これから建設業許可を取得したい方へ
東京都で建設業を営む皆さまへ。事業の成長を目指す上で、建設業許可の取得は避けて通れない重要なステップです。この許可を得ることで、請負金額の上限が撤廃され、社会的信用力の向上や公共工事への参入といった、新たなビジネスチャンスが大きく広がります。
このガイドでは、これから事業を本格的に展開する事業者さまが、新規で一般建設業許可を取得する際の必須要件、手続きの流れ、そして不許可リスクを回避するための実務的なポイントを、徹底的に解説します。
第1章:はじめに — 建設業許可の概要
1.1. 建設業許可制度の目的と許可の種類
建設業許可制度は、建設工事の適切な施工を確保し、発注者保護と建設業の健全な発展を目的としています。この許可がなければ、原則として請負代金が500万円未満(消費税込)の「軽微な建設工事」しか請け負うことができません。
また、建設業許可には、**「一般建設業許可」と「特定建設業許可」**の2種類があります。この区別は、元請業者として発注者から直接請け負う工事において、下請業者に発注する金額の総額が基準となります。
- 一般建設業許可: 下請けに発注する金額が1件の工事につき4,500万円未満(建築一式工事の場合は7,000万円未満)の場合に必要です。
- 特定建設業許可: 上記の基準額以上を下請けに発注する場合に必要です。
あなたが下請けとして工事を請け負う場合や、元請けとして請け負うが下請けに発注しない、あるいは発注額が基準未満であるという場合は、一般建設業許可で十分です。
1.2. 東京都知事許可の申請先と申請方法
東京都における建設業許可の申請窓口は、東京都庁の第二本庁舎3階にある建設業課です。申請は以下のいずれかの方法で行います。
- 紙による窓口申請: 従来からの方法です。新規申請は、郵送での受付は行っておらず、窓口での提出が必須となります。
- 電子申請: 2023年10月下旬より、国土交通省の「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」を利用した電子申請が開始されました。
東京都の建設業課窓口は、新規申請や追加申請は**「1番窓口」、更新申請や決算変更届は「2番窓口」**と、機能別に分かれています。事前にどの窓口に行くべきか確認することで、スムーズに手続きを進められます。
第2章:許可取得の必須要件 — 徹底解説
一般建設業許可を取得するには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。これらは形式的なものではなく、その**「実体性」と「常勤性」を客観的な資料で証明できるか**が、許可の可否を分ける最も重要なポイントです。
2.1. 経営業務の管理責任者(常勤役員等)要件
建設業の経営に関する一定の経験を有する者が、1名以上常勤の役員等として配置されていることが求められます。
要件の詳細と証明方法
- 経営経験: 許可を受けようとする建設業で5年以上、または他業種も含めて6年以上の経営経験が必要です。
- 証明方法: 経験を積んだ会社の建設業許可通知書のコピーや、役員であった期間の履歴事項全部証明書を提出します。もし許可を持たない会社や個人事業主としての経験であれば、税務署の受付印がある確定申告書、請負契約書、請求書、通帳の写しなど、工事実績を証明できる書類を5年分以上揃える必要があります。
2.2. 専任技術者要件
営業所に常勤し、請負契約の適正な履行を確保するための技術的なバックアップを行う者が、1名以上必要です。
要件の詳細(資格・学歴・実務経験)
以下のいずれかを満たす必要があります。
- 国家資格の保有: 1級または2級の施工管理技士などの指定された国家資格。
- 指定学科の卒業と実務経験: 大学・高専卒業後3年以上、または高校卒業後5年以上の実務経験。
- 実務経験: 指定された業種で10年以上の実務経験。
特に10年の実務経験を証明する場合、過去の書類が残っていないことが課題となりがちです。確定申告書の控え、契約書、請求書、入金履歴など、複数の書類を組み合わせて証明する工夫が求められます。
2.3. 財産的基礎要件
事業の継続性を証明するため、以下のいずれかの財産要件を満たす必要があります。
- 自己資本が500万円以上あること
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 直前5年間、継続して建設業を営業した実績があること
財産証明のための必要書類
- 自己資本の証明: 直近の決算書の貸借対照表の「純資産の部」合計額で証明します。
- 資金調達能力の証明: 金融機関が発行する500万円以上の預金残高証明書を提出します。証明書の名義は、申請を行う法人または個人事業主のものである必要があります。
