遺言が必要な場合ってどんな場合?〜7つの厳選事例〜
まえがき
”遺言”や”遺産争い”と聞くと、「お金持ちだけの話でしょ?」と思われるかもしれません。しかし、家裁へ持ち込まれる相続関連事件の数は、高齢化という背景も伴って、年々増えています。
そして、そのうちの7割が、相続額5000万円以下の事件であり、いわゆる”お金持ち”だけの問題ではなくなっています。
どのような場合に遺言が必要だったり、あったほうが良かったりするのでしょうか。次の7事例を見ていきましょう。
遺言が必要な場合〜7つの厳選事例〜
遺言が必要な事例は次のとおりです。他にもありますが、今回は重要なものを7つ厳選してみました。
複数該当する場合は、遺言の重要度が増します。
- 法定相続分とは異なる分け方をしたいとき
- 子供がいないとき
- 内縁の妻がいるとき
- 前妻との子がいるとき
- 相続人以外の人に財産をあげたい(寄付をしたい)とき
- 事業を行っているとき
- 財産について、不動産の割合が高いとき
それでは、具体的に解説します。
法定相続分とは異なる分け方をしたいとき
特定の子供に少し多めに遺産を渡したい場合や、土地家屋は長男に、その他の財産を長女にあげたいといった場合など、分け方を指定したいなら遺言は必須です。
後の揉め事を避けるために、当事務所では特に公正証書遺言をお勧めしております。
子供がいないとき
遺言が無い場合、民法で決められたとおりの相続(「法定相続」といいます。)となります。
1.配偶者(夫や妻)は必ず相続人になります
2.加えて、子供が居れば子供が、子供がいなければ両親が、両親もいなければ兄弟が相続人になります
子供が居ないとき、多くは両親も居ない(本人より前に亡くなっている)ので、兄弟が相続人になってきます。その際、相続財産について、本人の配偶者は3/4、兄弟には1/4を相続する権利があります。
話し合いでそれを無視した分け方をすることは可能ですが、お互いに権利を放棄しないことも多いでしょう。
不動産の価額が大きく、預貯金や死亡保険金といった現預金が少ない場合、不動産を売却するか、不動産を相続する人が相当額を他の人に払うことで分けるということになってしまう可能性があります。
遺言により、全ての財産を配偶者に相続させることが可能です。
内縁の妻がいるとき
内縁の妻は相続人にはなれません。
しかし、遺言で内縁の妻へ遺贈することは可能です。他に相続人がいる場合は、遺留分を考慮して遺贈する金額を設定したいところです。
内縁の妻に1円も残せないのは不都合であるという場合、積極的に遺言を書きましょう。
前妻との子がいるとき
ケースバイケースではありますが、前妻との子と、後妻及びその子との間での円満な話し合いが期待できないことは多いと感じます。
このため、前妻との子がいる場合には遺言があったほうが安心でしょう。
相続人以外の人に財産をあげたい(寄付をしたい)とき
上記の内縁の妻の他、甥や姪、従兄弟姉妹なども相続人になりませんので、そういった人たちにも遺産をのこしたいという場合は、遺言が必要です。
また、NPOやNGO、地方公共団体などに遺産の一部を寄付をしたい場合も、同様に遺言が必要です。
事業を行っているとき
個人事業者であれば事業をそのまま跡継ぎに渡したいでしょうし、株式会社であれば株式を事業について決定できる特定の人に渡したいでしょう。
誰に渡すかについて、遺言に記載する必要があります。
場合によっては空気を読んで分けてくれるかもしれませんが、あえて相続人任せにする必要はないと思います。
財産について、不動産の割合が高いとき
これもよくあるパターンですが、遺産総額の大半が家と土地であるような場合、売却して現金を分けるという事態になりかねません。
高齢の配偶者がその家に住んでいる場合に、子供に現金を渡すか、一旦分けずに先延ばしにして、もう一方の配偶者も亡くなったときに売却して分けるようにするといった方法を考えて、合意しておくと安心できます。
夫婦で遺言をすることで思いを達成できる場合もありますので、事前に準備しておくことに大きな意味があると思います。
あとがき
遺言によって、誰にどのように遺産をのこすかを決めることができ、また、家族が争うことを避けられます。
そして、もし書いた後で気が変わったとしても、いつでも何回でも変更することが可能ですので、余裕のあるときに書いておくことをおすすめします。
当事務所では、遺言がなかった場合つまり法定相続ではどうなるのかについて、初回の無料相談時にシミュレーションが可能です。
その結果、現時点では遺言が不要だということであれば安心して過ごせますし、反対に、もし遺言が必要だということであれば、改めて作成を検討して頂けます。
是非、相続シミュレーションをご利用下さい。
当事務所では、納税対策、手続き対策、節税対策として遺言を利用する方法をお伝えしております。
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