警備業の認定申請とは?4区分の要件・書類・費用と開業の流れ 2026年版
「工事現場の交通誘導を自社でやりたいのですが、何か許可は要りますか」。
建設会社の社長さまから、ときどきいただくご質問です。答えは「他社の現場で報酬を得て行うなら、警備業の認定が必要です」。自社の現場を自社の社員が誘導するだけなら警備業にはあたりませんが、他人の需要に応じて行うのであれば、警備業法の世界に入ります。
この記事では、警備業を始めるために必要な認定の要件、書類、費用、そして開業までの流れをご説明します。
結論|都道府県公安委員会の認定を受けてから始めます

警備業は、届出ではなく認定です。主たる営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の認定を受け、その通知を受け取るまで、営業を始めることはできません。許可と届出の違いそのものは許可・認可・届出の違いで整理しています。
認定の申請をしないで、あるいは認定を受けた旨の通知を受ける前に警備業を営んだ場合、100万円以下の罰金の対象になります(警備業法第57条第一号)。他人に自分の名義で警備業を営ませる名義貸しも、同じ罰則です。
警備業務は4つに分かれます
(定義)第二条
この法律において「警備業務」とは、次の各号のいずれかに該当する業務であつて、他人の需要に応じて行うものをいう。
一 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(以下「警備業務対象施設」という。)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
二 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
三 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
四 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務
警備業法 第2条第1項第一号〜第四号(警備業務の定義)
順に、1号業務=施設警備、2号業務=交通誘導・雑踏警備、3号業務=貴重品や核燃料物質等の運搬警備、4号業務=身辺警備(ボディガード)と呼ばれています。建設業と関わりが深いのは2号業務です。
ここで大切なのは、認定を受けるときに、営業所ごとにどの区分の警備業務を取り扱うのかを届け出るという点です。区分は後から追加できますが、そのたびに変更の届出と、その区分の警備員指導教育責任者が必要になります。
認定を受けられない人(欠格事由)
警備業の認定は、設備や資本金を審査する制度ではありません。審査されるのは主に「人」です。欠格事由に当たらないことと、営業所ごとに警備員指導教育責任者を置けることが、実質的な二つの関門になります。
(警備業の要件)第三条
次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
(中略)
六 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
(中略)
八 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が警備業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び第十号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
九 営業所ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分(前条第一項各号の警備業務の区分をいう。以下同じ。)ごとに第二十二条第一項の警備員指導教育責任者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
十 法人でその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者があるもの
警備業法 第3条第一号・第二号・第六号・第八号〜第十号(警備業の要件)
法人の場合、監査役を含む役員全員が欠格事由に当たらないことを確認されます。相談役や顧問であっても、実質的な支配力があると認められれば役員として扱われる点にご注意ください。暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づく命令や指示を受けた者は、その日から3年を経過しないと認定を受けられません(第五号)。
営業所ごとに警備員指導教育責任者が必要です
(警備員指導教育責任者)第二十二条
警備業者は、営業所(警備員の属しないものを除く。)ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分ごとに、警備員の指導及び教育に関する計画を作成し、その計画に基づき警備員を指導し、及び教育する業務で内閣府令で定めるものを行う警備員指導教育責任者を、次項の警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けている者のうちから、選任しなければならない。ただし、当該営業所の警備員指導教育責任者として選任した者が欠けるに至つたときは、その日から十四日間は、警備員指導教育責任者を選任しておかなくてもよい。
警備業法 第22条第1項(警備員指導教育責任者の選任)
読み落としやすいのが「営業所ごと及び警備業務の区分ごと」という部分です。ひとつの営業所で施設警備と交通誘導の両方を扱うなら、それぞれの区分の資格者証を持った人が必要になります(1人で2区分の資格者証を持っていれば、その人が兼ねられます)。
資格者証は、公安委員会が行う警備員指導教育責任者講習を修了して交付を受けます。この講習は誰でもすぐ受けられるわけではなく、原則としてその区分の警備業務に一定期間従事した経験などが必要ですので、開業を思い立ったら真っ先に押さえるべき要件です。選任した人が欠けたときの猶予は14日間しかありません。
警備員は18歳以上、教育は毎年度必要です
警備員そのものにも制限があります。18歳未満の者、および法第3条第一号から第七号までに当たる者は警備員になれません(法第14条)。採用時には履歴書だけでなく、身分証明書や登記されていないことの証明書などで確認します。
そして、開業後にずっと続く義務が教育です。警備業法施行規則第38条により、教育時間は次のように定められています。
| 区分 | 対象 | 時間数 |
|---|---|---|
| 新任教育 | 新たに警備業務に従事させようとする警備員(基本教育+業務別教育) | 20時間以上 |
