実家の相続|お盆に家族で話す5つのチェックリスト

「元気なうちに、実家のことを一度きちんと話しておきたい」——そう思いながらも、なかなか切り出せないのが相続の話です。日常の電話やLINEで持ち出すには重すぎるし、かといって放っておくと、いざというときに家族が揉める原因になりかねません。 そんな相続の話を切り出すのに、実はお盆は絶好のタイミングです。本記事では、お盆に家族が集まったときに確認しておきたい「実家の相続」5つのチェックリストを、相続相談400件超の実績を持つ行政書士・藤原友事務所(世田谷区大原)がご紹介します。

なぜお盆が相続を話すベストタイミングなのか

理由は3つあります。 1つ目は、普段離れて暮らす家族が一堂に会する数少ない機会であること。相続は特定の一人だけで決められるものではなく、相続人全員が関わります。全員が顔を合わせるお盆は、まさに話し合いに向いています。 2つ目は、仏壇やお墓を前にすると、自然と「その後」の話につながりやすいこと。ご先祖様を偲ぶ場は、自分たちの世代の将来を考えるきっかけにもなります。 3つ目は、親の変化に気づきやすいこと。久しぶりに会うことで、「少し物忘れが増えたかな」「足腰が弱ってきたな」といった変化に気づけます。認知症対策は、判断能力がしっかりしているうちにしか始められません。気づいたときが、動き出すときです。

実家の相続 5つのチェックリスト

重い雰囲気にする必要はありません。「一応、確認しておこうか」くらいの軽さで、次の5つを話題にしてみてください。

チェック1:財産の棚卸し(何が・どこに・どれだけあるか)

まず確認したいのが、親がどんな財産を持っているかです。預貯金(どの銀行か)、不動産(実家・土地・アパートなど)、有価証券、生命保険、そして借入金などのマイナスの財産も含めて、おおまかに把握しておきます。 すべての金額を根掘り葉掘り聞く必要はありません。「もしものときに、どこに何があるか分からないと困るから、リストだけ作っておこう」と伝えれば、親も協力しやすくなります。通帳や権利証、保険証券の保管場所だけでも共有しておくと、後々の手続きが格段にスムーズになります。

チェック2:遺言の有無

遺言書があるかどうかは、相続手続きを大きく左右します。遺言書があれば、原則としてその内容に沿って遺産を分けることになり、相続人間の話し合い(遺産分割協議)の負担が大幅に軽くなります。 「まだ遺言なんて早い」と感じる方も多いのですが、財産の分け方に少しでも希望がある場合や、相続人以外にも財産を渡したい場合、あるいは相続人同士の関係が微妙な場合には、遺言書があるだけで将来の紛争を防げます。特に公正証書遺言は、形式不備で無効になる心配がなく、確実性が高い方法です。

チェック3:不動産の名義(相続登記は義務化されています)

実家などの不動産について、現在の名義が誰になっているかを確認しましょう。「祖父の名義のまま」というケースは驚くほど多く、これを放置すると相続手続きが何代にもわたって複雑化します。 そして重要なのが、2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されたことです。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。これは不動産登記法に明記された義務です。
所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。 (不動産登記法 第76条の2 第1項)
さらに注意したいのは、2024年4月より前に発生した相続もこの義務の対象である点です。この場合は、2027年(令和9年)3月31日までに相続登記を申請すれば過料の対象になりません。「昔相続したまま名義変更していない不動産」がある方は、期限が迫っていますのでご注意ください。 なお、遺産分割の話し合いがまとまらないなどの事情がある場合は、「私が相続人の一人です」と法務局に申し出ることでひとまず義務を果たしたとみなされる相続人申告登記という簡易な手続きも利用できます。

チェック4:認知症対策(判断能力があるうちに)

親が認知症などで判断能力を失うと、本人名義の預貯金が引き出せなくなる(口座凍結)、不動産の売却や大規模修繕ができなくなるといった「資産凍結」が起こります。こうなると、家族であっても自由に財産を動かせません。 これを防ぐには、判断能力がしっかりしているうちに、家族信託任意後見契約といった対策を検討しておく必要があります。すでに判断能力が低下してしまった場合には、家庭裁判所を通じて成年後見人を選任する制度もあります(ご家族が後見人候補になることも可能です)。いずれの対策も「早めの準備」が鍵です。

チェック5:連絡先・専門家の共有

最後に、いざというときの連絡先を共有しておきましょう。かかりつけ医、菩提寺、そして相談できる専門家(行政書士・税理士・司法書士など)の連絡先を家族で把握しておくと、万一のときに慌てずに済みます。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

相続の話、どう切り出す?——言い方の例

とはいえ、「相続の話をしよう」と正面から切り出すと、親が身構えてしまうこともあります。角が立たない切り出し方の一例をご紹介します。
  • 「最近、相続登記が義務化されたってニュースで見たんだけど、うちの土地の名義って大丈夫かな?」
  • 「もしものとき、どこに何があるか分からないと私たちが困るから、一緒にリストだけ作っておかない?」
  • 「友達の家が相続で揉めたらしくて、うちは早めに話しておきたいなと思って」
「親のため」ではなく「残される自分たちのため」という切り口にすると、親も「じゃあ協力するか」となりやすいものです。

専門家に相談すべきサイン

次のいずれかに当てはまる場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
  • 相続人の中に、疎遠な人・関係が良くない人がいる
  • 実家が「祖父母の代の名義」のままになっている
  • 主な財産が不動産で、現金がほとんどない(分けにくい)
  • 親の物忘れが気になり始めた
  • 事業や賃貸物件を持っており、承継を考える必要がある
当事務所にご相談いただいた400件を超える相続のご相談の中でも、「もっと早く動いておけばよかった」というお声は少なくありません。反対に、生前から準備をされていたご家族は、驚くほどスムーズに、そして円満に相続を終えられています。

お盆明けのご相談、承っています

行政書士・藤原友事務所(世田谷区大原)では、相続・遺言・成年後見・家族信託に関する無料相談を承っています。お盆に家族で話し合ってみて「これは専門家に聞いた方がいいな」と感じたことがあれば、お電話(03-4500-1030)またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。オンライン相談にも対応しています。 相続は、早く動くほど選べる対策が増えます。この夏を、ご家族の将来を考えるきっかけにしてみてください。 なお、相続登記については司法書士、相続税の納税については税理士と提携しており、その部分のみをスムーズに引き継ぎますので、ご安心ください。

出典

相続手続き全体の進め方は、相続手続きの総合ガイドでまとめて解説しています。