営業所技術者になれる国家資格一覧|業種別の資格と実務経験 2026年度

「うちの現場監督は2級土木施工管理技士を持っています。これで建設業許可は取れますか」。

建設業許可のご相談で、いちばん多いご質問です。答えは「業種によって取れます」。同じ資格でも、申請する業種によって、そのまま要件を満たせる場合と、資格を取ったあとに数年の実務経験が必要になる場合と、そもそも対象外の場合があります。

この記事では、営業所技術者になれる国家資格を、根拠となる条文に沿って業種別に整理します。手元の資格証を見ながら読み進めていただければ、自社で許可が取れるかどうかの見当がつくはずです。

結論|資格・実務経験10年・学歴+実務経験の3つの入口があります

まず全体像です。営業所技術者になる方法は、次の3つに分かれます。どれか1つを満たせば足り、すべてをそろえる必要はありません。

入口内容証明のしやすさ
国家資格施工管理技士・技術士・建築士・技能検定など、業種ごとに定められた資格を持っている合格証明書や免状の写し1枚で足りることが多く、最も簡単
実務経験10年その業種の建設工事に10年以上たずさわった経験がある契約書・注文書・請求書と入金資料を10年分そろえる必要があり、負担が大きい
学歴+実務経験指定学科を卒業していれば、大学等は3年、高校等は5年に短縮される卒業証明書に加えて短縮後の年数分の資料が必要

どちらのルートが有利かの判断から、証明書類の収集・提出まで、当事務所に一括してご依頼いただけます。まずはご相談ください。実務経験10年で証明する道は制度上きちんと用意されていますが、資料集めに数か月かかることも珍しくありません。実務経験で証明する場合の集め方は建設業許可の実務経験10年の証明方法で詳しく解説しています。

「専任技術者」という呼び方は変わりました

ひとつ、名称について整理させてください。従来「専任技術者」と呼ばれていた立場は、令和6年12月13日に施行された改正建設業法により「営業所技術者」という名称に変わりました。特定建設業の場合は「特定営業所技術者」です。

役割そのものが変わったわけではありませんが、条文も申請様式もすでに新しい名称になっています。手引や記事によっては旧称のままのものもありますので、読むときは同じものだと思ってください。

(許可の基準)第七条

国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

(中略)

二 その営業所ごとに、営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であつて、次のいずれかに該当する者をいう。第十一条第四項及び第二十六条の五において同じ。)を専任の者として置く者であること。

イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法による高等学校若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法による大学若しくは高等専門学校を卒業した(同法による専門職大学の前期課程を修了した場合を含む。)後三年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの

ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者

ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者

建設業法 第7条第二号(許可の基準・営業所技術者の設置)

お気づきのとおり、条文には「1級施工管理技士」といった資格名がひとつも出てきません。資格で要件を満たす道は、ハの「国土交通大臣が同等以上と認定した者」から入っていきます。その中身を定めているのが、次にご紹介する建設業法施行規則第7条の3です。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

資格の一覧は施行規則の表に書かれています

(法第七条第二号ハの知識及び技術又は技能を有するものと認められる者)第七条の三

法第七条第二号ハの規定により、同号イ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものとして国土交通大臣が認定する者は、次に掲げる者とする。

(中略)

二 前号に掲げる者のほか、次の表の上欄に掲げる許可を受けようとする建設業の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる者

三 前二号に掲げる者のほか、第十八条の三第二項第二号に規定する登録基幹技能者講習(許可を受けようとする建設業の種類に応じ、国土交通大臣が認めるものに限る。)を修了した者

建設業法施行規則 第7条の3第二号・第三号(資格による認定)

この第二号の表が、いわゆる「資格一覧」の正体です。29業種それぞれについて、どの資格ならそのまま認められ、どの資格なら何年の実務経験を足す必要があるかが、業種ごとに細かく書き分けられています。国土交通省は、この表を読みやすくまとめた「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」を公表していますので、実務ではそちらを使うと早いです。

