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飲食業用の店舗を借りる前の基礎知識〜2つのポイント〜

飲食店を開店する地域についての制限

突然ですが、実はこの世の中、好き勝手にどこにどんな建築物を建てても良いというわけではないんです。

極端な例ですが、閑静な住宅街の中に大きな工場やカラオケが建つのはちょっといただけないよね、というような話です。

地域・区域を決めて都市の整備をして(都市計画法)、区域ごとに建てて良い建物を決めることで(建築基準法)、国民全員の幸福につなげていくという目的により制限を受けます。

(目的)
この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

都市計画法第1条

(目的)
この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

建築基準法第1条

いきなり話が脱線していると感じましたでしょうか。

飲食店

とりあえず前提として、飲食店についても先に述べた工場やカラオケと同じように、用途地域によって制限を受けるということを知っておいてください。

ただ、飲食店の場合は「店舗の広さ」についての制限が主です。

(地域地区)
都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区を定めることができる。
一  第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)
…(略)…

都市計画法第8条

まず、開店する地域についての大雑把な判断基準として、周囲に飲食店の多い地域や、 それまで飲食店として営業していたことがある建物であれば、ほぼそこで周辺と同規模の飲食店を営業できると予想がつくでしょう。

次に、より具体的には、例えば、

第一種低層住居専用地域
(いわゆる、とても閑静な住宅街)
住宅兼用
店舗は50㎡以下
店舗は全体の1/2以下
第二種低層住居専用地域
(いわゆる、閑静な住宅街)
店舗は2階以下
店舗は150㎡以下

というふうに規制があります。
上記の2例は、飲食店にとっては最も厳しい規制になります。

前述のとおり、法令で定める用途地域によっては、(主に店舗の広さについての)制限があるということです。

なお、居酒屋や料亭などでは、飲食店ではなく料理店と判断されることがあり、そうなると商業地域でなければ出店できません。

(い)
第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築物
一 住宅
二 住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるもののうち政令で定めるもの
…(略)…
十 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)

(ろ)
第二種低層住居専用地域内に建築することができる建築物
…(略)…
二 店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が百五十平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
…(略)…

建築基準法 別表第二 用途地域等内の建築物の制限(第二十七条、第四十八条、第六十八条の三関係)

(第一種低層住居専用地域内に建築することができる兼用住宅)
法別表第二(い)項第二号(法第八十七条第二項又は第三項において法第四十八条第一項の規定を準用する場合を含む。)の規定により政令で定める住宅は、延べ面積の二分の一以上を居住の用に供し、かつ、次の各号のいずれかに掲げる用途を兼ねるもの(これらの用途に供する部分の床面積の合計が五十平方メートルを超えるものを除く。)とする。
…(略)…
二  日用品の販売を主たる目的とする店舗又は食堂若しくは喫茶店
…(略)…
五  自家販売のために食品製造業(食品加工業を含む。以下同じ。)を営むパン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋その他これらに類するもの(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が〇・七五キロワット以下のものに限る。)
…(略)…

建築基準法施行令第130条の3

(第二種低層住居専用地域及び田園住居地域内に建築することができる店舗、飲食店等の建築物)
…(略)…
一  日用品の販売を主たる目的とする店舗又は食堂若しくは喫茶店
…(略)…
四  自家販売のために食品製造業を営むパン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋その他これらに類するもので作業場の床面積の合計が五十平方メートル以内のもの(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が〇・七五キロワット以下のものに限る。)

建築基準法施行令第130条の5の2

飲食業のための店舗を借りる(建てる)前にするべき2つのこと

以上のことから、すべきことは次の2つです。

  1. 店舗の所在地から、用途地域を確認する
  2. その用途地域ではどのような制限を受けるのかを確認する

次のリンクは神奈川県川崎市の出している資料になります。ご参考にどうぞ。

用途地域マップ(神奈川県川崎市)

http://kawasaki.geocloud.jp/webgis/?p=0&mp=21

用途地域ごとに建てられる建物について(神奈川県川崎市)

http://kawasaki.geocloud.jp/webgis/Resource/module/Doc/CityPlan/districtsLimitation.pdf

飲食業の許可に関しても、ご自身で調査をしたり書類を揃えたり申請を行ったりということが難しい場合、当事務所で全て代わりに行うことができます。要件を満たしているか分からない場合は、お早めにご相談下さい。

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次回は、飲食業許可(食品衛生法関連)について書きたいと思います。