相続人調査と戸籍収集の進め方|出生から死亡までの戸籍・広域交付制度を解説 2026年版

相続人調査とは?なぜ「出生から死亡まで」の戸籍が必要か

相続人調査とは、亡くなった方(被相続人)の相続人が誰なのかを、戸籍をたどって法的に確定させる作業です。相続手続きの一番はじめに行う、最も大切な下準備といえます。

民法は、まず被相続人の子を相続人と定めています。

(子及びその代襲者等の相続権)第887条
1 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によつて、その相続権を失つたときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
民法 第887条第1項・第2項(子及びその代襲者等の相続権)

ここで見落とせないのが第2項の代襲相続です。子が先に亡くなっていれば孫が相続人になります。こうした関係は、被相続人の「出生から死亡まで」の連続した戸籍をすべて集めて、はじめて確認できるのです。現在の戸籍だけを見ても、前婚の子や認知した子が漏れてしまうおそれがあります。

法定相続人の範囲と順位

相続人になれる人と順位は、民法で決まっています。配偶者は常に相続人となり、これに加えて次の順位の血族が相続人になります。

  • 第1順位=子(およびその代襲者である孫)
  • 第2順位=直系尊属(父母・祖父母):子がいない場合。
  • 第3順位=兄弟姉妹(およびその代襲者である甥・姪):子も直系尊属もいない場合。

相続人が一人でも欠けたまま行った遺産分割協議は無効になります。だからこそ、思い込みで進めず、戸籍で客観的に確定させることが欠かせません。相続全体の進め方は相続手続きの流れと期限もあわせてご覧ください。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

集める戸籍の種類

相続人調査では、次の3種類の戸籍を組み合わせて、切れ目なくつなげていきます。

  • 戸籍謄本(全部事項証明書):現在の戸籍。
  • 除籍謄本:結婚・死亡・転籍などで、その戸籍にいる人が全員いなくなった戸籍。
  • 改製原戸籍(かいせいげんこせき):法改正で様式が新しくなる前の、古い形式の戸籍。

被相続人が結婚や引っ越し(転籍)を繰り返していると、たどるべき本籍地が複数の市区町村にまたがり、戸籍の数も一気に増えます。

戸籍収集の流れ

戸籍は、新しいものから古いものへ、記載を手がかりにさかのぼって集めます。

  1. ステップ1 被相続人の最後の戸籍を取る
    死亡が記載された、最後の本籍地の戸籍謄本(除籍謄本)を取得します。
  2. ステップ2 一つ前の戸籍へさかのぼる
    その戸籍の「従前戸籍」の記載を見て、前の本籍地・筆頭者を確認し、さらに前の戸籍を請求します。
  3. ステップ3 出生の戸籍まで到達する
    これを繰り返し、被相続人が生まれたときの戸籍まで切れ目なくつなげます。
  4. ステップ4 相続人側の現在戸籍を取る
    確定した相続人それぞれの、現在の戸籍謄本を取得します(生存の確認)。
  5. ステップ5 相続関係を整理する
    集めた戸籍から相続関係説明図(家系図)を作り、相続人を確定します。

広域交付制度(2024年3月〜)で戸籍集めはどう変わったか

これまで戸籍は、本籍地ごとの市区町村役場に個別に請求する必要があり、遠方だと郵送でのやり取りに時間がかかっていました。ところが、2024年(令和6年)3月1日から始まった「広域交付制度」により、大きく便利になりました。

広域交付制度では、本籍地が遠くにあっても、お近くの市区町村の窓口で、複数の本籍地の戸籍をまとめて請求できるようになりました。被相続人の出生から死亡までの戸籍を、1か所の窓口でそろえられる点が大きなメリットです。

広域交付の注意点(使えないケースがある)

便利な制度ですが、次のような制限があります。相続の実務では、これらに引っかかる場面が少なくありません。

  • 請求できるのは本人・配偶者・直系(父母・子など)のみ兄弟姉妹や甥・姪など傍系親族の戸籍は広域交付では取れません(兄弟姉妹が相続人になる場合は要注意)。
  • 窓口へ本人が出向く必要がある:郵送や代理人による請求はできず、顔写真付き身分証明書の提示が必要です。
  • コンピュータ化されていない古い戸籍は対象外:昔の手書き戸籍などは、従来どおり本籍地に個別請求します。
  • 戸籍の附票は対象外:住所の履歴が必要なときは、別に本籍地へ請求します。

つまり、広域交付だけで完結しないケースもあり、結局は複数の役所とのやり取りが残ることがあります。

専門家に頼める範囲(誰に何を頼めるか)

戸籍の収集や相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成は行政書士がお手伝いできます。行政書士は、依頼を受けた相続手続きのために、職務上請求という方法で戸籍を取り寄せることができます(傍系親族の戸籍も、この方法なら郵送で収集できます)。当事務所は、争いのない円満な相続について、戸籍集めから協議書作成までを丁寧にサポートし、登記や税務は司法書士・税理士と連携して進めます。

まとめ|相続は「相続人の確定」から始まる

相続人調査は、出生から死亡までの戸籍を切れ目なく集め、相続人を漏れなく確定させる作業です。2024年の広域交付でだいぶ楽にはなりましたが、傍系親族や古い戸籍など、専門的な判断が必要な場面も残ります。「戸籍の集め方が分からない」「手続きに時間を割けない」という方は、専門家にお任せいただくのが安心です。世田谷区大原の当事務所では、相続相談400件超の実績を活かし、初回無料でご相談を承っています。電話(03-4500-1030)・LINE・オンラインにも対応しています。

相続手続き全体の進め方は、相続手続きの総合ガイドでまとめて解説しています。

出典