2.4. 営業所要件
建設業に関する実体的な業務を行う拠点として、以下の要件を満たす必要があります。
- 使用権限の証明: 賃貸借契約書や登記簿謄本などで、営業所を使用する権限を証明します。
- 独立性の確保: 他の法人や居住部分と固定式の間仕切り等で明確に区別されている必要があります。
- 実体の証明: 固定電話、机、事務機器、応接スペースなどの備品が揃っていること。
- 常勤者の配置: 経営業務の管理責任者と専任技術者が、その営業所に常勤していること。
2.5. 欠格要件と社会保険加入要件
申請者やその役員等が、過去に行政処分や罰金刑を受けていないか等の欠格事由に該当しないことが必要です。また、健康保険、厚生年金保険、雇用保険といった社会保険への加入も必須となります。
第3章:手続きの全体像と具体的な流れ
3.1. 申請準備から許可通知までのロードマップ
建設業許可取得までの流れは、大きく4つのステップで構成されます。
- 事前準備と要件確認: 自社の事業内容に応じた許可の種類を判断し、すべての許可要件を満たしているかを確認します。
- 書類の収集と作成: 東京都都市整備局のウェブサイトから最新の申請様式をダウンロードし、必要書類を漏れなく揃えます。
- 申請窓口での手続き: 東京都庁の窓口で新規申請を行います。書類に不備がないかチェックを受け、受理された後に手数料を納付します。
- 審査と許可通知: 申請受理後、行政による審査が開始されます。審査期間は一般的に30日〜60日程度が目安です。審査が完了し、許可が下りると、許可通知書が郵送で交付されます。
3.2. 申請に必要な主要書類一覧
建設業許可申請に必要な書類は多岐にわたります。一部を以下に示します。
| 書類区分 | 書類名 | 入手先/確認事項 |
| 定型の法定様式 | 建設業許可申請書など | 東京都都市整備局HPからダウンロード |
| 法人関係 | 履歴事項全部証明書、定款など | 法務局、会社保管 |
| 役員・技術者関係 | 身分証明書、健康保険証の写し、住民票など | 本籍地の市区町村、法務局 |
| 財産的基礎 | 決算書、預金残高証明書 | 会計事務所、金融機関 |
| 営業所 | 営業所の写真、建物賃貸借契約書など | 自己撮影、不動産仲介会社 |
| 経験証明 | 請負契約書、請求書など | 過去の業務書類 |
第4章:許可申請の実務的課題と不許可リスクの回避策
4.1. 申請における主な落とし穴とチェックリスト
建設業許可が不許可となる理由は、主に以下の4つに集約されます。
- 経営業務の管理責任者が要件を満たせない。
- 専任技術者が要件を満たせない。
- 財産的基礎要件を満たせない。
- 役員等が欠格事由に該当する。
これら以外にも、営業所に実体がない、預金残高証明書の名義や日付に不備があるといった実務上の落とし穴も存在します。
4.2. 専門家(行政書士)を活用するメリット
建設業許可申請は複雑であり、多くの実務的な課題を伴います。専門家である行政書士に依頼することは、これらの課題を乗り越える上で非常に有効な手段です。
- 事前判断: ヒアリングを通して許可取得の可能性を判断し、必要な書類を的確に指示してくれます。
- 不許可リスクの低減: 審査の落とし穴や行政の判断基準を熟知しているため、不備なく申請を完了させ、不許可となるリスクを最小限に抑えられます。
- 時間と労力の節約: 複雑な書類作成や窓口での手続きを代行してもらうことで、本業に集中できます。
- 継続的なサポート: 許可取得後の決算変更届や更新手続きにも対応可能な事務所を選ぶことで、長期的なパートナーシップを築くことができます。
許可取得のメリットと費用
建設業許可を取得することで、以下のような大きなメリットがあります。
- 請負代金上限の撤廃: いかなる金額の工事も受注可能に。
- 社会的信用力の向上: 金融機関からの融資が受けやすくなるなど、事業拡大の機会が広がります。
- 公共工事入札への参加: 経営事項審査の受審が可能となり、国や自治体の公共工事へ参加できるようになります。
許可取得にかかる費用は以下の通りです。
| 項目 | 金額(概算) | 備考 |
| 法定手数料 | 90,000円 | 都道府県に支払う手数料 |
| 実費(書類取得費) | 1,000円〜数千円 | 身分証明書、登記簿謄本など |
| 行政書士報酬 | 165,000円(当事務所の場合) | 事務所や業務内容によって変動 |
法定手数料に加え、各種証明書取得の実費が発生します。また、行政書士に依頼する場合は別途報酬が必要となりますが、これにより不許可リスクの低減や時間・労力の節約といった付加価値を得ることができます。
藤原友 行政書士事務所は、皆さまの建設業許可申請を代理で行っております。お気軽にご相談ください。
