し、公証人の認証を受けます。この定款には、紙で作る「紙定款」と、PDFなどの電子データで作る「電子定款」の2種類があります。

両者のいちばん大きな違いは費用です。紙の定款には収入印紙4万円が必要ですが、電子定款ならこの4万円がかかりません。この記事では、電子定款のしくみと定款認証の流れ、そして4万円を節約するために知っておきたいポイントを、行政書士がわかりやすく解説します。

そもそも定款認証とは(株式会社は必須)

定款は作っただけでは効力が生じません。株式会社では、作成した定款について公証人の認証を受けることが、会社法で義務づけられています。

(定款の認証)第三十条
第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
会社法 第30条第1項(定款の認証)

つまり、株式会社の設立では「定款を作る → 公証役場で認証を受ける → 法務局で設立登記をする」という順序が必要で、認証は登記の前提となる手続きです。なお、あとで触れるとおり合同会社(LLC)には定款認証が不要で、この点が設立費用の差にもつながります。

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紙定款には収入印紙4万円がかかる

紙で定款を作成する場合、その定款は印紙税法上の「課税文書」にあたり、公証人が保存する原本に収入印紙4万円を貼付しなければなりません。会社設立の実費のなかでも、決して小さくない金額です。

電子定款なら印紙4万円が不要になる

一方、定款をPDFなどの電子データで作成し、電子署名を付して認証を受ける「電子定款」の場合、課税文書となる「紙」が存在しないため、収入印紙4万円が不要になります。同じ内容の定款でも、紙か電子かというだけで4万円の差が生まれるのです。近年は電子定款が主流になっています。

定款認証手数料はいくら?(資本金の額で変わる)

電子定款でも紙定款でも、公証人に支払う認証手数料は別途かかります。株式会社の認証手数料は、資本金の額に応じて次のように定められています。

  • 資本金の額が100万円未満3万円
  • 資本金の額が100万円以上300万円未満4万円
  • 資本金の額が300万円以上(その他)5万円

さらに2024年(令和6年)12月1日から、スタートアップ支援として、次の3つの要件をすべて満たす株式会社は認証手数料が1万5,000円に引き下げられています。

  • 発起人の全員が自然人(個人)であり、かつ、その数が3人以下であること
  • 定款に、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載(記録)があること
  • 定款に、取締役会を置く旨の記載(記録)がないこと

小規模に立ち上げる会社の多くはこの要件にあてはまり、認証手数料を抑えられます。認証時には、このほかに登記用の謄本手数料(1枚250円程度)も必要です。

定款に必ず書く事項(絶対的記載事項)

認証を受ける定款には、これを欠くと定款自体が無効になる絶対的記載事項があります。株式会社では次の5つです。

  • 目的(会社が行う事業の内容)
  • 商号(会社名)
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名または名称および住所

とくに目的は、許認可が必要な事業では「その文言があること」が許可の要件になる場合があり、あとから変更すると登記費用がかかります。認証の前にしっかり設計しておくことが大切です。電子定款であっても、記載すべき内容は紙定款とまったく同じで、変わるのは「紙か電子データか」という作成方式だけです。

定款認証の流れ

電子定款による認証は、おおむね次のように進みます。

  1. ステップ1 定款の作成
    商号・目的・本店所在地・資本金・機関設計などの基本事項を決め、定款案を作成します。事業に許認可が必要な場合は目的の文言に注意します。
  2. ステップ2 公証人による事前チェック
    定款案を管轄の公証役場へ送り、内容を確認してもらいます。実質的支配者の申告なども行います。
  3. ステップ3 電子署名とオンライン申請
    完成した定款のPDFに電子署名を付し、法務省のシステムを通じて認証を嘱託します。
  4. ステップ4 認証・受領
    公証役場で認証済みの電子定款データと謄本を受け取ります。以後、法務局での設立登記に進みます。

電子定款を自分で作るには手間もかかる

「4万円が浮くなら自分でやろう」と考える方も多いのですが、電子定款の作成には電子署名の環境が必要です。具体的には、マイナンバーカードなどによる電子署名や、PDFに署名するためのソフト、ICカードリーダーなどをそろえる必要があり、はじめて使う方には手間と初期費用がかかります。

専門家に依頼すれば、専門家が保有する電子署名環境を使って電子定款を作成できるため、印紙4万円を節約しつつ、環境構築の手間もかからないのが利点です。定款の内容についても、将来の事業展開や許認可を見据えた設計をあわせて相談できます。会社の目的欄の書き方は、会社の事業目的の書き方の記事もご参照ください。

会社設立にかかる費用の全体像

定款まわりの費用は、会社設立の実費の一部です。株式会社を設立する場合、定款関連(電子定款なら印紙0円+認証手数料3万〜5万円)に加えて、法務局に納める登録免許税がかかります。株式会社の登録免許税は最低15万円、合同会社は最低6万円で、資本金額が大きいと連動して増えます。おおまかな設立実費の目安は次のとおりです。

  • 株式会社:定款認証手数料3万〜5万円(要件を満たせば1万5,000円)+登録免許税15万円〜+(紙定款なら印紙4万円)
  • 合同会社:定款認証は不要+登録免許税6万円〜+(紙定款なら印紙4万円)

電子定款を選ぶだけで、この合計から印紙4万円をまるごと減らせることがわかります。専門家報酬を含めても、電子定款によって全体の費用を抑えやすくなります。

合同会社なら定款認証そのものが不要

ここまで株式会社を前提に説明してきましたが、合同会社(LLC)は、そもそも公証人の定款認証が不要です。そのため認証手数料もかからず、電子定款にすれば印紙4万円も不要になります。株式会社と合同会社のどちらを選ぶかは費用だけでは決められませんので、株式会社と合同会社の違いもあわせてご検討ください。

まとめ|4万円の節約は「電子定款」から

電子定款にすれば、紙定款で必要な収入印紙4万円が不要になります。これに認証手数料(資本金により3万〜5万円、要件を満たせば1万5,000円)を加えたものが、定款まわりの費用の目安です。「自分でやるか、専門家に頼むか」は、電子署名環境の手間と費用を天秤にかけて判断するとよいでしょう。会社設立の流れの全体像とあわせて計画を立てるのがおすすめです。世田谷区大原の当事務所では、電子定款の作成から設立後の許認可まで、初回無料でご相談を承っています(電話03-4500-1030・LINE・オンライン対応)。

会社設立・法人化の全体像は、会社設立の総合ガイドでまとめて解説しています。

出典