古物商許可取得マニュアル【4時限目】取得後の注意点 2026年版

古物商許可取得マニュアルは、これまで3回に分けて「許可の取り方」をご説明してきました。1時限目(1日〜2日)で要件と準備を、2時限目(2日〜9日)で書類集めを、3時限目(9日〜10日)で申請の手続きを扱っています。

今回の4時限目は、その続きです。古物商の許可は、取得したあとに守るべき義務があります。しかも、そのうちのひとつは令和6年4月に新しく始まったばかりで、以前に許可を取った方ほど見落としやすいものです。

この記事では、許可取得後に必ず押さえておきたい4つの義務と、違反したときの罰則を整理します。

名義貸しは絶対にしてはいけない

いちばん重い違反から先にご説明します。古物営業法は、自分の名義で他人に古物営業をさせることを禁じています。

「知り合いが許可を取れないから、自分の許可証を使わせてあげる」「開業までのつなぎとして名義だけ貸す」。こうした話は今も相談の現場で出てきますが、どれも法律違反です。

罰則は古物営業法の中でもっとも重い部類に入ります。

第31条

1 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

(中略)

三 第九条の規定に違反した者

古物営業法 第31条第1項第三号(名義貸しの禁止に違反した場合の罰則)

名義を貸した側は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金で、これは無許可営業とまったく同じ重さです。借りた側も無許可営業として同じ条文で処罰されます。さらに、名義貸しが発覚すれば許可の取消しの対象にもなり、取消しから5年間は再申請ができません。

実務で問題になりやすいのは「名義を貸したつもりはない」というケースです。たとえば、許可は自分の名義で取ったが、仕入れも販売も帳簿の記録もすべて別の人がやっていて、自分は一切関与していない。この状態は、外形上は名義貸しと変わりません。許可を受けた本人が実際に営業を行っていることが大前提だとお考えください。

行商をするときは許可証・行商従業者証を携帯する

営業所の外で古物の取引をすること(買取のための出張、催事への出店など)を、古物営業法では行商といいます。行商をするには、許可申請の際に「行商をする」と届け出ておく必要があります。

そのうえで、行商や競り売りをするときは許可証を必ず携帯しなければなりません(古物営業法第11条第1項)。取引の相手方から提示を求められたら、その場で見せる義務もあります(同条第3項)。

ここで実務上いちばん抜けやすいのが、従業員に行商をさせる場合です。

従業員は許可証そのものを持てません。代わりに行商従業者証を携帯させる必要があります(同条第2項)。出張買取のスタッフを増やしたときに、この行商従業者証の作成を忘れたまま現場に出してしまうという取りこぼしが少なくありません。様式は国家公安委員会規則で定められており、各都道府県の防犯協会などで入手できるほか、要件を満たせば自分で作成することもできます。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

標識の掲示と、令和6年4月から始まったホームページへの掲載義務

営業所に掲げる標識

古物商は、営業所ごと(仮設店舗を出す場合はその店舗ごと)に、公衆の見やすい場所に標識を掲示しなければなりません。いわゆる「古物商プレート」です。紺色地に白文字で、氏名または名称、許可証番号などを記載した所定の様式のものを使います。

店舗を持たずに自宅を営業所として届け出ている場合でも、掲示義務は同じようにかかります。

【重要】ホームページへの氏名等の掲載義務(令和6年4月1日開始)

ここが本題です。令和6年4月1日から、古物営業法第12条に第2項・第3項が加わり、ホームページを持つ古物商には、そのサイト上に氏名・許可した公安委員会の名称・許可証番号を掲載する義務が生じました。

(標識の掲示等)第12条

(中略)

2 古物商又は古物市場主は、その事業の規模が著しく小さい場合その他の国家公安委員会規則で定める場合(その者が特定古物商である場合を除く。)を除き、国家公安委員会規則で定めるところにより、その氏名又は名称、許可をした公安委員会の名称及び許可証の番号(次項において「氏名等」という。)を電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。

3 特定古物商は、前項の規定により氏名等を公衆の閲覧に供するときは、氏名等と共に、その取り扱う古物に関する事項を公衆の閲覧に供しなければならない。

古物営業法 第12条第2項・第3項(インターネット上での氏名等の公衆閲覧)

条文が読みにくいので、実務の言葉に置き換えます。

  • 原則…自社で管理するホームページがあるなら、そこに氏名(名称)・許可した公安委員会の名称・許可証番号の3点を、閲覧者の目につきやすい場所に明瞭に掲載する
  • 除外…常時使用する従業者が5人以下である場合や、自分で管理するホームページを持っていない場合は、この義務が免除される
  • 特定古物商は除外なし…ホームページで取り扱う古物の情報を掲載して申込みを受ける形の古物商(第5条第1項第6号の方法を用いる古物商)は、規模にかかわらず掲載義務があり、加えて取り扱う古物に関する事項も掲載する

