相続放棄の手続きと3か月の期限|必要書類・注意点を行政書士が解説 2026年版

親や親族が亡くなり、預貯金などのプラスの財産よりも借金などのマイナスの財産の方が多いとき、相続人を守る手段が「相続放棄」です。ただし、相続放棄には原則3か月という期限があり、うっかり過ぎてしまうと放棄できなくなることもあります。この記事では、相続放棄の期限・手続きの流れ・注意点を、行政書士がわかりやすく解説します。

相続放棄とは?プラスもマイナスも引き継がない

相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産について、プラスの財産もマイナスの財産も一切承継しないという意思表示です。家庭裁判所に申述して認められると、その相続に関してはじめから相続人でなかったものとして扱われます(民法939条)。借金の返済義務を負わずに済む一方、預貯金や不動産などのプラスの財産も受け取れなくなる点に注意が必要です。

期限は原則3か月=「熟慮期間」

相続放棄には期限があります。民法は、相続の開始を知った時から3か月以内に、承認するか放棄するかを決めるよう定めています。この期間を「熟慮期間」といいます。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
民法 第915条第1項(相続の承認又は放棄をすべき期間)

起算点は「相続の開始を知った時」=通常は被相続人が亡くなったことを知った日です。3か月は意外と短く、財産の調査だけで時間が過ぎてしまうこともあるため、早めの着手が大切です。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

家庭裁判所への申述の流れ

相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄の申述」を行います。流れは次のとおりです。

  1. ステップ1 財産・負債の調査
    預貯金・不動産・借金・保証債務などを確認し、放棄すべきかを判断します。
  2. ステップ2 戸籍などの必要書類を収集
    被相続人の死亡が分かる戸籍、申述人の戸籍などを集めます。戸籍集めは相続人調査と戸籍収集の進め方もご参照ください。
  3. ステップ3 相続放棄申述書の作成・提出
    家庭裁判所に申述書と必要書類、収入印紙・郵便切手を提出します。
  4. ステップ4 照会書への回答
    裁判所から届く照会書に回答を返送します。
  5. ステップ5 相続放棄申述受理通知書の受領
    受理されると通知書が届きます。債権者にはこの写しで放棄を証明できます。

主な必要書類は、相続放棄申述書、被相続人の住民票除票(または戸籍附票)、申述人の戸籍謄本、被相続人の死亡が記載された戸籍謄本などです。

期限を過ぎそうなときは「伸長」の申立て

財産の調査に時間がかかり3か月では判断できない場合は、期限内に家庭裁判所へ「熟慮期間の伸長」を申し立てることができます。また、後から予期しない借金が判明したケースでは、3か月を過ぎても例外的に放棄が認められる場合がありますが、判断は難しいため早めに専門家へ相談してください。

相続放棄が無効になる行為に注意

相続放棄をする前後で、うっかり遺産を使ったり処分したりすると「単純承認」とみなされ、放棄ができなくなります(法定単純承認・民法921条)。たとえば預貯金を引き出して生活費に使う、遺産の不動産を売却する、といった行為です。形見分けを超える財産の処分は避け、迷ったら手をつけないのが安全です。

放棄すると次の順位の人が相続人になる

相続放棄をすると、その人は最初から相続人でなかったことになるため、次の順位の親族が新たに相続人になります。たとえば子全員が放棄すると、被相続人の父母、次いで兄弟姉妹へと相続権が移ります。借金を引き継がせないためには、次順位の親族にも放棄を検討してもらうなど、親族間での連絡・調整が大切です。

費用の目安と専門家の役割

家庭裁判所へ納める費用は、収入印紙800円(申述人1人あたり)と連絡用の郵便切手で、比較的少額です。ここで大切なのは専門家の役割分担です。家庭裁判所に提出する申述書などの書類作成は、弁護士の業務となります。当事務所(行政書士)は、戸籍の収集や相続関係の整理、放棄すべきかどうかの入口のご相談を承り、必要に応じて信頼できる専門家をご紹介します(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)。

まとめ|3か月の期限内に、まず相談を

相続放棄は、負の遺産から相続人を守る有効な手段ですが、3か月の期限と「単純承認」の落とし穴に注意が必要です。「借金があるかもしれない」「何から手をつければよいか分からない」という段階でも構いません。相続相談400件超の当事務所が、初回無料・オンライン対応(電話 03-4500-1030)で、進め方を整理してご案内します。相続全体の流れは相続手続きの流れと期限もあわせてご覧ください。

相続手続き全体の進め方は、相続手続きの総合ガイドでまとめて解説しています。