東京23区の民泊 上乗せ条例まとめ|平日営業制限と実質日数 2026年版

「東京で民泊を始めたい。年180日まで営業できるはず」——そう考えて物件を探し始めると、多くの方がつまずくのが区ごとの「上乗せ条例」です。同じ東京23区でも、区によって営業できる曜日・区域・期間が大きく違い、実際に泊められる日数が想定よりずっと少なくなることがあります。 この記事では、東京23区の民泊(住宅宿泊事業)の上乗せ条例の仕組みと、世田谷区・豊島区などの実例を、旅館業・民泊に注力する世田谷区大原の行政書士・藤原友事務所が解説します。旅館業許可と民泊届出の違いそのものは、旅館業許可と民泊届出の違いとは?費用・営業日数・条例の差を解説 2026年版をあわせてご覧ください。

上乗せ条例とは——法律が区ごとの制限を認めている

そもそも民泊(住宅宿泊事業)は、住宅宿泊事業法で年間180日以内と定められています。そのうえで同法は、生活環境を守るために、自治体が条例で営業できる区域や期間をさらに制限することを認めています。
都道府県は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、(中略)条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を行う期間を制限することができる。 住宅宿泊事業法 第18条
東京23区はそれぞれが保健所を持つ特別区で、この権限を使って独自の条例を定めています。だからこそ、同じ東京23区でも、区によって民泊のしやすさは大きく異なります。

いちばん多いパターン——住居専用地域の「平日制限」

23区で最も一般的なのが、住居専用地域で、家主不在型の民泊の平日営業を制限するというパターンです。 多くの区が、住居専用地域では「月曜日の正午から金曜日(または土曜日)の正午まで」の営業を認めていません。つまり、営業できるのは実質的に週末が中心になります。 これが効いてくるのが、実際に泊められる日数です。平日が使えないと営業は土日中心となり、年間の上限である180日を大きく下回ることも珍しくありません。 とくに区の面積の多くが住居専用地域という区では、この影響が大きくなります。 だからこそ、物件を探す前に、まず「用途地域」と「区の条例」を確認するのが鉄則です。 用途地域は各区の地図情報サービスなどで調べられます。

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

世田谷区の例——家主不在型は平日が原則不可

当事務所のある世田谷区を例に見てみましょう。世田谷区は、住居専用地域において、家主不在型の住宅宿泊事業を次の時間帯は原則として実施できないと定めています(追加の申請を行い、認められれば平日の営業も可能となります)。
月曜日の正午から土曜日の正午まで(休日の正午からその翌日の正午を除く)
対象は住居専用地域で、世田谷区はこの住居専用地域が区内の大部分を占めます。また、家主不在型では住宅宿泊管理業者への管理委託が必要です。そのため、世田谷区で民泊を検討する際は、物件の用途地域の確認が特に重要になります。

豊島区の例——2025〜2026年に段階的に規制を強化

近年、規制を大幅に強化したのが豊島区です。豊島区は住宅宿泊事業に関する条例を改正し、2段階に分けて施行しています。
  • 2025年12月15日から:年間の営業日数の上限を180日から120日に引き下げ、営業できる期間も特定の時期(3月15日〜4月10日・7月1日〜8月31日・12月15日〜1月14日)に限定。この制限は既存の施設にも適用されます。
  • 2026年12月16日から:住居専用地域・住居地域・準工業地域・文教地区などで、民泊を新規に開設できない区域とする。
これは23区の中でもかなり厳しい部類で、これから開業する方だけでなく、すでに運営している方にも大きく影響します営業できる期間や対象区域の細部は、必ず豊島区の公表資料で確認してください

「特区民泊」という別ルートもある(大田区など)

なお、大田区など一部の区では、上乗せ条例とは別に特区民泊(国家戦略特別区域の認定を受ける方式)という選択肢があります。特区民泊は認定制で、原則2泊3日以上の滞在が条件になる代わりに、年間の営業日数の制限がなく通年で営業できるのが特徴です。住宅宿泊事業(新法民泊)の日数制限がネックになる場合の代替案になり得ます。

物件を決める前に確認すべき5つのこと

区ごとの差が大きいぶん、物件を契約する前の確認が何より大切です。
  • 用途地域(住居専用地域かどうか。営業できる曜日に直結します)
  • 家主居住型か家主不在型か(不在型は制限が厳しく、管理業者への委託も必要)
  • その区の条例(営業できる曜日・区域・期間。区の保健所や生活衛生課に事前相談を)
  • 消防・建築の要件民泊・旅館業の消防法と建築基準法の要件|消防設備と用途変更 2026年版を参照)
  • 年間の想定営業日数(条例を踏まえ、採算が合うか)
「この区・この物件で、実際に何日営業できるのか」を最初に見極めることが、失敗しない民泊の第一歩です。

民泊の無料相談を受け付けています

行政書士・藤原友事務所(世田谷区大原)では、住宅宿泊事業(民泊)の届出や旅館業許可について、区の条例の確認から保健所・消防署・建築指導課への対応まで一貫してサポートしています。「この物件で民泊ができるか」「何日営業できるか」という段階からのご相談も歓迎です。無料相談はお電話(03-4500-1030)またはお問い合わせフォームから。オンライン相談にも対応しております。

出典

民泊・旅館業の許可と届出の全体像は、民泊・旅館業許可の総合ガイドでまとめて解説しています。