つまり、ネット通販や自社サイトでの買取受付をしている古物商は、規模の大小を問わず対象ということです。以前から「ホームページを使って取引する場合は届出が必要」というルールはありましたが、今回の改正はサイト上への表示そのものを義務にした点が新しいところです。

この改正は比較的新しいため、令和6年3月以前に許可を取った方の情報が古いまま止まっていることがあります。「標識さえ掲げていれば大丈夫」と覚えている方は、この機会にご自身のサイトの表示を確かめましょう。

届け出た内容が変わったら、期限内に変更届出

許可申請書に書いた内容が変わったときは、公安委員会への届出が必要です。ここは期限が2種類に分かれているので注意してください。

(変更の届出)第7条

1 古物商又は古物市場主は、第五条第一項第二号に掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして主たる営業所又は古物市場の所在地を変更しようとするときは、その変更後の主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会)に、国家公安委員会規則で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。

2 古物商又は古物市場主は、第五条第一項各号(第二号を除く。)に掲げる事項に変更があつたときは、主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に、国家公安委員会規則で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。

古物営業法 第7条第1項・第2項(変更の届出)

第1項が事前の届出、第2項が事後の届出です。それぞれ期限が違います。

  • 営業所の名称・所在地を変える場合…変更する日の3日前までに届出(事前)
  • それ以外の事項が変わった場合…変更の日から14日以内に届出(事後)。届出書に登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内

引っ越しや事務所移転は「終わってから届け出る」のでは間に合いません。3日前までという事前届出になっている点が、他の許認可と違うところです。

事後の届出になるのは、氏名・住所の変更、法人の名称・所在地・代表者や役員の変更、管理者の変更、取扱品目の変更、行商をする・しないの変更などです。このうち許可証の記載事項が変わるものは、あわせて許可証の書換申請も必要になります。

変更届出の進め方

  1. ステップ1 変更事項が事前届出か事後届出かを分ける
    営業所の名称・所在地なら事前(3日前まで)、それ以外は事後(14日以内、登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内)です。ここを取り違えると期限に間に合いません。
  2. ステップ2 許可証の書換えが必要かを確認する
    氏名・住所、法人の名称・所在地・代表者、行商の有無など、許可証に書かれている事項が変わる場合は書換申請もセットで行います。取扱品目の変更などは書換え不要です。
  3. ステップ3 添付書類をそろえる
    法人の役員変更なら住民票と登記されていないことの証明書、法人の商号・本店変更なら登記事項証明書など、変更内容によって必要書類が変わります。証明書の取得に日数がかかるため、変更が決まった時点で着手してください。
  4. ステップ4 管轄の警察署へ提出する
    提出先は主たる営業所の所在地を管轄する警察署の防犯係を経由して公安委員会へ、という形になります。変更届出そのものに手数料はかかりませんが、許可証の書換申請には1,500円の手数料が必要です。
  5. ステップ5 ホームページの表示もあわせて直す
    名称や許可証番号が変わった場合、営業所の標識とホームページ上の掲載も同時に修正します。届出だけ済ませて表示が古いまま、という状態にならないようにしてください。

違反したときの罰則を整理すると

ここまでの義務に違反した場合の罰則を、重い順に並べます。

違反の内容罰則
無許可営業/偽りその他不正の手段による許可取得/名義貸し/公安委員会の命令違反3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第31条)
変更の届出をしない、虚偽の届出をする/許可証の返納義務違反/行商時の許可証・行商従業者証の携帯義務違反/標識の掲示・ホームページへの掲載義務違反/立入検査の拒否・妨害/報告をしない、虚偽の報告10万円以下の罰金(第35条)

罰金の額だけを見ると軽く見えるかもしれませんが、これらは古物営業法違反として許可取消しや営業停止の判断材料にもなります。金額の問題ではなく、営業を続けられるかどうかの問題だとお考えください。

まとめ

許可取得後に押さえるべき点を、もう一度整理します。

  • 名義貸しはしない…貸した側も借りた側も3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
  • 行商時は許可証を携帯する…従業員には行商従業者証を持たせる
  • 標識を掲示する…営業所ごと、仮設店舗ごとに
  • ホームページに氏名・公安委員会名・許可証番号を掲載する…令和6年4月から。ネット取引をする古物商は規模を問わず対象
  • 変更は期限内に届け出る…営業所の移転は3日前まで、その他は14日(20日)以内

これから許可を取る方で、ご自身や役員の方が許可を受けられる立場にあるかどうかが気になる場合は、古物商許可の欠格事由とは?許可を取れない人の条件もあわせてご覧ください。

当事務所では、古物商許可の新規取得のほか、変更届出や取扱品目の追加といった取得後の手続きもお引き受けしています。営業所を増やしたい、ネット販売を始めたいので表示を整えたい、といったご相談も承ります。ご不明な点は、お電話(03-4500-1030)またはお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください。オンラインでのご相談にも対応しています。

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