遺産分割で揉める主な原因と,その対策について
今回は、相続の際の遺産分割で揉める主な原因について書きます。今後相続への対策を検討されている方にとって、ご参考になればと思います。
権利意識の変化
かつてに比べて、権利の主張をしやすい風潮になっていることが挙げられます。
例えば長男が家を継ぐことが当たり前だった時代は終わったと言えるでしょう。
相続人それぞれが平等を主張しますし、兄弟姉妹の間で、互いに主導権を自分が握ろうとすることも多いと感じます。
家族関係の希薄化
離婚や再婚も多くなり、相続人同士の面識がないことも増えました。
また、元々仲の良かった実の兄弟姉妹の間であっても、腹を割って話す機会が減ったり、それぞれが多忙のため疎遠になったり、互いに干渉することを避けたりと、何となく徐々に意思の疎通を図りづらくなってしまっていることがあります。
相続人の家庭事情
相続人それぞれに配偶者や子供が居ます。
本人達は争うつもりがなくても、「もらえるものはもらっておきなさい」と、配偶者から強く言われることもあるでしょう。
独り占めを試みるほどの人ではないとしても、「少しでも多くもらえるものなら、他の相続人を出し抜きたい」と考えてしまうこともあるかもしれません。
故人の意思が不明瞭であること
これが一番大きな原因と私は考えています。
亡くなった人の意思が確認できないため、財産を分ける基準が分かりません。
何を誰がもらうかについて、相続人同士で自由に決めるとなれば、話し合いでうまく分けることが難しくなることもあるでしょう。
特に、財産のほとんどが不動産である場合などは、よりその傾向が強くなります。
相続を争族にしないために
相続の対策として挙げられるものは、大きく3つに分けられます。
- 税金対策
- 分割対策
- 手続き対策
税金対策
税金対策については、いかに相続税を安くするかという「節税対策」がよく取り上げられがちですが、「納税対策」も重要です。亡くなった後で、納税のためのお金をどこから工面できるかが問題になります。
分割対策
自分亡き後の財産をどう分けて欲しいかについて指針を示すことができれば、相続人それぞれから納得を得られる可能性が高まります。
納得してもらえるなら、争いにはなりにくいでしょう。
個人的な話になりますが、我が家のケースではこれが大きかったです。
「お父さんが生前こう言ってるから、その通りに分けよう」となるだろうということです。
手続き対策
ある人が亡くなったとき、その家族は動揺と混乱の中、お葬式を初めとする行事の手配や、各種の手続きを行わねばなりません。
その際に、どの手続きから順番にやっていくか、どこに連絡すれば良いかを予めリスト化するなど、分かりやすく手順を書き留めておいてあれば、大きな助けになります。
近年は、デジタルの遺産がある場合などもありますし、また、インターネットからログインするサービスを利用していることも多いでしょう。相続発生時に手続きをしやすくしておくことは、とても重要なことです。
相続シミュレーションと遺言の重要性
将来、実際に相続が発生したらどうなるか(法定相続の場合)についてシミュレーションをし、その場合の不都合を予防するために、遺言などの法的な制度をどう活用するべきかについて、是非ご相談下さい。
当事務所で受けた相談件数は300件を超えました。
皆様それぞれご事情が異なりますので、一概にこうすべきという答えはありませんが、依頼者の方にとって最善の方法をご提案できればと思います。
また、他の記事もご活用頂き、将来起こり得る相続についてよく検討し、場合によっては話し合って頂き、家族仲良く過ごして頂けたらと思います。