古物商許可の欠格事由とは?許可を取れない人の条件 2026年版
古物商の許可を取ろうと考えたとき、多くの方が最初に気にされるのが「自分は許可を取れる立場なのか」という点です。書類をそろえて申請してから「そもそも対象外でした」と分かるのでは、時間も手数料も無駄になってしまいます。
古物営業法は、これに当てはまる人には許可をしてはならないという条件を定めています。これを欠格事由といいます。この記事では、現行の条文に沿って11項目の中身を整理し、法人の場合にどこまでが対象になるのか、申請前に何を確認すればよいのかをご説明します。
なお、許可を取るまでの全体の流れは古物商許可取得マニュアル【1時限目】で扱っています。あわせてご覧ください。

欠格事由とは|公安委員会が「許可をしてはならない」と定められた条件
古物商の許可は、申請すれば必ず受けられるというものではありません。古物営業法第4条は、公安委員会が許可をしてはならない場合を列挙しています。現行の条文は第一号から第十一号までの11項目立てです。
ここで注意していただきたいのは、この条文が過去に何度か改正されていて、古い解説記事や書籍の情報がそのまま残っていることです。特に次の2点は、以前の説明とは中身が変わっています。
- かつて第一号にあった成年被後見人・被保佐人という記載は、現行の条文からは削除されています
- 刑罰の名称が「懲役」「禁錮」から「拘禁刑」に一本化されています
まず、中心となる条文をご覧ください。
(許可の基準)第4条
1 公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 拘禁刑以上の刑に処せられ、又は第三十一条に規定する罪若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百三十五条、第二百四十七条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条第二項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた日から起算して五年を経過しない者
(中略)
六 第二十四条第一項の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
(中略)
十一 法人で、その役員のうちに第一号から第八号までのいずれかに該当する者があるもの
古物営業法 第4条第1項第一号・第二号・第六号・第十一号(許可の基準)
11項目の中身を順に確認する
第一号|破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
破産手続の開始決定を受け、まだ復権していない状態の方が対象です。ポイントは「復権を得ていない」という限定で、免責許可の決定が確定するなどして復権していれば、この号には当たりません。過去に破産したことがある、というだけで一律に排除されるわけではないということです。
ここで、先ほど触れた改正の話が効いてきます。かつてこの号には成年被後見人・被保佐人も並んでいましたが、成年後見制度を理由とする欠格条項の見直しにより削除されました。これに伴い、申請時の添付書類として求められていた「登記されていないことの証明書」も、令和元年12月14日から不要になっています。古い書式や解説を見て法務局へ取りに行こうとされる方がいますが、現在は必要ありません。
第二号|一定の前科がある者
次の2つに分かれます。いずれも、刑の執行を終わった日などから5年を経過していない場合に該当します。
- 拘禁刑以上の刑に処せられた場合…罪名を問いません
- 特定の罪を犯して罰金の刑に処せられた場合…対象となる罪は条文で限定されており、古物営業法第31条の罪(無許可営業・名義貸しなど)と、刑法の窃盗(第235条)・背任(第247条)・遺失物等横領(第254条)・盗品等有償譲受け等(第256条第2項)です
罰金刑については、すべての罰金が対象になるわけではない点が重要です。交通違反の罰金などは、ここに挙げられた罪に当たらなければ該当しません。
第三号・第四号|暴力的不法行為のおそれがある者、暴力団関係の命令等を受けた者
集団的または常習的に暴力的不法行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者(第三号)と、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づく中止命令などを受けて3年を経過していない者(第四号)が対象です。
第八号|心身の故障により業務を適正に実施することができない者
第一号から成年後見の記載が削除された代わりに置かれたのが、この第八号です。後見や保佐の登記があるかどうかではなく、実際に業務を適正に行えるかどうかで判断するという考え方に切り替わりました。具体的な範囲は国家公安委員会規則で定められています。
その他の号|住居不定・許可取消し・未成年者など
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 第五号 | 住居の定まらない者 |
| 第六号 | 古物営業の許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者(法人が取り消された場合は、聴聞の公示日前60日以内に役員だった人も含む) |
| 第七号 | 許可取消しの聴聞の公示後に、自ら許可証を返納した者で、返納の日から5年を経過しない者(廃止に相当な理由がある場合を除く) |
| 第九号 | 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者(古物商の相続人で、法定代理人が欠格事由に当たらない場合は例外) |
