自筆証書遺言と公正証書遺言の違い|費用・検認・保管制度を含めて行政書士が解説

「遺言を残しておきたい。でも、自分で書くのと、公証役場で作るのと、どちらがいいのだろう」——相続の準備を始めた方から、よくいただくご相談です。 遺言には主に自筆証書遺言公正証書遺言の2種類があり、それぞれ費用・手間・確実性が大きく異なります。選び方を誤ると、せっかく書いた遺言が無効になったり、見つけてもらえなかったりすることもあります。 この記事では、2つの遺言の違いを、費用・検認・保管制度の観点から、世田谷区大原の行政書士・藤原友事務所が分かりやすく解説します。相続相談400件超の実務経験を踏まえてお伝えします。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作成する遺言です。作成方法は民法で次のように定められています。
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。 民法 第968条第1項
つまり、全文・日付・氏名を自分で手書きし、押印するのが基本です。パソコンで作成したり、日付が「令和7年7月吉日」のように特定できなかったりすると、形式不備で遺言そのものが無効になってしまいます。ここが自筆証書遺言の最大の落とし穴です。 なお、2019年の民法改正により、財産目録の部分だけはパソコン作成や通帳コピーの添付が認められるようになり、負担は少し軽くなりました(ただし各ページに署名押印が必要です)。 メリット:費用がほとんどかからず、自分一人でいつでも作成できる手軽さ。 デメリット:形式不備で無効になりやすい、自宅保管だと紛失・改ざん・未発見のリスクがある。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、公証人が遺言者から内容を聴き取り、公文書として作成する遺言です。作成には証人2人の立会いが必要で、完成した遺言書の原本は公証役場に保管されます。 法律の専門家である公証人が関与するため、形式不備で無効になる心配がほとんどなく、原本が公証役場にあるので紛失・改ざんの恐れもない——これが公正証書遺言の最大の強みです。確実性を最優先するなら、公正証書遺言が安心です。 メリット:無効になりにくく、紛失・改ざんの心配がない。検認も不要。 デメリット:費用がかかり、証人2人の手配が必要。
遺言書

遺言書のイメージ画像

「自分のケースだと、どうなる?」と思ったら,読み進める前にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

検認の要否——ここが大きく違う

遺言でとくに重要なのが、相続開始後の検認という手続きです。検認とは、家庭裁判所が遺言書の存在と内容を確認し、偽造・変造を防ぐための手続きです。
種類 保管場所 検認
自筆証書遺言 自宅など 必要(家庭裁判所へ)
自筆証書遺言(法務局保管制度を利用) 法務局 不要
公正証書遺言 公証役場 不要
自宅で保管していた自筆証書遺言は、相続後に家庭裁判所での検認を経なければ、預貯金の解約や不動産の名義変更に使えません。 検認には数週間〜1ヶ月以上かかることもあり、遺されたご家族の負担になります。

法務局の「自筆証書遺言書保管制度」という選択肢

「自筆証書遺言の手軽さは活かしたいが、紛失や検認が心配」——そんな方のために、令和2年(2020年)7月10日から、法務局が自筆証書遺言を預かる「自筆証書遺言書保管制度」が始まっています。 この制度を使うと、
  • 法務局が原本を保管するため、紛失・改ざん・未発見のリスクがなくなる
  • 相続開始後の家庭裁判所の検認が不要になる
  • 手数料は1件につき3,900円(保管申請時のみ。以後の保管に追加費用はかかりません)
と、自筆証書遺言の弱点を大きく補えます。手軽さとコストを重視しつつ安全性も確保したい方に向いた制度です。自筆証書遺言の作成ルールの改正点は自筆証書遺言に関する民法改正のポイントもあわせてご覧ください。

費用の目安

  • 自筆証書遺言(自宅保管)… ほぼ無料
  • 自筆証書遺言+法務局保管… 手数料3,900円
  • 公正証書遺言… 公証人手数料(財産の額と相続人の数で決まる。全体の財産が1億円以下の場合は算出額に1万3,000円が加算〔遺言加算〕)+証人の手配費用など
公正証書遺言の手数料は財産額で変わるため一概には言えませんが、数万円〜十数万円程度になることが多いです(財産額・相続人数により変動します。具体額は事前にご案内しますので、ご安心ください)。

どちらを選ぶ?判断の目安

  • 確実性を最優先したい/相続財産が多い・相続人が複数で揉める可能性がある公正証書遺言
  • まずは手軽に、でも紛失・検認は避けたい自筆証書遺言+法務局保管制度
  • 迷う場合や、内容が複雑な場合は、専門家に相談してから方式を選ぶのが安全です
「そもそも自分に遺言が必要か分からない」という方は、実家の相続|お盆に家族で話す5つのチェックリストもご参考ください。

遺言の無料相談を受け付けています

行政書士・藤原友事務所(世田谷区大原)では、遺言書の作成サポート(文案作成・公正証書遺言の証人手配・法務局保管制度の申請支援など)を承っています。相続相談400件超の実績をもとに、ご家族に合った遺言の残し方をご提案します。無料相談は、お電話(03-4500-1030)またはお問い合わせフォームから。オンライン相談にも対応しております。

出典

遺言書の作成手続きの全体像は、遺言書の作成ガイドでまとめて解説しています。