業種別|主な資格と必要な実務経験

代表的な業種について、施行規則の表から主なものを抜き出しました。枠内に年数があるものは、その資格を取った後にその業種の実務経験がその年数だけ必要という意味です。

業種そのまま認められる主な資格実務経験を足せば認められる例
土木工事業1級・2級土木施工管理技士(2級は種別「土木」)/1級・2級建設機械施工管理技士/技術士(建設部門など)―
建築工事業1級・2級建築施工管理技士(2級は種別「建築」)/一級建築士・二級建築士―
電気工事業1級・2級電気工事施工管理技士/技術士(電気電子部門・建設部門)/第一種電気工事士第二種電気工事士は交付後3年/電気主任技術者は交付後5年/建築設備士は1年
管工事業1級・2級管工事施工管理技士/技術士(機械・上下水道・衛生工学の各部門)/1級の技能検定(建築板金「ダクト板金作業」・冷凍空気調和機器施工・配管「建築配管作業」)2級の上記技能検定は合格後3年/給水装置工事主任技術者・建築設備士は1年
内装仕上工事業1級・2級建築施工管理技士(2級は種別「仕上げ」)/一級建築士・二級建築士/1級の技能検定(畳製作・内装仕上げ施工・表装)2級の上記技能検定は合格後3年/1級建築施工管理技士の第一次検定合格は3年
解体工事業1級・2級土木施工管理技士/1級・2級建築施工管理技士(種別に条件あり)/技術士(建設部門)/1級とび技能士/登録解体工事試験の合格者2級とび技能士は合格後3年

表を見ていただくと、施工管理技士の第二次検定に合格していれば、その分野の業種はほぼそのまま通ることが分かります。逆に、技能検定(いわゆる技能士)は2級の場合はその業種の実務経験3年が上乗せで必要になり、資格証だけでは足りません。ここは見落としが多いところです。

なお、業種の追加を考えている場合は、建設業許可の業種追加もあわせてご覧ください。追加する業種ごとに営業所技術者が必要になります。

第一次検定の合格者も使えます

令和5年7月からの取扱いとして、技術検定の第一次検定に合格した「技士補」も、業種によっては実務経験を足すことで営業所技術者になれます。表の中で「一級の第一次検定に合格した後3年」「二級の第一次検定に合格した後5年」と書かれている部分がこれにあたります。

第二次検定にまだ合格していない技術者を抱えている会社にとっては、実務経験10年をそろえるより現実的な選択肢になります。手元に第一次検定の合格証明書があるなら、捨てずに確認しておきましょう。ただし、この道が用意されているのは業種が限られており、土木一式・建築一式のように第二次検定の合格を求める業種もあります。

特定建設業は資格が事実上の必須になります

ここまでは一般建設業の話です。下請に5,000万円(建築一式は8,000万円)以上を出す元請になるための特定建設業では、要件が一段階上がります。一般と特定の違いそのものは特定建設業と一般建設業の違いをご覧ください。

(許可の基準)第十五条

国土交通大臣又は都道府県知事は、特定建設業の許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

(中略)

二 その営業所ごとに、特定営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であつて、次のいずれかに該当する者をいう。第二十六条の五において同じ。)を専任の者として置く者であること。ただし、施工技術(設計図書に従つて建設工事を適正に実施するために必要な専門の知識及びその応用能力をいう。以下同じ。)の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を考慮して政令で定める建設業(以下「指定建設業」という。)の許可を受けようとする者にあつては、その営業所ごとに置くべき専任の者は、イに該当する者又はハの規定により国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者でなければならない。

イ 第二十七条第一項の規定による技術検定その他の法令の規定による試験で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものに合格した者又は他の法令の規定による免許で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものを受けた者

ロ 第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者のうち、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものに関し二年以上指導監督的な実務の経験を有する者

建設業法 第15条第二号(特定建設業の許可の基準・特定営業所技術者)

読み解くと、こうなります。まずロの「指導監督的な実務の経験」は、元請として請け負った4,500万円以上の工事で2年以上という条件です(建設業法施行令第5条の3)。特定建設業が必要になる下請金額の5,000万円とは別の数字ですので、混同しないでください。そして、ただし書にある指定建設業=土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種(同施行令第5条の2)については、ロの道が閉ざされています。