| 第十号 | 営業所ごとに管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者 |
第六号・第七号は、いったん許可を取り消されると5年間は再申請ができないという規定です。取消しの直前に自分から返納して逃げることもできないよう、第七号でふさがれています。取得後の義務を軽く見ないほうがよい理由がここにあります。
法人の場合は役員全員が対象になる
法人で申請する場合、審査の対象は法人そのものだけではありません。第十一号が、役員のうちに第一号から第八号までのいずれかに該当する者がいる法人を欠格としています。
役員が1人でも該当すれば、法人としての許可は受けられません。代表取締役だけを確認して安心してしまう例がありますが、取締役・監査役を含めた役員全員が対象です。名前だけの役員として登記に残っている方がいる場合も同じ扱いになります。
なお、営業所ごとに選任する管理者についても、別途、第十三条で欠格の定めがあります。申請の実務では、役員全員と管理者の分の書類をそろえることになります。
この「役員全員をチェックする」という構造は、他の許認可でも共通しています。建設業許可の場合は建設業許可の欠格要件で扱っていますので、複数の許認可をお考えの方はあわせてご確認ください。
申請前に欠格事由を確認する手順
実際の準備は、次の順番で進めるとやり直しが出にくくなります。
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- ステップ1 確認する対象者を洗い出す
- 個人なら申請者本人と営業所の管理者、法人なら役員全員と営業所の管理者です。登記事項証明書の取り寄せから欠格事由の確認まで、当事務所に一括してご依頼いただけます。まずはご相談ください。
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- ステップ2 破産と前科の有無を確認する
- 第一号・第二号の確認です。過去に破産した方は、免責許可の決定が確定して復権しているかどうかを確認します。罰金刑については、その罪名が第二号に挙げられた罪に当たるかどうかで結論が変わります。
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- ステップ3 過去の許可取消しがないか確認する
- 第六号・第七号の確認です。ご本人だけでなく、過去に役員を務めていた法人が古物営業の許可を取り消されていないかも確認しましょう。
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- ステップ4 身分証明書を取り寄せる
- 本籍地の市区町村が発行する身分証明書が必要です。破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しないことなどを証明する書類で、本籍地でしか取得できません。本籍が遠方の場合は郵送請求となり日数がかかるため、早めに着手してください。なお、令和元年12月14日以降、法務局の「登記されていないことの証明書」は不要です。
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- ステップ5 略歴書・誓約書を作成して申請する
- 対象者ごとに、本籍記載の住民票の写し、身分証明書、略歴書、誓約書をそろえます。提出先は主たる営業所の所在地を管轄する警察署の防犯係で、手数料は19,000円です。
身分証明書は本籍地の市区町村でしか取れないため、実務では委任状を用意して代理で取り寄せることが多い書類です。役員が複数いて本籍がばらばら、という法人ほどここで時間を取られます。書類集めの段取りは、早い段階で決めておくことをおすすめします。
該当するかもしれない、と感じたら
欠格事由は、条文の文言だけを読んで自己判断すると、当たっていないのに諦めてしまったり、逆に当たっているのに気づかずに申請してしまったりということが起こります。とくに次のような場合は、個別の事情によって結論が変わります。
- 過去に破産したが、免責の決定が出ている
- 罰金刑を受けたことがあるが、罪名が第二号に挙げられたものかどうか判断がつかない
- 以前に役員をしていた会社が、古物営業以外の理由で処分を受けている
- 役員の1人と連絡が取りづらく、書類が集まるか分からない
申請してから不許可になると、手数料19,000円は戻ってきません。気になる点があるうちに確認しておくほうが、結果的に早く進みます。
まとめ
古物商許可の欠格事由について、押さえるべき点を整理します。
- 現行の古物営業法第4条は11項目立て。成年被後見人・被保佐人という記載は削除済み
- 刑罰の名称は拘禁刑に統一されている。罰金刑は第二号に挙げられた罪の場合のみ対象
- 許可を取り消されると5年間は再申請できない
- 法人は役員全員と営業所の管理者が確認の対象
- 申請時に必要なのは身分証明書。登記されていないことの証明書は令和元年12月14日から不要
無事に許可が取れたあとの義務については、古物商許可取得マニュアル【4時限目】取得後の注意点で解説しています。名義貸しの禁止や、令和6年4月に始まったホームページへの許可番号の掲載義務など、見落としやすい点をまとめました。
当事務所では古物商許可の申請をお引き受けしています。欠格事由に当たるかどうかの事前確認、役員が多い法人の書類収集、取扱品目の選び方まで、まとめてご相談いただけます。お電話(03-4500-1030)またはお問い合わせフォームからどうぞ。正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください。オンラインでのご相談にも対応しています。
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