| 新任教育(経験者) | 最近3年間に同じ区分の警備業務に通算1年以上従事した者 | 7時間以上 |
| 現任教育 | 現に警備業務に従事させている警備員(基本教育+業務別教育) | 毎年度10時間以上 |
現任教育は「毎年度」10時間以上です。人手が足りない時期ほど後回しになりがちですが、教育の記録は立入検査で必ず確認され、怠れば指示処分の対象になります。教育計画書と教育記録は、様式を決めて営業所に備え付けてください。
交通誘導は検定合格警備員の配置が受注条件になります
2号業務で開業するなら、必ず押さえていただきたい制度があります。警備業法第18条は、専門的な知識と能力を要する一定の種別の警備業務について、検定に合格した警備員を配置しなければならないと定めています。
検定の種別は、空港保安警備業務・施設警備業務・雑踏警備業務・交通誘導警備業務・核燃料物質等危険物運搬警備業務・貴重品運搬警備業務の6つで、それぞれ1級と2級があります。配置が必要な場面は警備員等の検定等に関する規則第2条で定められており、高速自動車国道・自動車専用道路のほか、公安委員会が指定した道路での交通誘導警備業務では、その場所ごとに1級または2級の合格者を1人以上配置しなければなりません。
指定路線の工事を受注できるかどうかは、検定合格者が社内に何人いるかで決まります。建設会社の下請として継続的に入るつもりなら、認定を取ることと並行して、検定合格者の確保を計画に入れてください。元請側の視点は建設業許可の要件でも触れています。
服装と護身用具は届出が必要です
意外に忘れられがちなのが、服装と護身用具の届出です。警備員の服装は、警察官などの制服と色・型式・標章で明確に区別できるものでなければならず(法第16条第1項)、その色や型式を、警備業務を行おうとする都道府県ごとに公安委員会へ届け出ます(同条第2項)。
警棒などの護身用具についても同様に届出が必要で、公安委員会規則で携帯が禁止・制限されることがあります(法第17条)。他県の現場へ応援に行く場合は、その県の公安委員会にも服装と護身用具の届出が必要になる点にご注意ください。
費用の目安(東京都の場合)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 認定申請(新規) | 23,000円 |
| 認定の有効期間の更新 | 23,000円 |
| 警備員指導教育責任者講習(新規・1号/2号/3号/4号) | 47,000円/38,000円/38,000円/34,000円 |
| 指導教育責任者資格者証の交付 | 9,800円 |
| 現任の指導教育責任者講習(定期) | 5,000円 |
| 検定(直接検定・交通誘導警備業務) | 14,000円 |
| 検定の合格証明書の交付 | 10,000円 |
認定そのものは23,000円ですが、実際に開業するまでの費用は、指導教育責任者の講習と資格者証、そして検定の受検料を合わせて考える必要があります。法人でこれから始めるなら、会社設立の費用もあわせて見積もってください(会社設立の流れ・許認可が必要な事業の会社設立)。
認定から開業までの流れ
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- ステップ1 取り扱う区分と営業所を決める
- 1号から4号のどの区分を、どの営業所で扱うのかを決めます。ここで必要な指導教育責任者の数が決まります。
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- ステップ2 警備員指導教育責任者を確保する
- 資格者証を持つ人を採用するか、要件を満たす人に講習を受けてもらいます。講習は定員があり実施回数も限られるため、ここが最も時間のかかる工程です。
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- ステップ3 欠格事由の確認書類をそろえる
- 役員全員と指導教育責任者について、本籍地記載の住民票の写し、履歴書、身分証明書、医師の診断書、誓約書を用意します。法人は定款と登記事項証明書も必要です。
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- ステップ4 認定申請書を提出する
- 主たる営業所の所在地を管轄する警察署(東京都は生活安全課)へ提出します。手数料は23,000円です。事前に担当者へ電話連絡してから行くと手続きがスムーズです。
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- ステップ5 審査を待つ
- 東京都の標準処理期間は申請からおおむね40日です。この間に営業を始めることはできません。
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- ステップ6 認定証の交付を受ける
- 欠格事由に当たらないと認められれば通知があり、認定証が交付されます。有効期間は認定を受けた日から5年です。
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- ステップ7 服装・護身用具を届け出て教育を始める
- 警備業務を行う都道府県ごとに服装と護身用具を届け出て、警備員に新任教育20時間以上を行ってから、現場に配置します。
よくある失敗
指導教育責任者を後回しにするのが最大の失敗です。認定申請の書類に、選任する指導教育責任者の氏名と住所を書く欄があります。講習の日程が数か月先で開業が遅れる例は珍しくありません。
次に更新忘れです。認定の有効期間は5年で、更新の申請をしないまま期間が満了すると認定は効力を失います。満了後も引き続き営業すれば、無認定営業と同じく100万円以下の罰金の対象です。更新申請は満了の一定期間前から受け付けていますので、認定証を受け取った時点で満了日を社内の予定に入れてください。
そして変更の届出漏れです。商号・所在地・役員・営業所・取り扱う区分・指導教育責任者に変更があったときは、届出が必要です。役員が1人交代しただけでも対象になります。会社の変更手続き全般は許認可で求められる資本金・財産要件とあわせてご確認ください。
まとめ
警備業は、都道府県公安委員会の認定を受けてから始める仕事です。審査の中心は設備ではなく人で、役員全員が欠格事由に当たらないことと、営業所ごと・区分ごとに警備員指導教育責任者を置けることが要件になります。開業後は、新任教育20時間以上と毎年度10時間以上の現任教育、服装と護身用具の届出、そして5年ごとの更新が続きます。準備の順番を間違えなければ、認定そのものは決して難しい手続きではありません。
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