附帯工事とは?許可のない業種の工事を請け負える条件を解説 2026年版

「内装工事の許可はあるけれど、お客さまから『ついでにコンセントも増やしてほしい』と言われた。電気工事の許可は持っていない。断るしかないのだろうか」。

建設業許可をお持ちの会社から、こうしたご相談をよくいただきます。結論から申し上げると、断る必要はありません。建設業法には、許可を受けていない業種の工事であっても請け負える「附帯工事」という仕組みが用意されているからです。

ただし、何でも附帯工事にできるわけではありません。この記事では、附帯工事の条文上の根拠と、国土交通省が示している判断基準、そして施工するときの注意点を整理します。

結論|主たる工事に附帯する工事なら許可がなくても請け負えます

(附帯工事)第4条

建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。

建設業法 第4条(附帯工事)

たった一文ですが、内容は明快です。許可を受けた業種の工事を請け負うときに限り、それに附帯する他の業種の工事もあわせて請け負ってよいということです。

ここで大事なのは、あくまで「主たる工事があってこそ」だという点です。附帯工事だけを単独で請け負うことはできません。先ほどの例でいえば、内装工事の一部としてコンセントを増設するなら附帯工事になりますが、電気工事だけを頼まれて請け負うことはできない、ということです。

附帯工事の判断基準は「独立の使用目的があるか」

では、どこまでが附帯工事なのでしょうか。国土交通省の建設業許可事務ガイドラインは、次のように定義しています。

附帯工事とは、主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事、または主たる建設工事を施工するために生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものをいう、とされています。

整理すると、附帯工事には2つの型があります。

  • 主たる工事をした結果、必要になった工事(例:壁を壊して配管を通したので、壁を復旧する)
  • 主たる工事をするために必要になった工事(例:機械を搬入するために、いったん外構を撤去する)

そして最大の分かれ目が「それ自体が独立の使用目的に供されるものではない」という部分です。その工事だけを取り出しても意味をなさない、主たる工事にぶら下がっている工事かどうか、と考えると判断しやすくなります。

さらにガイドラインは、具体的な判断の方法についても示しています。建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かを総合的に検討する、という考え方です。

つまり、「注文者にとって一緒に頼めたほうが便利か」「業界の取引慣行として一体で請け負うのが普通か」といった観点から、総合的に見るということになります。金額の比率だけで機械的に決まるものではありません。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

附帯工事になる例・ならない例

場面取扱い
内装仕上工事に伴い、間仕切りの位置に合わせてコンセントを移設する附帯工事になりうる
屋根の葺き替えに伴い、傷んだ雨樋を交換する附帯工事になりうる
管工事で配管のために壁を斫り、施工後に左官で復旧する附帯工事になりうる
建物の改修とは別に、駐車場の舗装だけを頼まれる独立の使用目的があるため附帯工事にならない
内装工事の見積りに、別棟の電気設備更新を含める主たる工事と一体とはいえず附帯工事にならない

表の下2つのように、場所も目的も分かれている工事は、金額が小さくても附帯工事にはなりません。その場合は、その業種の許可を持つ会社に下請けに入ってもらうか、自社で業種追加の許可を取ることになります。手続きは建設業の業種追加とは?29業種の区分と申請の要件・費用をご覧ください。

500万円以上の附帯工事には専門技術者が必要です

附帯工事として請け負えることと、それを自社でそのまま施工してよいことは別の話です。ここを見落とすと、請負契約は適法でも施工体制で法令違反になってしまいます。

第26条の2

(中略)

2 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事に附帯する他の建設工事(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事を除く。)を施工する場合においては、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における当該建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるものを置いて自ら施工する場合のほか、当該建設工事に係る建設業の許可を受けた建設業者に当該建設工事を施工させなければならない。

建設業法 第26条の2第2項(附帯工事の施工)

