建設業許可を受けるための基礎知識〜5つのポイント〜
建設業とは
建設業とは、端的に言うと、「建設工事の完成を約束して、報酬をもらうこと」です。
元請けでも下請けでも、そのような契約になっていれば、全て建設業です。
(定義)
建設業法
2条2号 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。
建設業に関する法律「建設業法」の目的とは
建設業法の目的は、手抜き・欠陥工事を防止することと、業界が健全に発展することです。
(目的)
建設業法
1条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
そのために許可その他の制度があります。
建設業許可が不要な建設業者もある
建設業を営むにあたって、必ずしも許可を取らなければならないわけではありません。
次の表に書いてあるような、小規模な工事しか請け負わない場合、建設業許可は不要です。
建築一式工事でない建設工事 | 1件の請負代金が500万円(税込)未満の工事 |
建築一式工事 | ① 1件の請負代金が1,500万円(税込)未満の工事 または、 ② 木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事 (木造かつ延べ面積の1/2以上が居住用) |
なお、請負代金について、1つの工事を分割発注してもらって1件の請負代金を減らし、無許可で営業する、というズルは認められません。
また、注文者に材料を提供してもらう場合は、その市場価格や運送費を請負代金の額に加えます。
そして、この範囲に収まらない、金額・規模の大きな工事を行う場合は、件数に関わりなく許可が必要になります。
(建設業の許可)
建設業法
第三条 建設業を営もうとする者は、…(中略)…許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
第一条の二
建設業法施行令
法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が建築一式工事にあつては千五百万円に満たない工事又は延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅工事、建築一式工事以外の建設工事にあつては五百万円に満たない工事とする。
2 前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。
3 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。
建設業者の種類
- 国土交通大臣許可 : 複数の都道府県に営業所がある場合
- 知事許可 : 一つの都道府県のみに営業所がある場合
営業活動の拠点が複数の都道府県にある場合、大臣許可が必要です。
一方で、営業活動の拠点が一つの都道府県にしかなくても、建設工事については全国どこでも行うことができます。
例えば、東京都で許可を受け、都内にある本店・支店で営業活動を行い、そこで契約した神奈川県内の現場での工事を行うことは問題ありません。
(建設業の許可)
建設業法
第三条 建設業を営もうとする者は、…(中略)…二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。…(以下略)…
これから新しく建設業許可(一般・知事)を受けるための要件
許可を受けるために、大まかに次の5つの要件を確認する必要があります。
- 建設業の経営経験者「経営業務の管理責任者」がいること
- 建設業の技術を持った人「専任技術者」がいること
- 最低限の「資金」があること
- 来客を迎えて契約を行える「営業所」があること
- 役員などが「欠格要件」に当たらないこと
以下、順番に説明します。
建設業の経営者「経営業務の管理責任者」がいること
常勤の取締役の誰かが、建設業について一定の経営経験(許可を受けようとする業種なら5年、それ以外は7年)を持っていることが求められます。
※この「経営業務の管理責任者」は、略して「経管」と呼ばれます。
常勤性の証明資料:住民票+健康保険証(※住民登録地からは通えず、違う場所から通っている場合は、それを証明する書類も添付)
経営経験の証明資料1:法人の役員だった方であれば、登記事項証明書や閉鎖登記簿謄本などで期間分を証明します。政令使用人だった方は、期間分の建設業許可申請書及び変更届出書の写し(原本を提示)で証明します。
経営経験の証明資料2:許可を受けようとする業種を取り扱っていたことの証明書類は、建設業許可通知書の写し、期間分の業種内容が明確に判断可能な工事請負契約書や注文書、請求書等の写し(原本を提示)で証明します。
建設業の技術を持った人「専任技術者」がいること
その業種について、国家資格をはじめとする一定の技術を持っている人が、営業所に常勤して、専らその業務を行っていることが求められます。
この「専任技術者」は、略して「専技」と呼ばれます。
なお、専技は経管と同じ人でも構いません。
最低限の「資金」があること
自己資本(貸借対照表の純資産合計)が500万円以上あることが求められます。
決算書で確認します。
ない場合でも、金融機関の預金残高が500万円以上あることが確認できればクリアできます。
来客を迎えて契約を行える「営業所」があること
要点をまとめますと、次のことが求められます。
- 経営業務の管理責任者と専任技術者が常勤している
- 建設業の営業所であることが分かるように表示してある
- 営業用事務所としての使用権原のある物件で、外部から完全に独立した場所となっている
- 来客を迎え入れて契約ができる専用のスペースがある
役員などが「欠格要件」に当たらないこと
役員について、成年被後見人の登記がされていたり、近年罰せられた履歴があったりといった、欠格要件に該当しないことが求められます。
建設業許可に関するお見積りやご相談について
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