合同会社の設立方法|費用6万円・定款認証不要のメリットと手順を解説 2026年

合同会社とは?株式会社との違いから見る

合同会社(LLC)は、2006年の会社法施行でつくられた比較的新しい会社の形です。出資者(社員)が会社の債務について出資額を限度とする責任(有限責任)しか負わない点は株式会社と同じですが、出資者がそのまま経営を担う点に大きな特徴があります。株式会社が「お金を出す人(株主)」と「経営する人(取締役)」を分けられるのに対し、合同会社は出資と経営が一体で、意思決定がスピーディーです。

Amazonや Appleの日本法人など、大手企業が合同会社を選ぶ例も増えており、「小規模だから合同会社」というわけではありません。この記事では、合同会社の設立方法を、費用・流れ・株式会社との違いまで行政書士がわかりやすく解説します。

項目 株式会社 合同会社
登録免許税(最低) 15万円〜 6万円〜
定款認証 必要(3万〜5万円) 不要(0円
所有と経営 分離(株主と経営者) 出資者がそのまま経営
役員任期の登記・決算公告 必要 不要
知名度・信用 高い(一日の長がある) 株式会社に比べ控えめ

合同会社を設立する3つのメリット

起業の形として合同会社が選ばれる理由は、主に次の3つです。

  • 設立費用が安い:登録免許税が株式会社より低く、定款認証も不要なため、設立コストを大きく抑えられます。
  • 設立がスピーディー:公証人による定款認証の手間がないぶん、書類がそろえば短期間で登記まで進められます。
  • 運営の自由度が高い:利益の配分や経営ルールを、出資割合に縛られず定款で自由に設計できます。役員任期の登記や決算公告の義務もありません。

一方で、対外的な知名度・信用の面では株式会社に一日の長があるのも事実です。どちらが自社に合うかは、株式会社と合同会社の違いの記事でより詳しく比較しています。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

合同会社設立の流れ

合同会社の設立は、株式会社から「定款認証」の工程を省いた流れになります。全体像は次のとおりです。

  1. ステップ1 基本事項の決定
    商号(会社名)・本店所在地・事業目的・資本金・社員(出資者)・代表社員などを決めます。事業目的は許認可にも関わるため慎重に定めます。
  2. ステップ2 定款の作成
    会社のルールブックである定款を作成します。合同会社は公証人の認証が不要なので、そのまま次へ進めます。
  3. ステップ3 出資金の払込み
    社員が定めた出資金を、代表社員の個人口座などへ払い込みます。払込みを証する書面を用意します。
  4. ステップ4 登記書類の作成・押印
    設立登記申請書、代表社員の就任承諾書、印鑑届書などを準備します。
  5. ステップ5 法務局へ設立登記を申請
    本店所在地を管轄する法務局へ申請します。登記申請日が会社の設立日になります。

出資金の払込みについては、会社法が次のように定めています。

(合同会社の設立時の出資の履行)第578条
設立しようとする合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、合同会社の社員になろうとする者全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、合同会社の成立後にすることを妨げない。
会社法 第578条(合同会社の設立時の出資の履行)

このとおり、合同会社は登記のときまでに出資の全額を払い込む必要があります。株式会社のように出資金を最低1円から設定できますが、実務では会社の体力を示す意味でも一定額を用意するのが一般的です。

合同会社の設立にかかる費用

設立時にかかる主な費用(法定費用)は次のとおりです。

  • 登録免許税資本金額の1000分の7、最低6万円(株式会社は最低15万円)。
  • 定款用の収入印紙代:紙の定款は4万円。ただし電子定款なら不要です。
  • 定款認証手数料:合同会社は0円(認証不要)。株式会社は3万〜5万円かかります。

つまり合同会社は、電子定款を使えば実費6万円ほどで設立できる計算です。収入印紙代4万円を節約する電子定款のしくみは、電子定款とはの記事で解説しています。このほか、専門家に依頼する場合は報酬が加わります(正式なお見積りはご依頼いただく前にご提示しますので、ご安心ください)。

合同会社に向いているケース

これまでの特徴をふまえると、合同会社は次のような事業に向いています。

  • 個人事業からの法人成り:一人または家族・少人数で始める事業で、設立コストとランニングコストを抑えたい場合。
  • BtoBや専門サービス:取引先が限られ、会社の「形」より中身で評価される事業(コンサルティング、士業サポート、ITなど)。
  • 不動産管理・資産管理会社:外部からの出資や上場を予定せず、身内で安定的に運営する会社。
  • 飲食店・小売など許認可を伴う小規模事業:許可要件を満たしつつ、低コストで法人格を持ちたい場合。

反対に、将来的に株式で資金調達をしたい・上場を目指す・採用力や対外的な信用を重視する事業は、株式会社のほうが適しています。なお、合同会社として始めたあとで株式会社へ変更(組織変更)することも可能です。まずは合同会社で小さく始め、事業の成長に合わせて株式会社化する、という進め方もひとつの選択肢です。

合同会社のデメリット・注意点

費用・自由度の面で優れる合同会社ですが、次の点は理解しておきましょう。

  • 知名度・信用:株式会社に比べ「聞き慣れない」という印象を持たれることがあります。取引先や採用の場面で影響する場合があります。
  • 株式による資金調達ができない:株式を発行して広く出資を募る仕組みがないため、将来の上場(株式公開)を目指すなら株式会社を選ぶのが基本です。
  • 社員間の対立に注意:出資者=経営者のため、社員どうしの意見が割れると運営が滞ることがあります。定款で議決や退社のルールを整えておくと安心です。

合同会社設立でよくある失敗

  • 事業目的を書き足りない:許認可が必要な事業は、目的に必要な文言が入っていないと許可申請でつまずきます。後から変更すると登記費用がかかります。
  • 代表社員・本店所在地を安易に決める:許認可の要件や、のちの変更コストに影響します。
  • 設立と許認可の順番を誤る:建設業や飲食業など、許可が必要な事業では設立設計の段階から要件を意識する必要があります。

専門家に依頼する場合(誰に何を頼めるか)

合同会社の設立では、定款作成・事業目的の設計・許認可の要否確認は行政書士が専門に扱います。一方、法務局への設立登記の申請そのものは司法書士の業務です。当事務所は定款や許認可を含む設立全体の設計を担当し、登記については司法書士と連携してワンストップでお手伝いします。会社設立とあわせて許認可が必要な事業をお考えの方は、設立の段階からご相談いただくとスムーズです。

まとめ|合同会社は低コストで始められる会社形態

合同会社は、登録免許税6万円・定款認証不要で株式会社よりも手軽に設立でき、運営の自由度も高い会社形態です。一方で信用面や資金調達の制約もあるため、事業の将来像に合わせて株式会社と使い分けるのが賢い選び方です。会社設立の流れとあわせてご検討ください。世田谷区大原の当事務所では、初回無料でご相談を承っています。電話(03-4500-1030)・LINE・オンラインにも対応しています。

会社設立・法人化の全体像は、会社設立の総合ガイドでまとめて解説しています。

出典