この条文を実務の言葉にすると、次のようになります。

  1. ステップ1 主たる工事の業種の許可があるかを確認する
    附帯工事の話は、主たる工事の許可を持っていることが出発点です。主たる工事も無許可であれば、そもそも附帯工事の議論になりません。
  2. ステップ2 その工事が附帯工事に当たるかを検討する
    主たる工事から生じた従たる工事で、独立の使用目的に供されるものではないかを確認します。注文者の利便と契約の慣行も踏まえて、一連・一体の工事といえるかを見ます。
  3. ステップ3 附帯工事の請負金額を確認する
    500万円未満(消費税込み)であれば軽微な建設工事に当たるため、そのまま自社で施工できます。金額の数え方は建設業許可がいらない「軽微な工事」とは?で整理しています。
  4. ステップ4 500万円以上なら、施工の方法を選ぶ
    その業種の営業所技術者になれる要件を満たす人を「専門技術者」として工事現場に置いて自社で施工するか、その業種の許可を持つ建設業者に下請けとして施工させるか、どちらかを選びます。
  5. ステップ5 契約書と施工体制の書類に反映する
    請負契約書に工事内容として明記し、下請けに出す場合は下請契約書と施工体制の書類を整えます。附帯工事であっても、契約書面の記載事項は通常の建設工事と同じです。

500万円以上の附帯工事を、専門技術者も置かず、許可業者にも下請けさせずに自社で施工した場合は、建設業法違反として指示処分や営業停止処分の対象になります。附帯工事として請け負えたことに安心して、施工体制の確認を忘れてしまうのが典型的な落とし穴です。

なお、専門技術者になれるのは、その業種の営業所技術者(専任技術者)と同じ要件を満たす人です。要件の詳細は建設業許可の要件|新規取得に必要な5つの条件で解説しています。主任技術者と兼ねることもできますので、現場の技術者が両方の資格を持っていれば一人で対応できます。

費用と期間の目安

附帯工事として処理する場合、新たな許可も届出も必要ありませんので、追加の費用はかかりません。判断を誤らないことだけがコストです。

一方で、その分野の工事を継続的に請け負うようになったのであれば、附帯工事で処理し続けるより、業種追加の許可を取るほうが安全です。東京都知事許可の業種追加は手数料5万円、標準処理期間はおおむね1か月です。当事務所にご依頼いただく場合の報酬は11万円程度からを目安としています。(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)

よくある失敗

ひとつめは、附帯工事のつもりで単独受注してしまうことです。過去に主たる工事を請け負ったお客さまからの追加依頼であっても、今回の契約が附帯工事だけであれば、それは単独の他業種工事です。500万円以上の工事を許可なく単独で請け負えば無許可営業となり、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象です。契約の単位ごとに判断してください。

ふたつめは、附帯工事の金額が主たる工事を上回ってしまうことです。法律に金額の比率の定めはありませんが、附帯工事のほうが大きいという状態は「従たる工事」という前提と整合しません。主従が逆転していないかを契約前に見ておくことが、附帯工事かどうかで揉めないための実務上の目安になります。

みっつめは、請負契約書に工事内容を書き切らないことです。附帯工事の範囲があいまいなまま着工すると、追加費用をめぐるトラブルの火種になります。契約書の記載事項は建設工事の請負契約書の作り方で整理していますので、あわせてご確認ください。

まとめ

附帯工事とは、主たる工事から生じた従たる工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものをいいます。許可を受けた業種の工事とあわせてであれば、許可のない業種の工事も請け負えます。ただし、請負金額が500万円以上になる附帯工事は、専門技術者を現場に置くか、許可を持つ業者に下請けさせるかのどちらかが必要です。附帯工事だけを単独で請け負うことはできませんので、その分野の受注が続くようであれば業種追加を検討する、という順序で考えていただくのがよいと思います。

建設業許可の全体像は、建設業許可のすべて(総合ガイド)でまとめて解説しています。

当事務所では、附帯工事として処理してよいかの整理、契約書面の作成、業種追加の申請までお手伝いしています。工事の内容をお聞かせいただければ、許可の構成としてどう組み立てるのがよいかをご提案します。お電話(03-4500-1030)またはオンラインでの無料相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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