世田谷区の民泊ルール|住居専用地域の平日営業制限と届出の流れを解説 2026年版
世田谷区で民泊を始めるには?法律と区の「上乗せ条例」
世田谷区で民泊(住宅宿泊事業)を始めるには、国の法律である住宅宿泊事業法(民泊新法)にもとづく届出が必要です。そのうえで、世田谷区には区独自の「上乗せ条例」があり、営業できる場所や期間が法律よりも厳しく制限されています。
この上乗せ条例の根拠となっているのが、住宅宿泊事業法の次の規定です。
(住宅宿泊事業を実施する期間の制限)第18条
都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長。第二十五条第一項及び第二項並びに第二十六条第一項を除き、以下同じ。)は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる。
住宅宿泊事業法 第18条(住宅宿泊事業を実施する期間の制限)
世田谷区は特別区(保健所設置区)として、この第18条を根拠に「住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」を定め、区域と営業期間の両面で制限をかけています。「住宅都市」である世田谷区ならではのルールを、開業前に必ず確認しておきましょう。
世田谷区の上乗せ条例=住居専用地域の曜日制限
世田谷区の条例の最大のポイントは、住居専用地域での曜日による営業制限です。具体的には、次の用途地域が制限区域とされています。
- 第一種・第二種低層住居専用地域
- 第一種・第二種中高層住居専用地域
これらの住居専用地域では、条例第2条により、休日の正午からその翌日の正午を除く、月曜日の正午から土曜日の正午までの期間は、原則として民泊を実施できません。言いかえると、営業できるのはおおむね週末(土曜正午〜月曜正午)と祝日に限られます。世田谷区は住宅地の割合が大きいため、この制限の影響を受ける物件が多くなります。
曜日で営業日が絞られる結果、実際に営業できるのは土日・祝日が中心で、年間およそ120日程度にとどまります。これは条例に「120日」と数字で書かれているわけではなく、曜日制限を1年に当てはめた実質的な日数の目安です。後述のとおり、民泊新法の年180日という上限よりも、この曜日制限のほうが実質的にきつくなります。

例外:区長が認める区域では平日も営業できる
ただし、条例には例外が定められており、「平日は一切営業できない」と決まっているわけではありません。
住居専用地域であっても、「区民の生活環境が悪化するおそれがない」と区長が認める区域については、実施を制限する期間を変更できます(条例第2条ただし書き)。この変更を受けたい事業者は、区へ制限期間の変更を申し出る申出書(区ガイドライン 様式6)を提出します。これが認められれば、平日の営業も可能になります。
もっとも、これは区長が「区域」として認めている場合の取扱いであり、申し出れば必ず平日営業できるというものではありません。ご自身の物件がその区域に当たるかどうかは、届出の前に区(世田谷保健所)で確認しておくと安心です。なお、区域の変更が認められて平日も営業できるようになった場合でも、民泊新法の年180日という上限は残ります。
家主居住型と家主不在型の違い
民泊は、家主がその住宅に住んでいるか(家主居住型)、いないか(家主不在型)で扱いが変わります。ただし、先ほどの曜日による営業制限(条例第2条)は、住居専用地域であれば家主居住型・家主不在型のどちらにも及びます。両者で主に違うのは、次の管理体制の点です。
- 家主居住型:オーナーが同じ住宅に居住し、宿泊者と同じ建物で暮らす形態。原則として自ら管理できます。
- 家主不在型:オーナーが不在となる形態。住宅宿泊管理業者への管理委託が法律で義務づけられており、この委託契約がないと届出は受理されません。ただし、自分の生活の本拠と届出住宅が同一建物・敷地内または隣接し、自ら管理する居室が5以下などの要件を満たせば、事業者自身で管理できる場合もあります。
家主不在型では、管理業者を早めに確保しておくことが、スムーズな届出のカギになります。
世田谷区への届出の流れ
民泊の届出は、世田谷保健所 生活保健課 環境衛生施設係が窓口です。届出の前に、区独自の事前手続きが求められます。
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- ステップ1 物件・用途地域の確認
- 用途地域(住居専用地域かどうか)、区長が認める区域に当たるか、分譲マンションなら管理規約で民泊が禁止されていないかを確認します。
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- ステップ2 近隣への事前周知
- 周辺住民へ民泊を始める旨を、書面等であらかじめ周知します(区が定める方法・範囲で)。
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- ステップ3 消防・安全確保の準備
- 消防機関へ事前相談し、建築士等による安全確保措置のチェックを受けます。
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- ステップ4 管理業者との契約(家主不在型)
- 家主不在型は、登録を受けた住宅宿泊管理業者と管理委託契約を結びます。
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- ステップ5 届出(民泊制度運営システム)
- 必要書類(制限期間の変更を求める場合は申出書 様式6も)をそろえ、区(保健所)へ届出をします。受理後、標識を掲示して営業開始です。
世田谷区独自の主な義務
届出にあたり、世田谷区では次のような対応が求められます(区の条例・ガイドラインによる)。
- 周辺住民等への事前周知:営業開始前に、書面等であいさつ・説明を行う。
- 消防機関への事前相談:消防用設備・防火管理体制の確認。
- 安全確保措置のチェックリスト:建築士等による確認。
- 分譲マンションの管理規約の確認:民泊を禁止する定めがないことの確認。
- 区長への定期報告:宿泊日数などの報告。
年180日制限と曜日制限、実際に営業できる日数は?
民泊新法では、そもそも年間の営業日数が180日以内に制限されています(毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までで計算)。これに加えて、世田谷区の住居専用地域では前述の曜日制限がかかります。住居専用地域では、営業できるのが土日・祝日中心の年120日程度となり、民泊新法の180日よりも先に、この曜日制限が実質的な上限になります。区長が認める区域として制限期間の変更が認められれば平日も営業できますが、その場合でも180日の上限は残ります。収支計画は、この実質日数を前提に立てることが大切です。民泊制度の全体像は民泊(住宅宿泊事業)の始め方、他区との比較は東京23区の民泊 上乗せ条例まとめもご覧ください。
通年で営業したいなら「旅館業許可」という選択肢
「週末だけでは採算が合わない」「平日も通年で営業したい」という場合は、民泊(住宅宿泊事業)ではなく、旅館業許可(簡易宿所営業など)を取得する道があります。旅館業許可なら営業日数の制限はありませんが、用途地域の制限・フロントや消防設備などの構造設備基準が民泊より厳しくなるため、物件の条件をよく確認して選ぶ必要があります。詳しくは旅館業許可と民泊届出の違いで解説しています。
まとめ|世田谷区の民泊は「場所・曜日・区域」を必ず確認
世田谷区で民泊を始めるには、住居専用地域の曜日制限(実質年120日程度)・区長が認める区域での平日営業の可否・家主不在型の管理委託義務・近隣周知などの区独自ルール・年180日制限を、物件ごとに確認することが欠かせません。ルールを踏まえた事業設計こそが、トラブルなく続けるコツです。世田谷区大原の当事務所では、地元の行政書士として、保健所・消防・建築の各窓口対応まで初回無料でご相談を承っています。電話(03-4500-1030)・LINE・オンラインにも対応しています。世田谷区の各種許可・届出は世田谷区の行政書士でもご案内しています。
民泊・旅館業の許可と届出の全体像は、民泊・旅館業許可の総合ガイドでまとめて解説しています。



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