指定建設業7業種で特定建設業の許可を取るには、1級の国家資格者または技術士が絶対に必要で、実務経験や指導監督経験では代えられません。ここは例外がありませんので、特定を目指す会社は早い段階から1級の取得を計画に入れてください。

登録基幹技能者という第3のルート

意外と知られていないのが、施行規則第7条の3第三号の登録基幹技能者講習の修了者です。国土交通大臣が業種ごとに認めたものに限られますが、修了していれば営業所技術者になれます。

登録基幹技能者は、実務経験10年と職長経験を前提とする資格で、現場の職長クラスの方が持っていることがあります。建設キャリアアップシステムの能力評価とも連動していますので、CCUS(建設キャリアアップシステム)とはもあわせてご確認ください。「10年分の請求書は残っていないが、登録基幹技能者の修了証はある」という方は、そこから一気に要件を満たせる可能性があります。

自社の資格で足りるかを確認する手順

  1. ステップ1 取りたい業種を決める
    29業種のどれで許可を取るのかを先に決めます。ここが決まらないと資格の可否は判断できません。工事の内容と業種の対応は建設業許可の要件をご覧ください。
  2. ステップ2 社内の資格を洗い出す
    常勤の役員・従業員が持っている施工管理技士・建築士・技術士・技能士・電気工事士などを、級と種別(「土木」「建築」「躯体」「仕上げ」など)まで含めて書き出します。
  3. ステップ3 業種と資格を突き合わせる
    施行規則第7条の3の表、または国土交通省が公表している一覧表で、その業種の欄に自社の資格があるかを確認します。年数の記載があれば実務経験の上乗せが必要です。
  4. ステップ4 常勤性を確認する
    資格があっても、その営業所に常勤していなければ営業所技術者にはなれません。他社の社会保険に入っている、遠方に住んでいるといった事情があると認められないことがあります。
  5. ステップ5 足りなければ実務経験を検討する
    該当する資格がない場合は、実務経験10年(指定学科卒なら3年または5年)で証明できるかを検討します。証明資料の集め方は実務経験10年の証明方法のとおりです。
  6. ステップ6 必要書類をそろえる
    合格証明書・免状の写し、常勤性を示す資料などを準備します。全体の書類は建設業許可申請の必要書類にまとめています。
  7. ステップ7 申請して審査を受ける
    許可行政庁へ申請します。資格の解釈に迷う点があれば、申請前に窓口へ確認しておくと差し戻しを防げます。

よくある失敗

級と種別の取り違えが最も多い失敗です。2級建築施工管理技士は種別が「建築」「躯体」「仕上げ」に分かれており、どの種別で合格したかによって使える業種が変わります。合格証明書の記載を確認しましょう。

次に営業所技術者と現場の技術者の混同です。営業所技術者は営業所に常勤して契約の技術的な管理をする立場、主任技術者・監理技術者は現場に配置される立場で、役割が別物です。違いは主任技術者と監理技術者の違いで整理していますので、あわせてご確認ください。

そして資格者が退職したときの空白です。営業所技術者が不在になると許可の要件を欠くことになります。後任を決めて2週間以内に届け出る必要がありますので、資格者が1人しかいない会社は、2人目の育成を早めにご検討ください。要件の全体像は営業所技術者(専任技術者)の要件をご覧ください。

まとめ

営業所技術者は、資格・実務経験10年・学歴プラス実務経験という3つの入口があり、資格で満たすのが最も確実で早い方法です。どの資格がどの業種に効くかは建設業法施行規則第7条の3の表に業種ごとに書かれており、2級の技能検定のように実務経験の上乗せが必要なものもあります。そして特定建設業の指定建設業7業種では、1級の資格または技術士が必須です。まずは手元の資格証を並べて、級と種別まで確認するところから始めてください。

建設業許可の全体像は、建設業許可のすべて(総合ガイド)でまとめて解説しています。

当事務所では、建設業許可の新規取得から業種追加、更新まで一貫してお手伝いしています。「この資格でこの業種は取れますか」というご確認だけでも構いません。お電話(03-4500-1030)またはオンラインでの無料相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)

出典